あんしん配達通信マガジン(月刊)


★最近の相談で気が付いたこと

発行が遅れてしまい、申し訳ありません。
これといったネタがなかったもので。
いろいろ生保関係の雑誌の発売や特集はあったのですが、すでにHPやメルマガで指摘した以上の目新しい内容もなく、かといって格付けの変更もなかったものですから。

そこで今回は、最近の相談で目立ち、かつ気になることについて、皆さんにお考えいただこうと思います。

■ 外資系セールスの?

外資系生保のセールス手法は、すでに言及したことがありますが(「傾向と対策」で)、手順としては、

・「ニーズ」を聞き出す(あなたのためだけの設計であることを強調)
・そこから必要保障額の推移を「パソコン」で試算する(合理的な、しかもそうしないと家族や老後が守れないと思い込まされます)
・「いい保険プランは高い」ということを納得させる(「保険料が高い」と、「あなたにとって最適な保険プラン」は、イコールではないのですが)
・これまでの保険プランの2〜3倍の保険料を支払うことになる(そのため家計診断を行い、余裕資金のすべてを保険料に充てるようにし向ける)
・結局、3年ほどすると保険料の負担が厳しくなるとういうのが、典型的な外資系セールスです。

で最近気が付いたことなのですが。
まず、「ニーズ」が曲者です。
これは、困ったときのニーズではなく、ご主人が亡くなった時に今よりいい生活を送るためのニーズを聞き出され、挙げ句にはニーズを誘導されて、自分(セールス)が売り込みたいプランになるようにし向けられてしまうケースがあります。

当然「必要保障額」も、鵜呑みにしてはいけません。
あくまでも、脳天気なニーズを生保に盛り込むと、とんでもない必要保障額になる、それが分かれば言い訳で、その必要保障額にしなければ家族が不幸になるわけではない、ということです(必要保障額は、一種のゲームでしかありません。それに囚われないように)。

さらに、その必要保障額に基づいた設計も、絶対なものではないわけです。
ところが、その保険プラン通りに絶対にそうしなければいけない、と思い込まされてしまっていると、なんとかその保険プランに加入しなければいけない、となってしまいます。
でも、保険料は今までの2〜3倍は、どうしても払えない、ということも考えられます。

そんなときにプランの手直しが必要になるわけですが、ここで悪魔のささやきが。
それは、「払い込みの年齢を繰り下げましょう」という提案なのです。
このメルマガで何度も繰り返しているように、保険料は所詮、定年までしか払えないものです(もちろん、退職金を遣ったり、年金から払う、そんなプランはプランではありません)。
それなのに、保険料の払い込み年齢を、60歳、65歳でなく、75歳、80歳あるいは90歳といった、あり得ないプランに手直しすることで、とりあえず加入できるようにするのです(あるいは、途中で保険料がアップするプランになる場合もあります。生保のおばちゃんのプランよりアップ幅は小さいですけど、アップはアップです)。

でも、そうすると、
・保険料が払えなくなったときに保障がなくなる
・終身保険の解約返戻金を老後の生活費として十分に活用できなくなる(終身保険は「死ななくても使える死亡保障です」)
・トータルの支払い保険料が、多くなってしまう

といったデメリット(早く死ねば少ない保険料ですむ、という言い方で言いくるめられたとしたら、そもそも「早死にしないと損なプラン」から「長生きして良かったといえるプラン」に乗り換えるといった目的が、達成できないことになってしまいます)が出てきて、結果として、何のために保険プランを見直したのか分からないということになってしまいます(つまり、生保のおばちゃんが売っているプランと、大差がないということになりかねない)。

ようは、生保プランに、人生のリスクの全てを任せるのではなく(もっとも、すべてを任せたらとんでもない保険料になるわけですから、皆さんの場合は、全てを任せたと思い込まされているだけですが)、預貯金で足りないものは賄う、そういった考えがそもそもないと、おばちゃんだろうが外資系だろうが、保険のセールスに付け入られてしまう、ということなのです。
外資系なら、希望どおりに保険プランを設計してもらえる、残念ながら、そんなことも今は昔話となってしまいました(すべてがそうというわけではありませんから、誤解のないように)。

最後にもう一つ。
外資系の設計を見ると、ベテランでも新人でも、判で押したように同じパターンの設計であるのを見かけます。
それって、そもそも「お客さまのニーズに基づいた設計」ではない、その証拠ではないでしょうか?





