あんしん配達通信マガジン(月刊)2001.08


★ムーディーズの保険財務格付け 引き下げ速報(2001.08.10)

すでに日経新聞(平成13年8月7日付け)などでご覧かと思いますが、
・三井生命
・朝日生命
に対するムーディーズの「保険財務格付け」の引き下げが発表されました。

具体的には
・三井生命 Baa3 → Ba1(見通しはネガティブ)
・朝日生命 Baa3 → Ba2(見通しはネガティブ)
ランクの引き下げも重要ですが、今回はカテゴリーがBaaからBaに引き下げられたことも重要です。
なぜならカテゴリーの意味合いが次のように変わるからです。
「Baa」:支払い能力が適切である。しかし、長期的には確実性を支える要素がいくつか欠けているか、そ
     の性格上、信頼性が不足している部分がある。
「Ba」 :支払い能力に疑問がある。保険契約債務支払能力はやや低く、将来の支払いに関して安全性が十
     分でない場合もある。

株価の低迷がこれまで以上に生保会社の経営にマイナスの影響を与えると、格付け会社が判断したと言うことでしょうか(詳細は、ムーディーズのHPでご確認ください)。
簡単に言えば、保険財務力の低下が一歩進んだということでしょうか。

ちなみに、S&P(スタンダード&プアーズ)での両社の格付けは次の通りです。
・三井生命 BB (見通しはネガティブ)
・朝日生命 BB+(見通しはネガティブ)
「BB」 :保険財務力が限界的である。プラス要因もあるが、事業環境が悪化した場合、債務を履行する能力が不十分になる可能性がある。

最後に、格付けの引き下げがすぐに経営の悪化と言うことではありません。
早合点は禁物です(決して誹謗中傷で、解約をお勧めしているわけではありません)。
ただし、これまでの生保破綻の経緯を振り返りますと、
●保険財務格付けの悪化
 ↓
●解約の増加
 ↓
●契約者への迷惑
 ・予定利率の引き下げ
  ↓
 ・保障額の引き下げ、または保険料のアップ、または貯蓄性の低下
という形でした。
ご自分のご判断でご検討ください。

以上、まあ今回はこんなところで(次号のネタはすでに準備済みです)。





★ダイヤモンド・ザイ10月号の「生保見直しマニュアル」って?(2001.08.25)

マネー雑誌の生保記事で残念に思うことは、ほとんどの解説スタンスが「セカンド・オピニオン」でないことです(この記事はきちんと執筆者の方の顔は見えますが)。
一般的に、マネー雑誌の場合、FP(ファイナンシャル・プランナー)の資格保有者が解説するわけですが、「これしかない」「正解はこれ」「こうしないといけない」「今までのやり方は間違い」といったニュアンス(つまり、ファースト・オピニオン=意見の押しつけのみ)で、どうしても自分がお勧めしたい(つまり、自分にメリットが生ずる)プランニングへ誘導していくことになりがちです。
セカンド・オピニオンは、「別にこういった方法がありますよ」「こういったメリットを享受することができる場合もあります」というように、最低でも2つの選択肢を提示する必要があり、さらには一方を感情的な表現でおとしめないことが必要です。

生保の場合で端的に言えば、「今までのやり方は古い」だから「新しいやり方で生保プランを考えなければいけない」というパターンはセカンド・オピニオンとはいえません。
具体的には、FPのいう新しいやり方とは「生保は掛け捨てで、貯蓄は投資で」ということに話が落ち着くのですが、私に言わせると「古い」「新しい」でプランニングの言い悪いを説明しようとした時点で、執筆者が「生命保険」の知識を十分消化できていない証拠であると判断しても差し支えないと思います。

■ 「生命保険見直しマニュアル」の疑問点 

今回はダイヤモンド・ザイ(ダイヤモンド社)の10月号に掲載された「生命保険見直しマニュアル」(p.77〜94)について、上記のような消化不良の点を考えてみたいと思います(執筆者の方に個人的な悪感情があるわけではありませんので、誤解のないように)。

