あんしん配達通信マガジン(月刊)


★R&I(格付投資情報センター)格下げ情報

またまた、うっかりしていましたが、なんと9月25日に、R&I(格付投資情報センター)が大手生保4社の保険金支払能力格付の格下げを発表していました。
格下げの内容は、以下の通りです。

・朝日生命 B+  (前回BB− :1段階下げ)
・住友生命 BBB+(前回A−  :1段階下げ)
・三井生命 BB  (前回BBB−:2段階下げ)
・安田生命 A   (前回A+  :1段階下げ)

さて、何度も申し上げますが、格付けはあくまでも、一つの指標に過ぎません。
また、格付け自体も、R&Iだけでなく、S&Pやムーディーズ、日本格付研究所などもご参考に(また、内容については、必ずご自分でご確認ください)。

最後に、本日(10月11日)付けの日刊ゲンダイの2面「大手生保はデッドライン」(保険評論家・朝本友一)から。
いろいろ取りざたされているA生命の深刻度を次のように解説しています。

・実質純資産額(02年3月末)        3,936億円
・有価証券・土地の含み損、繰り延べ税金資産 ▲3,793億円
 ----------------------------------------------------------
 差し引き(時価会計上の純資産額)        143億円
・劣後ローン                +1,230億円
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・自己資本                  1,373億円

これに対して、株価の含み損(02年3月末) ▲1,060億円

その後、日経平均株価の下げにより大口保有先の1億株だけでも含み損は約▲550億円とのこと。
もうすでに債務超過のデッドラインなのでは?という記事の内容でした。

まだまだ年内に三連休が3回もありますし、生保破綻が心配な方にとっては、気が抜けませんね。





★日経新聞より=株式含み益・修正ソルバンシーマージン比率=

昨日、本日(2002年10月18日)と、日本経済新聞紙上で生命保険会社の経営状態に関する重要な指標が掲載されていましたので、念のためご報告を。

●大手生保7社の株式含み損益

・日本生命       10,000億円強(17,120億円)
・明治生命        1,000億円強( 3,064億円)
・第一生命            0億円 ( 3,789億円)
・安田生命 ▲  500〜1,000億円 (▲  333億円)
・三井生命 ▲2,000〜2,500億円 (▲1,439億円)
・朝日生命 ▲      2,100億円 (▲1,059億円)
・住友生命 ▲3,500〜4,000億円 (▲2,832億円)
※( )内の数値は2002年3月末

●主要生保10社の修正ソルベンシー・マージン比率

   100%未満 150%未満 200%未満 250%未満 400%未満 400%以上 日経平均
00年3月末 0    0    0    3    6    1  20,337円
01年3月末 0    1    2    1    5    1  13,000円
02年3月末 1    2    0    2    5    0  11,025円
02年9月末 3※   2    1    1    3    0  9,383円
※3社の内訳:0%未満2社、70%未満1社
日本経済研究センター

修正ソルベンシーマージン比率とは、米国基準に近づけた修正値ということで、米国では、250%未満で下方トレンドにある場合、早期是正措置の対象となる、とのこと。
さらに、70%未満では破綻処理(ないしはそれに準じた処理)が行われる、そういった水準であるということです。
とすると、主要10社のうちの3社は、米国基準では破綻処理の対象とされる「保険金支払い余力」であるということを表しており、いわゆる日本のソルベンシー・マージン比率が米国基準と比較して、大幅に緩やかなものになっている(銀行と生保の資本の持ち合いなどによる見せかけの資本増強が認められている)とする懸念が実証されたとも考えられます。

とはいえ、何度も申し上げますが、生保の経営指標はあくまでも、一つの指標に過ぎません。
また、内容については、必ずご自分でご確認ください。

まだまだ年内に三連休が2回ありますし、生保破綻が心配な方にとっては、さらに気が抜けませんね。





★Zai別冊「保険大図鑑」の読み方

本日、偶々立ち寄った本屋さんで、Zai別冊「保険大図鑑」というマネー雑誌を見かけました。
サブタイトルは”保険料のムダを徹底リストラ! ぜったい成功する生命保険の見直しマニュアル ラクラクできる見直しテクを紹介!”なんていう、2時間ドラマのテレビ欄のタイトルのような、これだけ書き並べれば誰かの気を惹くのでは?的な見事なタイトルです。
早速手にとってみたのですが、これまた、どういうつもりで編集したのか、びっくりするような「とんでも生保雑誌」だったので、皆さんにご披露を(ただし、あくまで私の感想ですので、誤解のないように)。

●「ぜったい成功する」って、本当?