★メールでいただいた質問への回答 No.1

今回は、実際にメールでいただいた質問をもとに、私の回答をご披露いたします(もちろんプライバシーには十分配慮してあります)。
というのも、同じ質問に何度も回答することに疲れたと言うこともありますし、皆さんも質問をまとめたうえでメールするのが大変でしょうから、お互いの労力を少なくするためにも、ぜひこのメルマガを活用下さい。
今後も、このような形で、ご披露できたらと考えております。

Q1「医療保険の落とし穴」で学んだ結果、老後に安心な保険がどのようなものかわかりました。
しかしやはり保険料が高く、月々1万円近くになります。
支払いが大変なのでどこかで折り合いをつけなくてはなりませんが、自分にあったものを選ぶポイントは他にありますでしょうか。

A1 「死んだら」と「入院(差額ベッド代)したら」をきちんと確保することです。
それも、働けるうちに保険料はすべて払い込み終わるように。
かつ、保障は、死亡保障は一生(終身)を土台(しかも厚め)に、入院は平均寿命まで確保できるように(つまり、保険料の後払いがないように)。
終身保険はお葬式代ではありません。死ななくても使える死亡保障なのです (商品の選択次第では、個人年金以上に老後役に立ちます)。
それに、期間限定のリスク(お子さんの教育費など)に対応した定期保険(掛け捨ての死亡保障=死なないと役に立たない死亡保障)を上乗せすることで、保険プランとなる訳です(定期保険にもいろいろ種類があります。ここでいう定期保険とは、保険期間が終身でない死亡保障全般のことです。不要な場合は、上乗せしなくても可です)。
また、あなたが好むもの(あなたのニーズを何でもかんでも盛り込んだようなプラン)が役に立つものとは限りません。

好むものとは、加入してすぐにこんなに役に立つ(でも、その保障は一生確保されたわけではなく、保険料を一生払い続けられたら、という条件付きで、しかも保険料が10年ごとにアップするなんてことにもなりかねません)ということで目を引きますが、役に立つというのは60歳を過ぎてから保障が確保されているかどうかで、この違いが分からずに皆さんは「安くて良い保険がある」「うまい話がある」と勘違いして加入してしまいがちです。
結果、60歳以降の保障が確保できていないことに60歳近くになってから気が付いたあげく、うまい話を探して(つまり、パンフレットを集めまくる訳ですが)、誰でも加入できる保険という、さらに役に立たない保険に加入してしまうことになるのです。


Q2「生保セールスの傾向と対策」のところで「配当はインフレに対応して保障額の価値の目減りを防ぐために必要な機能」とあります。
またあるFPの本では「インフレ対策を配当金に期待することは今後の運用成果に期待することにほかならず、非常に不確定な要素である。」とありましたがこの意味がわかりません。

A2 この質問の場合、ではインフレに対応できるものとして何を勧めているか、でその執筆者の意図が分かります。
まず、今後の運用成果に期待できないというのは、全社について期待できない訳ではないと言うことです(一般勘定の運用利回りなどを見たら、会社によって驚くほど運用利回りが違うことに気が付くでしょう)。
逆に、そのFPが変額保険などを勧めているとすれば、変額こそ運用に巧拙に左右され元本割れどころか、元本の数分の一まで解約返戻金(死ななくても老後に使えるお金)が減るリスクがあることを考えると、インフレ対応どころの話ではないことが分かります。
ということで、インフレに対する解説の場合、何を勧めているかがポイントなのです。
そして、私はわざわざインフレ対応の効果が配当以上にあるとは思えないうえに、運用によるリスクが大きい商品を選択する必要はない、というスタンスで、配当付きの終身保険をお勧めしています(はずれが少ない方が、老後に後悔しなくてすむでしょう)。
したがって、どっちが正しいとか正解と言うことではありません。


Q3「金融商品としての保険の機能」について、投資と投機を辞典で調べてみましたがどちらでもないと感じました。
正しくはどのような認識なのでしょうか。

A3 私としては、

・投資:最低でも10年は資金を運用する場合
・投機:1年以内に結果が出るように運用する場合

というように考えていますが、これは別に辞典を読んでも分かりません。
なぜ使い分けが必要かというと、皆さんは投機ならリスクが大きく感じるのに、投資と聞くと安全性が高そうに感じる訳ですが、私はそれを疑ってほしいと思っていまして、つまり、投資と投機を商品で分けても意味がないということなのです。

例えば、投機は先物やデリバティブ、信用取引などで、投資は投資信託や、株式、変額保険、債券などという風に分けても意味がないというように、私は考えています。
つまり、どんな商品でも、10年かけないで大もうけ(現状では元本が1.5倍程度)ができると言ったうまい話は、「投機」であると私は考えています。
また、投資も投機も元本は確保されていませんので、その面でも違いがないと考えるべきでしょう(ただし、投機の方が失敗した場合、傷口が大きくなるでしょうが)。
「投資」と聞くと、イメージが良いのですが(証券会社はそう勘違いしてもらうためのTV−CMを流し続けています)、そのイメージにも投機と変わらない落とし穴が待ち受けている訳です。
したがって、投資は余裕資金で行うべきでしょう(老後の生活資金にするためのお金は投資だけで運用しない方が良いと、私は思います)。
でも、これはあくまでも私の考えで、一般的な考え(常識的な役に立たないマネー雑誌で書いてあることなど)とは違うはずです。





