あんしん配達通信マガジン(月刊)2001.11


★生命保険と家庭用洗剤の話(2001.11.06)

唐突な組み合わせですが、皆さんに生命保険をお考えいただくために、家庭用洗剤のたとえ話を考えてみました。
というのも、皆さんは「保険は目的別に加入するのが合理的」と思いこまされていませんか(マネー雑誌などでは、よく見かけますよね)?
入院は医療保険で、ガンはガン保険で、介護は介護保険で、けがには傷害保険、老後の生活資金は個人年金で等々、このように通常の生命保険プラン(死亡保障+入院保障)に加入しているにもかかわらず、単品で、そして通信販売や会社の団体扱いでたくさんの生命保険に加入していませんか。
でも、よくよく考えてみると、こんなにいろいろな生命保険に加入していたとしても、保険でカバーできている範囲は大きく変わるわけではないのです。
そうです、単に「○○になった」ときの保険(給付)金額が、ある部分で大きくなっているだけなのです。
だって、通常の保険プランでも、死亡のとき、入院のとき、それぞれきちんと給付があるわけですから。むしろ、医療保険なら入院をしなければ、ほとんどの保険料が掛け捨てになってしまいます(そう見えないように健康お祝い金やらなにやら、よく見せようとしていますが、突き詰めれば保険期間内に通算日数までいかにして入院できるかどうかが、医療保険の有効性なのです)し、ガン保険はガンにならなければ、ほとんどの保険料が掛け捨てになってしまいます(皆さんはガンになると儲かると思って加入しますが、ガンにかかるリスクやガンにかかり安くなる年齢を、ガン保険のいい加減なパンフレットでしか確認されていないとしたら、それは大きな幻想です)。
介護保険も傷害保険もそうです(いろいろ説明をしないと割り切ってもらえない

とは思いますが)。
でも、個人年金は違うのではと思われるかもしれませんが、これも生命保険プランをきちんと作っておけば(アカウント型のような見せかけだけのもでは駄目ですが)、わざわざ個人年金のために別途保険料を払う必要は通常の場合ないのです(もちろん、いくらでも保険料が払える方は、払えるだけ払っていただいて構いません)。

で、いよいよ洗剤のたとえ話なのですが、一つのメーカーからでもいろんな洗剤が出ていますよね。
換気扇用だの、台所用だの、お風呂場用だの、洗面所用だの、窓ガラス用だの、網戸用だの、畳用だの、フローリング用だの、カーペット用だの、トイレ用だの、とにかく目的に合わせているかのように、発売されTV−CMされています。
でも、よーく考えてみてください。
そんなに、洗剤の成分が違っていますか?
そうなのです。実は、何でも使える洗剤を1種類販売するよりも、目的別に内容は大して変わらないものを違った名前で販売した方が、洗剤メーカーとしては儲かるわけです。
洗濯用の洗剤も、衿袖用だの、油汚れ用だの、泥汚れ用、運動靴用だのたくさんありますし。
メーカーは日夜、いかに同じものを、違うように見せかけるかに苦労しているわけです。
そして、生命保険も同じことなのです。
きちんとした生命保険プランがあればOKなのに、単品でいろいろ目的別風に商品ラインナップをすることで、さも顧客ニーズをくみ取っているように見せかけているのです。
さらに、FPやマネー雑誌までも、それに同調して「保険は目的別に加入するのが合理的」と思わせているわけです。
そして、皆さんは肝心の生命保険プランに保険料を注ぎ込まずに、枝葉の保障内容である単品にたくさん加入して、さも合理的に保険料を払っていると勘違いさせられているのです。
もちろん、その保険(単品の)でなければフルカバーできない保障もありますから、単品が悪いと言っているわけではありません。
ただし、そうするにしても、肝心の生命保険プランはきちんと確保した上で、単品の保険をお考えになるのが順番ではないでしょうか?と言いたいわけです(皆さんは生命保険プラン自体もきちんと確保できていない場合が多いのですが)。

もう一つ、単品の保険の場合、保障内容がどうしても「○○になると得できる」といった内容になりがちで、「○○になったときに困らないように」というスタンスの場合、保障内容が過剰になってしまう場合が多いのです。
で、それが何で悪いかというと、その余計な保障部分の保険料を負担しなければいけないことになり(単品の保険では自由に設計などができないため)、いらない保障(困らないようにというニーズに対してですが)についてまで、保険料を支払わなければいけないことになってしまうのです(つまり、ニーズ別に加入して保険料を合理的に使っているつもりが、保険料の無駄になっているジレンマです)。

最後に、生命保険は得をするために加入するのではありません。
困らないように、とくに老後に困らないように今何をしておくか、今何ができるか、その点を十分考えて、もっとも大切な生命保険プランをまず第一にお考えになってはいかがでしょうか?