1.「必要十分な保障と、それに見合った最小限の保険料だ」?
これまでも、口を酸っぱくして解説しているように、これだけでは生命保険の要素としては不足です。
「何歳まで、その保障が必要なのか」、つまり保険期間を考えないと、「安かろう悪かろう」の保険プランになりがちです。
すでに、「必要十分な保障と、それに見合った最小限の保険料だ」といった要素としては不足している切り口からは「保険は掛け捨て」という主張がぷんぷんと臭ってきますが、実はそのお勧めこそが、「定食で分かりにくい」と批判している「定期付き終身」と同じ発想であり、生保のおばさんのセールス・トークであることに注意が必要です。
ちなみに「たとえばこんな保険がオススメ」といってプランが提示されていますが、すべて掛け捨てで、ほとんどは10年満期(つまり、10年ごとに保険料がアップ)の保険となっていますから、保険期間は無視して安く見せかけたプランといえます(少なくともそういわれてしまう隙が、そのプランにはあります)。
ほとんどが外資系の商品なのは、ご自分の事務所で取り扱いをしているのか、それとも代理店と提携しているのか、そんな勘ぐりもしてしまいたくなる「オススメ」の内容です。

2.「終身保険っている?いらない?」の?
予想通り、掛け捨てのお勧めの次は、終身保険への疑問と続いています。
終身保険に対する肯定意見と否定意見が解説されていますが、実はこの肯定意見も肯定意見とは思えないほど否定的なニュアンス(つまり、終身保険のメリットを卑小化している)で解説されていますので、これだけ読むと「終身保険なんていらない」と思うように誘導されるわけです。
ちなみに、「定額型(変額保険でないということ)ゆえに物価上昇に対応できないのが最大のデメリットということになる」と解説していますが、これこそこの執筆者の方が生命保険、とりわけ配当(終身保険に関してですが)の機能を生保のおばちゃん並にしか理解していない証拠です。
この解説では結論として「定額型の終身保険は利用価値があまりない保険だと考えている」と締めくくっていますが、この結論はFPがよく言う言い回しの一つだとお考えください。
これを言う方は、ただの勉強不足ですから(あるいは悪意があるか)。

3.「見直し効果シミュレーション!!」の?
以上の経過からご想像がつくと思いますが、シミュレーションの骨組みは
・死亡、入院 →掛け捨て(定期保険+医療保険)
・老後の生活費→投資(変額個人年金)
です。
必要保障額を適切にしている点は非常に評価できますが、そのほとんどに変額個人年金を組み合わせている点が非常に?です。
これは、「ケーススタディで実践的なテクニックを覚えよう」ではなく、「実践的な変額保険の活用例」であり、この選択は決して「これしかない」ものではなく、かなりマニアな選択であることに注意が必要です。
それともう一つ、保険料がコストだとした場合、掛け捨ての方が保険料のトータルは少なくなりますが、コスト(保障に関して実際に支払った保険料=実質の負担額)は必ずしも少なくなるわけではありません。
この点をきちんと設計で解説しないのも、知らないのか、知っていて解説しないのか、「見直しマニュアル」の名が泣きます。
「私がマニアにお勧めしたい見直しマニュアル」とでも、タイトルを代えたらどうでしょうか。

4.「破綻したらどうなる」の?
これがまた、掛け捨て保険のお勧めのための項目になっています。
掛け捨て保険(定期保険)はダメージが少なく、終身保険などはダメージが大きいという解説となっています。
でも、それは「そうだった」という過去の事例(ここでは協栄生命の例)であり、解説にも申し訳程度に書いているように「予定利率が高かった時期ほど影響大」であるとしたら、これから加入する、またはこれから見直す人にとっては予定利率が(史上最低に)低い現在、ことさら予定利率の高かった時期に加入した場合の影響を取り上げて、終身保険は破綻のイメージが悪くすることはないはずです(イメージを悪くしたいんでしょうね)。
それを言うなら、「破綻しない会社を選びましょう」でいいわけです。

これが、「私の意見で、選択肢の一つです」というスタンスであれば問題ないのですが、あたかもこれが一番いいと言わんばかりの記述は?です。
また、「変額型は投資」という点が、きちんと提示されていないのも「こんな記述で、大丈夫?」と、読んでいる方が心配になってきます。
つまり、変額型個人年金は投資(元本の確定がない。最低保証などがある場合あり)であることを重要視していないか、あるいは無視をした記述となっていますが、老後の生活資金に元本割れは許されません。
で、変額型の保険のイメージ図で問題なのは、最悪の図は決して描かれていないという点です。
セールス自体も「最悪の場合はどうなるのかを十分の考えください。そのための資料をきちんと提示しますという」となっているのか(この見直しマニュアル自体が、そうなっていない気もしますが)。
むしろ、インフレに対応できる(変額型でなければいけないことはないのに)、利率が今よりアップして○%で運用できたらこれだけプラスになる、といったプラスイメージを強調したセールスになっているのではないでしょうか。
で、皆さんはバブルの頃に、これで懲りているのではないのですか(失敗の経験を生かさないで、専門家の意見を鵜呑みにすることは、自己責任ですか?)?

