★「公正中立」と「客観的」はコンサルティングで両立するのか
いつも、「生命保険(金融商品)に、うまい話はない」という前提で、セールスやパンフレット・TV−CMの優良誤認ポイントを解説しておりますが、今回は、コンサルティングの優良誤認について、まとめてみます(「コンサルティングにも、うまい話はない」ということです)。
そこで、私が一番ひっかかりを感じるのは、「公正中立」と「客観的」という謳い文句です。
生命保険のことで悩んでいらっしゃる方の場合、とくに今加入しているものは、一方的に、生保会社やそのセールス(担当者)が得をするようなプランであって、自分にはメリットがほとんどないプランだと感じていらっしゃる方ほど、次のプランを検討する際は、コンサルティングの相手に「公正中立」で「客観的」を求めることになりがちです。
そのため、「安くて良い保険」をパンフレットを集めることで探そうとするように、「公正中立」で「客観的」なコンサルティングを追い求めて、コンサルティングのはしごを重ねることになることも考えられます。
ところがよく考えてみると、「公正中立」と「客観的」は、相対立するもので、したがって、それが両立するようコンサルティングに求めることは、「安くていい保険はない」と同じくらい、あり得ない話なのです(青い鳥を求めるようなものです)。
●公正中立とは
「公正中立」というのは、とても聞こえのいい言葉ですが、世の中に、絶対に公正なこと、絶対に中立なことということは、ありません。
あるとすれば、その人(例えば、コンサルティングを行うFP)が考える「公正」であり「中立」だけなのです。
とすると、「公正中立」というのは、主観であって、誰にとっても合致する「公正中立」は成り立たない、ということになります。
それでも「公正中立」を標榜するとしたら、それは独断でしかなく、例えば「私が、公正中立と考えている」ということの範囲内でのこととなります。
それは、絶対に得(損)とか、絶対に正解(間違い)、ということがコンサルティングでは、あり得ないということと同じであり、それが「公正中立」を装っていたとしても、客観的とは対極にあるコンサルティングになってしまうことを意味します。
●客観的とは
客観的というと、すぐ商品同士を比較することを考えます。
それは間違いではないのですが、比較で陥りやすい最大の失敗は、メリットだけを比較しようとすることだと思います。
実際、パンフレットを集めて自分で比較表を作ろうとした場合、パンフレットに羅列されているメリットしか比較できないということになりがちです。
それは、パンフレットにはデメリットが、まるでデメリットに見えないようにしか(場合によってはメリットに見えるように)記載されていないということが最大の原因ですが、加えて基本的にパンフレットに記載すべき項目・表記に決まりがないことも、比較表の作成を阻害する要因となっています。
ようは、パンフレットを集めても、デメリットまで考えた比較表は作れないということなのです。
となると、頼りたくなるのがマネー雑誌等の比較表なのですが、これにも私は問題があると、私は考えています。
というのも、比較表の項目立てに恣意が入り込む要素が大きく(スポンサーには逆らえません)、それなのに皆さんは比較表に○が一番多くあるものか、×が一番少ないものを選択しようとすることになるわけで、非常に雑誌などの誘導が入り込む余地が大きいと言わざるを得ません。
ということで、客観的ということも、なかなかその材料を十分に集められないと、十分な客観性を持たせることが難しいということになってしまいます。
あるいは、客観的と言いながら、主観的に比較を作成することも可能ですから、十分な注意が必要といえるでしょう。
以上、すべてについて網羅的にまとめることはできませんでしたが、思いついた点をまとめてみました。
ポイントは、コンサルティングでもセールスでも、完全な「公正中立」も「客観的」も、あり得ないと言うことです。
とくに、「公正中立」は「客観的」とは両立しないと考えた場合、「公正中立」を強調するコンサルティングは、それだけで「客観性」に疑問を持たざるを得ない、と考える視点を持つことも重要だと思います。
ということから考えると、
・NPOがやっているから
・公的な機関がやっているから
・独立系のFPがやっているから
等ということで、「公正中立」や「客観的」を追い求めても意味がないということにもなります。
生保の社員(セールス)でも、メリットとデメリットをしっかりと説明できるFPはいますし、独立系FP等でも、コミッションのために単純な話を複雑にすることで、「うまい話がある」ように誤解させる人もいます。
つまり、そこ(優良誤認)を見極めるには、肩書きではない、ということに十分な注意が必要だといえます(すべての生保のセールスが信頼に足ると言うことではありませんので、誤解のないように)。
なお、当然ですが、以上の内容は独断であり、「公正中立」でも「客観的」でもありませんので、ご注意下さい。
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