あんしん配達通信マガジン(月刊)


★日本格付研究所の格付変更情報

11月1日付けで、日本格付研究所が保険金支払能力格付の変更を発表しました。
格付の変更内容は、以下の通りです(据え置きについては、記載しておりません)。

・朝日生命 B+   (前回BB :2段階下げ)
・三井生命 BBB− (前回BBB:1段階下げ)
・富国生命 A+   (前回A  :1段階上げ)
・住友生命 格付の撤回(前回A)

さて、何度も申し上げますが、格付けはあくまでも、一つの指標に過ぎません。また、格付け自体も、日本格付研究所だけでなく、S&Pやムーディーズ、R&Iなどもご参考に(内容については、必ずご自分でご確認ください)。

ただ、一番マイナーな感のある格付会社「日本格付研究所」といえば、これまで外資系の格付会社よりも日本の生保に優しい(甘い)格付をしていたように思っていたのですが、他の格付会社でもパッとしない生保は、やはりそれなりの格付になってしまいました。

なお、生保の健全性を考える場合には、格付の他にもソルベンシーマージン比率も参考にしていただきたいのですが、これについてはメルマガNo.52で日本経済新聞を元に「修正ソルベンシーマージン比率」の解説をしておりますので、参考にしてください(金融庁公表のソルベンシーマージン比率も「生保に甘い」ようです)。





★「逆ざや解消に予定利率引下げ」報道のポイント

本日(11月25日)付けの日本経済新聞1面に、「予定利率引下げへ法改正」という記事が、金融庁の方針として掲載されています。
そこで、早速この記事のポイントを、私なりに整理してみました(ただし、記事の内容からの私なりの見解です。また、今後の推移によっても内容は大きく変わる可能性がありますので、ご注意ください)。

■ 中期的に保険金支払いに不安がある生保に引き下げを認可

つまり、健全な会社も一緒に予定利率を引き下げるのではなく、金融庁に業務内容の改善計画の提出を求められた生保に限って、保有契約の予定利率の引き下げが行われると考えられます。
ただし、今取り扱っているような予定利率が低い契約については、引き下げの対象にならない模様です。
皆さんが心配される、せっかく経営状態がいい生保を選んでも(せっかく生保を乗り換えても)、結果として全社一斉に予定利率を引き下げられたら、意味がないのでは?といった危惧は、この通りであればひとまず解消されると思います。

■ 引下げ後には解約停止など、解約制限の可能性が

つまり、予定利率の引下げが決定した場合、契約者が一斉に解約に走ることを防ぐため、一定期間は解約の停止や解約返戻金の削減などの措置が考えられます。
この制限措置は、破綻した場合の制限と類似するものと考えられます。
したがって、生保プランの見直しを考える場合、現時点での制度の中では、破綻までに何とかすればいいという対応が可能でしたが、この通りに法改正が行われた場合(2003年度の導入を目指すということです)、破綻しなくても予定利率引下げが認可されると、一定期間は保険プランの見直しが実質的に不可能となってしまう恐れが考えられます。

昨年も、この予定利率引下げについては議論されましたが、なぜか比較的経営が安定している生保が予定利率の引下げ案を支持したのに対して、経営が苦しい生保ほど引下げ案を拒絶した経緯があります。
これは、おそらく全社一斉の引下げでなければ、引下げを実施した生保の経営が不安視され、結果として解約に拍車がかかる(そして破綻に至る)という思惑から、経営の苦しい生保ほど全社一斉の引下げでなければ賛成できないということだったのでしょう。
しかも、積極的に賛成したらしたで経営が不安視されることから、生保主導ではなく、政治家あるいは監督官庁主導により、「いやいやそうせざるを得なかった」という形式にも拘った結果(自ら望んだということになれば、契約者の財産を積極的に侵害することにもなり、経営責任問題にもなりかねません)、昨年は予定利率引下げの話が、一旦お流れになったのでしょう。
ところが、その論議が動き出したということは、うがった見方をすれば、日経平均株価9000円割れなどで株式の含み損が増大する中で、経営状態が芳しくない生保がいよいよ見栄を張っていられない状態(つまり、せっぱ詰まった状態)に突入したと金融庁が暗に認めていると考えざるを得ません(私の思い過ごしであればいいのですが)。
また、今回の法改正の主旨は、これによって悪化した生保の経営を改善するというより、予定利率を引下げることで破綻によって契約者が被る損失を少しでも少なくしようという苦肉の策で、結果として現在の金融環境では健全化までに相当時間のかかる生保が実際に存在していることを前提としているものと考えられます。
いずれにせよ、今後の法改正の推移と、各生保の9月決算の内容がますます注目されます。





★S&P格下げ情報

本日(11月27日)付けで、S&Pは生保4社の保険財務格付けの格下げを発表しました。
                今回   前回
・第一生命           A−   A   (1段階下げ)
・明治生命           BBB+ A−  (1段階下げ)
・ハートフォード生命      AA−  AA  (1段階下げ)
引下げの理由などはS&PのHPでご覧ください。


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