★どうして生命保険の比較検討は難しいの？
先日、コンサルティングの際、相談者の方から次の質問を受けました。
「インターネットを活用して自動車保険はきちんと比較検討ができたのですが、生命保険を比較しようとしても、うまくいきません。なぜでしょうか？」。
実は、このご質問こそが、生命保険が難しい、よく分からない、何をポイントに比較して良いのか分からない、といった皆さんが不思議に思っている疑問の解決の糸口なのです。
この自動車保険と生命保険の違いがご理解いただければ、デメリットをメリットと勘違いして生命保険に加入するといった失敗がある程度防げるのではないでしょうか？
■自動車保険はなぜ比較しやすいのか？
保険商品はすべて、次の３つの要素から成り立っています（原則としては）。
・保険金額
・保険期間
・保険料
つまり、保険商品を比較する場合、この３つのポイントが分かれば、明確に検討できるわけです。
１．自動車保険の特色
で、まず自動車保険から考えてみますと、自動車保険の場合、とくに断りがない限り、「１年満期」で「掛け捨て」であることが当たり前になっています。
現在は、満期が１年以上のものや、満期時にお金が返ってくるタイプのものも発売されていますが、一般的に自動車保険と言った場合、「１年満期」で「掛け捨て」であることが常識となっています。
１年満期ですから１年後に契約を更新することになりますし、１年経ったときに無事故であろうがなかろうが支払った１年分の保険料が戻ってこないことで、「だまされた」と思う人はいないはずです。
したがって、保険金額（自動車保険の場合は、補償額ですが）が同じであれば、あとは保険料を比較すれば良いだけとなります。
しかも、自動車保険は、保険期間が短く、掛け捨てですから、損保会社の経営状態や格付けについてもあまり神経質になる必要がないということからも、最終的に保険料で選択することが簡単なのではないでしょうか。
２．生命保険の場合
それでは、生命保険はどうなのでしょうか？
生命保険の場合、保険期間は１年とは限りません。
１年もありますが、通常は短くて５年、１０年、長ければ３０年、４０年、終身と言うこともあります。
しかも「○年」だけではなく、「○歳まで」という形で、保険期間を表す場合もあります。
そのうえ、加入年齢によって、同じ保険金額で同じ保険期間でも保険料が異なるということになりますから、保険料を単純に比較しても安いのか高いのか分かりません。
また、生命保険の場合、すべての商品が掛け捨てとは限りません。終身保険、養老保険は掛け捨てではありませんし、掛け捨てに分類されている定期保険にしても保険期間が数十年といった長期間になると、保険期間の途中で解約した場合返戻金が発生するなど、逆に、どう掛け捨てでないのかを詳細に検討しないと内容を十分理解できないことになります。
したがって、保険料が安いから良い商品かと言えば、そうとは言えないことになります。
さらに、保険料の運用が長期間にわたりますから、保険会社の経営状態や格付けも重要な選択のポイントとなり、より一層、生命保険を比較するのは難しいと言うことになります。
３．結論
以上、なぜ生命保険はインターネットの活用で比較検討しようとしても、うまくできないかについて考えてみました。
でも、これはインターネットだけの話ではありません。
皆さんは、生保会社の人に話を聞くのは面倒だから、パンフレットをもらって自分で比較して生命保険を選ぼうと思ったことはありませんか。
実際にそれで選ばれた方もいらっしゃるかもしれませんが、実はパンフレットでは生命保険は比較できません。
簡単に言えば、パンフレット（提案書や設計書も含まれる場合もあります）はメリットしか大きく記載されていないからです。
一般的にはそれはメリットと受け取られますが、実は「メリット＝デメリット」ですから、メリットのために何かを犠牲にしていることになるわけで、お客様がその犠牲にしたもの（デメリットのことです）をきちんと理解して納得しなければ、それはメリットのはならないはずです。
でも、生命保険のパンフレットにはそのことは十分に記載されていませんし、そもそも最も基本的な「保険期間」についての記載が非常にあいまいにされていて、お客様が誤解するように記載されているようなものもあります。
その誤解しがちなポイントは、次回にでもまた考えてみたいと思っていますが、ようは生命保険は
・安ければ良いということは単純にはいえない
・保険期間（主契約だけでなく、特約も含めて）をきちんと把握する
・保険料の払込期間も、保険料に大きく影響する
ということを十分理解された上で、信頼にできる方にご自分のニーズをお話されて、商品のメリット・デメリットをきちんと比較してもらうことが、後で悔やまないコツといえるでしょう。
説明不足の点、舌っ足らずの点があるかもしれませんが、ご質問はお気軽にどうぞ。
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