あんしん配達通信マガジン(月刊)


★格付け情報

10月1日付で、S&P、R&I(格付投資情報センター)、日本格付研究所は、東京海上日動あんしん生命(東京海上あんしん生命と日動生命とが、10月1日に合併)の格付けを発表しました。

●S&P:AA−(保険財務力)
「AA」:保険財務力が非常に強い。AAAとの差は小さい

●R&I:AA+(保険金支払能力)
「AA」:保険金支払能力は極めて高く、優れた要素がある

●日本格付研究所:AAA(保険金支払能力)
「AAA」:債務履行の確実性が最も高い

ところで、「公正」や「中立」を謳ったコンサルティングの広告などが最近目につきますが、私はコンサルティングに、「公正」も「中立」も、あり得ないと考えています(私の立場はといえば、「安くて良い保険商品は、存在しない」派、といったところでしょうか。つまり、その考えに立脚・偏向して、生命保険を考えています)。
というより、そのようなコンサルティングであるなら、生命保険というもの対して軸となる考えがないということになってしまい、コンサルティング自体が参考にならないということになってしまうでしょう。
NPOを名乗ることで目先を変え、生保販売の実態を隠してながら、不安に乗じて(不安がない人ならコンサルティングには来ないでしょうから、売りつける方からすればコンサルティングに来る人は、みんなが良いお客になりかねません)、不要な商品を売りつけるようなコンサルティングも、実際に行われています。
FPであろうと、マネー雑誌に書いてあろうと、公正・中立ということはありません(と、私は考えます)。

この辺のことや、週刊ダイヤモンド(03.10.4号)「生損保32社”一押し商品”評価」の評価をした「プロ」が、どう考えても、「安くて良い保険商品がある派」または、「新商品は、安くなって良くなっている派」に属している、偏った人選による評価であることへの感想や、その号で掲載されている「乗り換えたい保険会社ランキング」というのが、これまたTV−CM・新聞広告を一生懸命に垂れ流し、それにより「安くて良い保険商品がある」または、「新商品は、安くなって良くなっている」と勘違いさせられ、パンフレットを比較すればきっと良い保険が見つかるとメリットのみ勉強(デメリットが裏にくっついてくると言うことには気づいていないのですが)した「青い鳥症候群」の人が選んだ生命保険会のランキングではないのかという疑問を、次号にまとめたいと考えています。
できるだけ早めに、まとめたいと思っていますが、いつになるかは未定です。





★無事故ボーナスの無事故って?

旧聞になってしまいましたが、先月初め、読売新聞で「金融広告の読み方」という特集がありました。
広告収入で食っている新聞というメディアの特集であるという点を考えると、かなりイイ線いっていたようにも思いますが、ある意味、あれが新聞の限界ということなのかもしれません。
実は、その件で私どもにも取材の要請があり、相談者のご協力を得て、記者の方に実際のコンサルティングの模様などを公開したり、「優良誤認」の事例について話をしました。
ただ、顔出し不可という条件でお受けしたため、顔出し可のFPの方しか紙面には出ておりませんでしたが。
で、そこでは取り上げられなかったレベルの「優良誤認」になりかねないパンフレットの表記について、今回は目についたものを取り上げてみます(特定の商品に関しての内容となりますが、その商品を誹謗中傷しようと言うことではありません。「うまい話」がないということの例として、TV−CMなどで認知されている商品を取り上げさせていただく訳です)。

●「10年間無事故で20万円のボーナス」の事故って、何のこと?