まず、金融知識の基本の確認になるのですが、金融商品に「絶対」はないということが、唯一絶対の真理なのです。
ところが、この生保本は「ぜったい成功する」というのです。
つまり、これだけで金融商品の紹介(タイトルでは「見直しマニュアル」と自称していますが)本として、私は失格かな?と思うのですが、どうでしょう。
もっとも、編集部では、「”ぜったい”それとも”必ず”をタイトルに入れないとインパクトがないよね」なんてことで、こんないい加減なサブタイトルになってしまったのでしょうが(経済専門出版社なのに)。
ちなみに、この雑誌のお勧め通りに生保を選択したからといって、失敗しても当然出版社は責任を持ってくれないはずです。

●「保険料のムダを徹底リストラ」って、押しつけじゃないの?

「保険料のムダ」がなんなのか、これが以外と難しいのです。
なぜかと言えば、人それぞれに「ムダ」の認識が異なるからです。
ところが、マネー雑誌では、何かと「ムダ」を言いたがり、絶対的な基準があるかのように記述します。
そして、この言い方をすると、保険料をたくさん(たくさんがいくらなのかも重要になるのですが)払うことが無駄(=悪)であるという考え方こそが正しく、「安い保険料=正解」という誤った認識(ただし、たくさん払えばいいと言うことでもありませんが)を刷り込むことにもなりかねません(意図的かどうかは別として)。
そして、その後に来る押しつけが、「保険料は安い方が良い」という考え方です。

それを裏付けるかのように、これはサブタイトルなのか?というような「この1冊で保険料を徹底シェイプUP! 目標は毎月の保険料を半額にカット!!」というキャッチコピーまでもが表紙を飾っています。
保険料をカットすると言うことは、単に安いもの(つまりは老後の保障を減らすと言うことなのですが)に保障内容を変えると言うことにつながりかねないのですが、いわゆる掛け捨ての保険を主力で販売している外資系生保の、新聞広告のようなこの言い回しは、この雑誌がとても客観的な内容とは言えない証拠と言えるでしょう(読者の生保に対するニーズを、安い保険料に誘導している訳です)。

●「どんな保険が、いい保険?」って、ほとんどが外資系生保の商品じゃないの?

この雑誌では、おすすめの保険を、

 ・生命保険、変額保険
 ・医療保険、ガン保険
 ・変額年金保険

の3つに分けて紹介しているのですが、これがまた、雑誌に広告をよく載せてくれているのであろう外資系生保の商品のオンパレードなのです。
これほどあからさまに外資系の商品をヨイショすれば、見る人が見れば、それだけでこのお勧めの意図が、「保険料は掛け捨てで、余ったお金は投資に」(えせFPが好きな考え方でもあるのですが)という証券会社や銀行(変額保険や投資信託、外貨預金を扱っています)の意向に沿った、幇間記事であることは見破れると思うのですが、いかんせんマネー雑誌で保険証券を選ぼうと思っているようなスレていない善良な市民には、見破ることができないかもしれません。
そもそも、保険商品の比較は、メリットの比較をする以前に、デメリットの比較をするべきなのですが、この手のマネー雑誌には残念ながらメリットの比較で優劣(とはいえ優劣というのも、選択する人によって異なる訳なのですが、マネー雑誌では絶対的な優劣があるかのように記述しています)を付けてしまおうとする傾向が非常に顕著と言えます(パンフレットを集めて商品の検討をしようとする方も、メリット比較だけで商品の優劣を判断しようと考えています)。

ところが、読者としてみれば、安くて良い保険のお勧めとして、ほとんどが外資系生保の商品ということになれば、(私はほとんど根拠がないすり込みだと思っていますが)「”外資系だから安くて良いものがある”というのは、やっぱり本当なんだ」というわけで、他の紹介されていない商品と比較(もちろんデメリットまで)することなく結論を出してしまいかねません。

以上の三段論法からすれば、このZai別冊「保険大図鑑」はようは外資系等の雑誌広告をたくさん出稿してくれている生保の商品をまとめて紹介することで、出版社と生保が共存共栄しようという、出来レースのような企画であるというように見えてしまいます(あくまで、ひねくれた私の感性では)。
その観点から、ぜひこのZai別冊「保険大図鑑」を参考にしていただければと思います(あんまり頭から信用しないようにしてね、ということです)。


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