■ 「家計も経営」 

最後に、以上の補足として産経新聞(13年8月23日朝刊)「FP通信 とっておきの話」(内藤真弓さん)から引用してみます。
ポイントは、「ある商品を勧められた場合、売り手のセールストークの根拠をすべて裏をとり、予測に基づく部分は最悪のシミュレーションをしてみることだ。最大のリスクを確認した上で、そのリスクを受け入れてもなお、自分にとって魅力的かつ必要な商品かどうかを判断する。」の部分です。
例えば変額保険(投資信託でも、外貨預金でも、株式でもいいのですが)なら、提案書にはシミュレーションされていない(つまり、セールス・トークでも決して触れないか、適当に誤魔化されてしまう重要なポイント)ほど運用が悪くなったときの影響を十分に考慮しないと、予想もしていないことで人生設計が狂ってしまう可能性がある訳ですが、そのようなリスク商品の具体的なリスク(抽象的なリスクは、パンフレットに記載されているのですが、皆さんそれを自分のことに置き換えることをしないのです)を見抜ける目を身につけているか、身に付けていないのなら無理をしてリスクのある難しい商品を選択しない見識を持つべきだということだと、私は解釈しました。
リスクを覚悟しなければいけないのではなく、そのリスクをとるのかどうか自己責任で判断しなければいけないのです(リスク商品を選択することが賢いことでもなく、新しいことでもなく、進歩的なことでもなく、勇気があることでもありません)。

◆「家計も経営」大切な危機管理◆

一世帯あたりの貯蓄額は平均1448万円だそうだ。このうち預貯金は55.7%、保険商品などを含めると貯蓄の大部分は間接金融商品で占められる。多くの日本人は、元本が保証されないと聞いただけで腰が引けてしまうようだ。
規制緩和で従来は機関投資家にしか売れなかったような複雑な商品が、個人投資家にも提供されるようになった。しかし、商品内容を理解した上で購入している人がどのくらいいるだろうか。
規制緩和は消費者の選択肢を広げ、よりよい商品が割安で手にはいるようになるという話をよく聞く。そんな幻想は早いとこ捨てた方がいい。幻想に浮かれて踊っての収支決算はプラスになる可能性はきわめて小さい。
なぜならば、庶民である私たちは常に情報弱者で、商品の売り手である企業との力の差は歴然。聞こえがよい言葉にものわかりよく財布を開いていたのでは、身ぐるみはがされてしまう。
これから私たちが身につけるべきものは健全なる批判能力と、シミュレーション能力、物事を裏表両面から見る能力だ。
ある商品を勧められた場合、売り手のセールストークの根拠をすべて裏をとり、予測に基づく部分は最悪のシミュレーションをしてみることだ。最大のリスクを確認した上で、そのリスクを受け入れてもなお、自分にとって魅力的かつ必要な商品かどうかを判断する。
判断するにも、私たちはあまりにも自分のことを知らなさすぎる。
たとえば、給与所得者が大多数を占める現在、自分が一年間に支払っている税金や社会保険料を知っている人が何人いるだろうか。
源泉徴収と年末調整制度によって、痛みを痛みと感じることもなく、ただシステムの中に組み込まれてしまう。この制度が私たちから思考能力やシミュレーション能力を奪っている。
家計運営も経営である。今後の売り上げ(収入)予測、ランニングコスト、不測の事態の危機管理など、考えなくてはならないことは一杯ある。経営が傾いたからといって、ゴーン氏にお任せというわけにはいかないのだ。
以上

こういったFPの方もいらっしゃるのですね。
・プランをとにかく複雑にしたがる
・リスクをとらせたがる
・自分のプランが新しいと思いこんでいる
といった天狗になっている(実際は勘違いしている)FPが多い中、このような社会の役に立つアドバイスができる方は貴重です(今回の記事に関してですが)。
少なくとも、「何が何でも投資をしなければ時代遅れ」といったにおいがしないのがいいですね。
つまり、特定の商品を売り込む必要がなかったのでしょうが、証券会社(今となっては銀行もですが)のセミナーの講師を依頼されたときもこのスタンスでお話ししていただけると、人生を狂わされてしまう人も減るでしょうに。
がんばってください(執筆者の方への応援です)。

産経新聞のHPはこちらからどうぞ。
 http://sankei.co.jp/
 http://sankei.co.jp/advertising/toshin/0108/23-fp.html

以上、まあ今回はこんなところで(次号のネタはすでに準備済みです)。


毎週水曜・土曜・日曜「無料 生命保険コンサルティング」実施中(神田小川町・町田)


HOME 生命保険のコンサルティング あんしん配達通信