以上、私の独断でした。何かのご参考になれば。
まあ今回はこんなところで。





★生保以外の金融機関の格付けは?(2001.11.07)

「生命保険は掛け捨てで十分」といったマネー雑誌の記事の根拠に、必ず「掛け捨ての生命保険の方が、破綻した場合の被害が小さい」といった記述があります。
そのため、よく「長い期間の生命保険(マネー雑誌では「終身保険」に置き換えて、「終身保険」のデメリットとしてよく取り上げていますが)は心配なので、やはり掛け捨てが良いのでしょうか?」なんて質問を受けます(実は、定期保険でも保険期間が長いと、貯蓄性が発生するのですが、その辺をFPの方は無視してしまうわけです)。
そこで、今回は「生保は破綻するのか?」ということを考えてみたいと思います。

ところで、皆さんは生命保険会社の格付けはご存じですか?
知らない方は
http://www4.plala.or.jp/anshin/link.html
でご覧いただきたいのですが、生保の格付けには大きな幅があるのです(かつ、同じ保険でも会社によって保険料が大きく違うことも覚えておいてください)。
最上位のAAA(トリプル・エー)を持つ会社もあれば、そのずっと下のBB(ダブル・ビー)の会社もあるのです。
当然、そのBBの会社に加入している方にとっては破綻は喫緊の課題でしょうが、AAAの会社に加入している方は、今のところ破綻とは無縁であるわけです。
ところが、マネー雑誌ではこの辺の区別をきちんとせずに、生保を一括りにして、すべての生保に破綻の不安があるかのように記述し、場合によっては「終身保険」がまるで破綻に弱い保険であるかのように誹謗する根拠としています。

それでは、生保以外の金融機関はそんなに格付けが優秀なのでしょうか?
ちなみに、都銀の格付け(S&P:01/11/06現在)を抜き出してみます。
 あさひ銀行  BBB
 三和銀行   BBB+
 第一勧業銀行 BBB+
 大和銀行   BB+
 東海銀行   BBB+
 東京三菱銀行 A-
 富士銀行   BBB+
 三井住友銀行 BBB+

なんと、ペイオフの絡みで預金がどんどん流入していると言われる東京三菱銀行でさえ格付けは「A−」でしかないのです。
その他はおしなべて、BBBのあたりをうろうろしているに過ぎません。
生保で言えば、確かに大手生保の場合、BBB以下と言うところもありますが、外資系や損保系で言えば、AAの格付けを持っている会社がたくさんあります。
銀行と生保では破綻処理の違いなどで、全く同じ条件と言うことではありませんが、格付けというものを物差しにするのであれば、まず全金融機関の中で生保会社の格付けがどうなのか、きちんと解説した上でなければフェアな記事・記述とは言えないでしょう。

ついでに、格付けに絡んで、よく「やはり保険会社もリスク分散させた方が良いのでしょうか?」と質問されます。
これも、考えてみれば「なーんだ」ということになるのですが、例えば今BBの会社に加入しているのならリスクの分散は必要でしょうが、AA以上の会社からわざわざBBBの会社にリスク分散する必要があるでしょうか。
それこそ「保険料の無駄」でしかなく、リスク分散のつもりがリスクの増大を招いてしまうことになります。
マネー雑誌の記事が嘘を書いているわけではありませんが、所詮は広告収入で経営しているわけですから、「すべての生保会社にやさしい記事」(反対が「読者にやさしい記事」なのでしょうが)しか書けないのです(さらに「すべての金融機関にやさしい記事」となるわけですが)。
したがって、セカンドオピニオン的な立場も維持できず、生命保険のことが知りたくて雑誌を買うのに、余計分からなくなってしまうわけです。
長期の運用となる生命保険は、その特性から破綻が大きな課題となりますが、様々な物差しを使うことで、リスクを回避することは可能です(金融商品は、おしなべてそうですが)。
むしろ、その物差しに参加していない、あるいはその物差しを持っていない金融機関こそ問題なのではないでしょうか?
そういった常識を持たずに、「○○がやっているから安心」「○○グループ(系列)だから、いざというときは何とかなる」などと言っているようでは、本当のリスクは把握できません(そういわれていても生保は破綻するときには破綻しす)。

以上、私の独断でした。何かのご参考になれば。
まあ今回はこんなところで。





★生保格付け(S&P)速報(2001.11.09)

