4月から保険料がアップ

保険料の負担はどう変わった?

 


 

すでにマスコミなどでご存じでしょうが、4月2日から生命保険の新規契約保険料がアップします(ただし、1ヶ月ほどアップの時期がずれる保険会社もあるようです)。

なぜアップするのかというと、保険料の算定の基礎となる予定利率が引き下げられるためなのですが、今回の保険料の改定で特徴的なことは、その引き下げ幅が保険会社によって異なった点です(つまり、保険料の横並びが崩れてしまいました)。

これぞ、ビッグバンという感じですが、もう一歩踏み込んで考えると、それなら保険料のアップをしなくてもいい会社があってもいい(今回の保険料アップは、経営が苦しい会社を救済する意味合いが強いようにいわれています)ような気もするのですが、そこは依然お役所(金融監督庁?)主導の体質が抜けない業界の体質を暴露してしまったようです。

ところが、保険料が上がるどころか下がる保険会社があるのです。
なんと良心的な、経営の健全な保険会社があったものではないでしょうか、と思いませんか?
でもご注意。
うまい話には裏が当然あります(そう、まるで定期付き終身のように)。

そこで、なぜ保険料が下がるのか、どこに注意しないといけないか、書き出してみます。ただし、あくまでも一般論で、特定の生命保険会社を中傷するものではありませんので、誤解のないように。

 

  1. 掛け捨ての保険料が引き下げに

    引き下げられるのは掛け捨ての保険についてのみです。
    つまり、貯蓄性のある終身保険や養老保険、個人年金は引き上げになっています(ただし、終身保険に大きな掛け捨ての保険をセットしている「定期付き終身」などは、掛け捨て保険料の割合が非常に多いことから、終身保険としてでなく掛け捨て保険として、当座の負担が下がる模様です)。
    ということは、いまだにお客様のニーズに関係なく、過大な保障を売りつけようとする姿勢は全く改められていないということが分かります。

    また、今回、掛け捨ての保険料が引き下げられたのも、その理由(根拠)がよく分かりません。
    事業費(つまり事務にかかる経費)を圧縮することで掛け捨ての保険料を引き下げたと説明していますが、なぜ今引き下げを一斉に行ったのか、これまでの保険料はやはり儲けすぎだったのか、既存の契約者の方の納得を得られるのでしょうか。
    むしろ、終身保険などの保険料がアップすると保険契約の伸びが減少ることが予想されるため、それを何とか回避するために、無理矢理理由を付けて「定期付き終身などのセット商品なら保険料負担はほとんど変わりません」とセールスするために、掛け捨ての保険料を引き下げたと考えた方が自然でしょう。

  2. マイレージ・高額割引はお得?

    今回の保険料改定の目玉が、この「マイレージなど」です。
    各社それぞれに内容は異なりますが、概要を見ますと次のように括れるようです(個別の保険会社によっては実施内容が細かい点で異なっています)。

    ・保障額が大きいほどマイレージが貯まる
    →つまり、掛け捨てが多い保険に入れば入るほど、マイレージが貯まる。
     定期付き終身を売りたいための方策ではないか?

    ・新規に契約することで、マイレージなどに参加できる。ただし、その場合は既存の契約も対象となる。
    →つまり、マイレージの対象になりたければ、わざわざ新規にいらない保険に入る必要がある。それも、定期付き終身に。

    とすると、保険料の改定によって保険料がアップすることをいかにお客様に悟られずに新規の契約を獲得するか、苦肉の策といえるでしょうか。

  3. 既存の契約を解約するのは思うつぼ

    きっと、4月に入った時点で生保レディーは、これまでの保険を転換して(転換というのは実質は既存契約の解約のことです)新しい契約にした方が、保険料の負担が軽くできるといってセールスするでしょう。
    この言い方はまだ良心的です。単に「転換すると、保障内容もよくできて、保険料の負担も軽くできる」といって、既存の契約をいったん解約することをはっきり言わずに転換を勧めるかもしれません。
    しかし、注意してください。

    ・本当に保険の内容はよくなっていますか。単に掛け捨ての保障が多くなっているのではありませんか。終身保険の保障額が減っていないかチェックしましょう。
    ・解約返戻金の推移を確認しましょう。また、保険料の累計額も教えてもらいましょう。おそらく、払った保険料の1割りも貯まっていないのではないでしょうか。
    ・予定利率は下がっていませんか。予定利率が下がるということは、とりもなおさず貯蓄性が悪くなることを意味します。この点も確認しましょう。

    ところで、このチェックポイントを聞いて教えてくれない人は、セールスとして失格です。また、本当に定期付き終身にニーズが合致している場合には、今回の改定はお得になる場合があります。
    きちんと比較・検討してみてください。
    つまり、生保レディーがいうほどメリットはないということです(むしろ、言いなりになると、それまでより悪い内容になるかもしれません)。

  4. まずニーズありき

    「負担が軽くなる」「お得」といわれても、飛びついてはいけません。
    以前にも、リビングニーズ特約が登場したときに、不要な人まで転換をさせられたことがあります。
    本当に自分のニーズにあった提案なのか、よく考えましょう。
    そのときに気をつけてほしいのは、次の点です。

    ・保障額が大きくても、いい保険とは限らない
    ・現時点の保険料が安くても、最後まで負担が軽いとは限らない
    ・特約がたくさん付いていても、リスクがすべてカバーできるわけではない
    ・人間、死ぬのは60歳をすぎてから

  5. 生命保険の価格競争が本格化

    これまでは、どこの生保会社も保険料は同じだから、プレゼントがいいところにしよう、と思って契約をしていたでしょう?
    しかし、これからは次の点で差が付いてしまいます。
    生保会社もここで選別しないと、きっと損です。

    ・会社の経営内容(財務内容、格付け)
    ・保険料(今回の保険料改定から、大きな差が出ています)
    ・配当金(横並びの配当は、昔話となりました)

       

 


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