★メールでいただいた質問への回答 No.2

今回も前回同様、実際にメールでいただいた質問をもとに、私の回答をご披露いたします(もちろんプライバシーには十分配慮してあります)。

 「保険×××××○○○」というホームページで、終身保険(低解約返戻金型)はダメのような事が書いてありました。

サイトに書いてあることの方が私には、間違いのように思えるのですが。
サイトに書いてあったことの気になる点を抜き出すと、次の2点です。

●保険というのは、契約当時の予定利回りが契約終了まで変わることがないしたがって、終身保険(低解約返戻金型)の場合、金利が下降しているときに加入すべき商品であり、現在のような金利上昇しかない時代に、あえて終身保険(低解約返戻金型)に加入する意味がない
●終身保険(低解約返戻金型)の場合、インフレに対応していない

上記の2点については、(利差)配当付終身保険を選択することによって、回避できることだと理解していますが、配当についてまだ私の勉強不足なのでしょうか。
このHPの人は、無配当の終身のことを言っているのではないかと思うのですが。

 私なりの回答です(特定の生保の商品をお勧めする訳ではありませんし、特定の商品やHPをお勧めしない訳でもありません。あくまでも、私なりに、質問の範囲内で回答したもので、質問以外については一切言及しておりません。ご承知おき下さい)。

●保険というのは、契約当時の予定利回りが契約終了まで変わることがない

→その通りです(引下げなどがないとすればと言うことになりますが。したがって、会社は選ばなければいけません)。

●(低解約返戻金型の)終身保険は、金利が下降しているときに加入すべき商品だ

→金利の上昇により配当が付きますから、金利上昇局面で不利になることはないでしょう(他の商品と比較して、という意味ですが)。
金利上昇局面では、あなたが仰るとおり、無配当は非常に不利です(価値がインフレによって減少するリスクを回避できません)。
おそらくは、無配当の終身保険についての話と勘違いしていると思われます。

●現在のような金利上昇しかない時代に、あえて終身保険(低解約返戻金型)に加入する意味がない

→金利上昇局面については、前の質問で答えましたように、配当付の終身保険は不利でないわけです。
で考えるとすれば、終身保険(特に低解約返戻金型)の年利回りが、例えば、払い込み満了時で解約した場合、+0.6%(保険料の総額に対して)くらいで回ることに対して、いずれ預金金利などがアップすれば0.6%なんてすぐに追い越すよ、ということで比較していると言うことぐらいでしょうか。
それとももっと単純に、予定利率が固定されているということを言いたいのでしょうか(配当が付くということで、その問題は解決してしまうのですが)?

それなら、そのHPでは「積立利率変動型終身」を勧めているのでしょうか(それとも、変額終身?)。
でも、私はその「積立利率変動型」と「配当付」とは発想と役割はほぼ同じだと思っています(変額終身は、元本保証のない「投資」ですので、まったく違いますが)。
むしろ積立利率変動型(変額終身もですが)の設計書は、「○○%で運用できたら」というような確定していない解約返戻金の数字を平気で記載している点で、加入者の勘違いを誘発している点で、注意が必要だと思っています。
この行為は、本来的には保険業法で禁止されている「誤解をさせるおそれのある予想配当の表示の禁止」に、実質的には抵触するのではないか、と思います。
だからこそ、配当でない形にして、運用の予想を記載しているのでしょうが。
それなら配当でさえなければ、確定していない数値を勘違いするように記載しても良いとでも言うのでしょうか(ここまでくる、生保のポリシーの問題)?

結局、ご質問のHPの内容は配当の役割を勘違いしているとしか思えません(生保のおばちゃんに懲りると、外資系の話がまっとうに見える時期が誰にでもあるのですが、それで配当不信になり、配当を頭から否定する人も多いのです。本当の配当の役割を知らないせいなのですが、残念です)。

●インフレに対応していない

→これも配当金の役割を無視している人の発想で、おそらくは変額ものか投資を勧めているFPなのでしょうね(あるいは積立利率変動型ですか)。

先ほどの質問の後で、HP「保険×××××○○○」を見ました。
予想通り(?)、変額だの投信だののお勧めでした(それも外貨建ての)。
そして、そのHPでの、生命保険についての比較のしかたの間違い(つまり配当という点が一切考慮されていない)も、予想通りでした。
比較の内容自体にモレがあるにもかかわらず、保険商品だの投資だのを、数式を使って説明していると、もっともらしく見えるものです。
単に、生命保険のことをよく分からない人が、たまたま終身保険(特に低解約返戻金型)を確定利回り(これも、配当を考慮すると下限が確定しているということなのですが)商品の例として、勘違いして解説をしてしまった、ということでしょうか。





★日本格付研究所の格下げ情報

本日3月31日付けで、日本格付研究所(JCR)は、大和(やまと)生命の保険金支払能力格付けを、従来の「BB+」から1段階引き下げて「BB」へ変更しました。

あくまでも、格付は一つの目安です(格付会社は5社あり、そのうちの一つです)。
過剰な反応は禁物ですが、格付としてはかなり厳しい評価ですから、油断のないように。

ちなみに、日本格付研究所の保険金支払能力格付けの下位ベスト3は、次の通りです

・B+   朝日生命
・BB   大和生命
・BBBー 三井生命

とはいえ、日本格付研究所の保険金支払能力格付けが特別に厳しい格付でないという証明として、次のように上位2社はAAAやAA+の格付を得ています。

・AAA  東京海上あんしん生命
・AA+  日動生命


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