皆さんにしてみれば、「事故」は事故でしかないのだから、文面通り読めば、10年間事故(ケガ)で入院しなければ、20万円のボーナスがもらえる、と思うのではないでしょうか。
ところが、この「事故」という文言は、一般的な事故という言葉ではなく、専門用語としても「保険事故」(保険金給付を受ける事由)のことなのです。
そのため、同じ「事故」という言葉であっても、「保険事故」という専門用語になると、ケガ(災害)の入院だけでなく病気(疾病)での入院も該当することになってしまうため、病気の入院で入院給付を受け取ってしまうと、20万円のボーナスは受け取れないことになってしまうのです(ただし、短期疾病入院給付・短期災害入院給付や手術給付を受け取っても、無事故ボーナスは受け取れます)。
そうなると、20万円のボーナスを受け取るためには、入院をしたとしても、その入院で受け取る給付額よりボーナス20万円の方が多い場合、入院請求をしないケースも出てくるものと考えられます(当然、そこまで考えて、保険料は設定されているはずです)。
であるなら、そもそも10年間の入院保障に保険料を払う必要があるのでしょうか(だって、10年間、入院しないでボーナスを受け取る自信があるなら、保険料をただ「タンス預金」した方が、はるかに20万円より多く貯まります)。
例えば、40歳・男性で入院日額1万円のプランの場合、保険料は月額4,450円となり、10年間の支払額は534,000円に上ります。
で、「無事故」の場合は、20万円のボーナスを受け取れるわけですが、10年間で支払った保険料の総額から考えるとボーナスの返戻率は37.45%となり、とても、保障もあってお金も貯まるといった、TV−CMのイメージの内容にはなっていないと思います。

●10年ごとに保険料がアップする?

しかも、この商品は、「10年間は保険料は変わりません」などとパンフレットに記載して、それがメリットであるかのように表記していますが、冷静に読めば10年ごとに保険料がアップし続け、保障が必要なうちは死ぬまで保険料を払い続けなければいけない、というものすごいデメリットを抱えています。
でもそれをメリットに思わせるのですから、大したものです(つまり、入院のリスクの低い年齢のうちは、保険料が安く見えるだけ)。
60歳や70歳、80歳以降の保険料を、きちんと表記していないパンフレットを見ても、なかなか負担のアップ幅を実感できないかもしれませんが、保険料の負担を実感したとたん、「保険料の切れ目が保障の終わり」ということになるのではないでしょうか。

●長期入院に役に立つ?

さらに、私が見ているこの商品の新聞広告には、「平成13年度生活保障に関する調査」(生命保険文化センター)を引用して、「長期入院で医療費がかさむ」「治療の長期化で収入が途絶える」などの不安が多いということをあげ、だからこそ「そのような不安時に考えたいのが○○入院保険」と宣伝しています(○○は、商品名です)。
ところが、驚くことに、この入院保険は長期の入院には十分対応できないのです。
というのは、この商品は1入院の上限日数が60日と少なくなっており、これまでの入院保険の主流であった120日型の半分までしか1回の入院では連続して給付を受けられません(同じ病気の入院の場合、半年未満の入院の繰り返し、転院はすべて1入院の連続となります)。
とすると、長期入院や治療の長期化は、この商品にとっては「売り」ではなく、ウィークポイント(アキレス腱)でしかないはずなのに、それすらもお勧めの材料にしてしまう、その優良誤認に対する飽くなきどん欲さは、ある意味、頭が下がる思いです。

●まとめ

以上、代表的な(皆さんの目につく)商品を例に私なりに、優良誤認となりかねない表記を取り上げ、解説してみました。
で、何が言いたいのかというと、「保険会社(大企業)は嘘つきだ」という特定のイデオロギーを信奉している方のような幼稚なことを言いたいのではありません。
次のような当たり前の話です。
  • パンフレットは、メリットしか記載されていない(デメリットすら、メリットに見せてしまう。デメリットを記載しているパンフレットなんて、見たことありますか?)
  • 安くて良い保険なんてものはない。安いものは安いなりの保障でしかない(ただし、保険料を払えばいい保障にできるかというと、そうではない)。
    ただし、安いなりの保障でいいという人には、安いなりの商品はある。
  • パンフレットをいくら勉強しても、メリットについては詳しくなれても、デメリットや落とし穴は勉強できない。
  • 保障の内容や保険料負担を考えるときは、自分が60歳(または定年)になって、働くことで得られていた収入がなくなった時の視点で考えておかないと、老後に役に立たない保障になってしまう。
  • 広告に使われている用語は、金融庁や生保協会などで統一されている訳ではない。
    したがって、その用語の意味を、一般的な意味なのか、専門用語としての意味なのか、保険約款などを参照して確認し、自分勝手に、自分の都合の良いように解釈してはいけない。

以上は当たり前の話ですが、その当たり前よりうまい話があるかのようにパンフレットや保険商品は組み立てられている場合もありますから、十分にご注意下さい。


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