注目の生保格付け(S&P)ですが、11月8日、格付け変更(格付けの引き下げ)の発表がありました。

      今回    前回
 朝日生命 BB− ← BB
 三井生命 BB− ← BB
 明治生命 A   ← A+

以上の3社以外にCW(クレジット・ウォッチ)の対象になっていました、住友生命と安田生命の格付けについては、今回は変更がありませんでした(以上5社は、いずれもCWの対象からも除外されました)。
詳しくは、S&PのHPでどうぞ。
http://www.standardandpoors.com/japan/newsbriefs/news/ratings_news2001_11_08g-ins.html

個人的な感想ですが、いくら金融庁が生保の破綻を阻止(風評の流布で日本生命をいじめても)しようとも、格付けがBB−では、きちんと情報の公開を実施しないと、契約者保護の観点から問題になるのではないでしょうか。
したがって、状況としては、これまでに危機感があった方の間で、解約が一層進むのは間違いないでしょう。
あとは、誰がババを引くか?といった展開になってきた感があります。

以上、私の独断でした。何かのご参考になれば。まあ今回はこんなところで。





★ザ・ベクトルのキャラクターはナニ?(2001.11.17)

今回は、あまり生保プランとは関係のない与太話でご勘弁ください。

皆さんTV−CMで、三井生命の新商品「ザ・ベクトル」のキャラクターをご覧になったことがありますか?
上に向いた矢印に大きな目玉が2つ、手と足がついたキャラクターなのですが、いったい何なのか、を三井生命の所在地から考えてみようと言う趣向です。
「カエルなんじゃないの?」という身も蓋もないことは言わないでくださいね。

まず、このキャラクターの正体を考える鍵は、三井生命の本社所在地にあります。
千代田区大手町1−2なのですが、この辺りを歩いたことがある方ならピンとくるのでは?
そうです、すぐ近くにいろいろな噂話のある「将門塚」が鎮座ましましています。
平将門の首が飛来した場所で、首が祀られていると言うことですが、ここに来ると、何と「カエル」の置物がたくさん並んでいるのです(ちなみに、兜町も将門の兜が名前の由来らしいです)。
「無事カエル」ということで、海外旅行や出張でかける前に、近くの商社の方などがカエルの置物で願を掛けるらしいのです。
つまり、「大手町1−2」は将門とカエルが名物だったのです。

でも、なぜカエルなのでしょうか?
これは、歌舞伎に詳しい方でしたら気が付かれるのではないでしょうか。
演目「忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)」でも分かるように、将門(の子ども)と蝦蟇ガエルはワンセットのモチーフになっているのです。
それがなぜかは専門家の研究に任せるとして、将門とカエルは江戸文学での約束事だったようです。
そしてその伝統は連綿と受け継がれ、なんと平成の現在、生命保険プラン「ザ・ベクトル」のキャラクターとして、皆さんの目に止まっていたわけです。
三井生命も本社所在地を、カエル(正確には蝦蟇ガエルのはず)のキャラクターでアピールしていたとは、生命保険プランの名前を深いですね。

でも、これはあくまでも私の空想ですので、お間違えのないように(三井生命さんの公式見解でも何でもありません)。





★皆さんご注意!今月は「生保月」(2001.11.24)

今回は、季節の話題を。

うっかりしておりましたが、皆さんからのお問い合わせで気が付きました。
そうです、今月11月は「生保月」だったのです。
そのために、生保のおばちゃんが皆さんのところへ足繁く通ってきていませんか?
従来からの生保会社では、あまり忙しくない11月を生保契約の重点月として、猛烈なセールスを仕掛けてくる場合があります。
なりふり構わない転換のお勧めなど迷惑なだけですが、それでもTV−CMに洗脳されてしまった人などが結構加入するようで、おばさんたちのセールスにも熱が入っているようです。

ただし、行きすぎたセールスは「金融商品の販売等に関する法律」で規制されていますので、本当に迷惑なら、きちんとセールスを断った方がいいでしょう。
おばさんたちも、他の見込み客に傾注できますから、それはそれで割り切ってもらえるはずです。
で、それでもうるさく勧誘してくるときには、保険募集人(つまり、生保のおばちゃんのことです)には必ず携行が義務づけられている「勧誘の方針」を見せてもらって、「ここに、お客様の迷惑する時間帯や場所、方法での勧誘はしません(各社、文言が多少異なりますが、必ずこのようなことは盛り込まれています)、と書いてありますよね。だから、セールスは結構です」ときっぱりと言いましょう。
さらに、この「勧誘の方針」を持っていなかったら、最悪なセールスとして、「携行は義務づけられているのではないですか?」ときちんと指摘してあげましょう。
そして、皆さん気を付けた上で、回りの犠牲になりそうな人も救ってあげてください。

11月も残りわずか、後もう少しの辛抱です。
12月になれば、ぱったりとおばさんたちの姿が見えなくなりますから(?)。


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