2003年4月からの医療費負担

医療費の負担が、2003年4月から変わる予定です。
それにより、これまでより医療費の自己負担額がアップすることになります。
とくに、70歳以上の方の医療費は、下記の表をご覧いただくとお分かりのように、70歳未満の方よりもアップ感が強くなっています。
ただし、それだからといって「終身の医療保険」に加入しなければいけないのか、といえば決してそうではありません。
なぜなら、医療保険には次の点で、弱点があるからです(あるいは、医療保険に逃げた方が安上がりだと思いこんでしまうと、あとで気が付く落とし穴)。

それにしても、日経が医療費アップのニュースを報じた翌日の紙面で、医療保険の提灯記事を掲載するなんぞは、マッチポンプの典型例といえましょうか(失敗しない医療保険選びなんてことを記事にするのであれば、医療保険だけで、数十年後の老後の医療費の不足をきちんとカバーできるのかどうか、といったポイントから解説すべき。今回の記事では、医療保険に対しての下記のような懐疑はほとんど述べられていない)。

● そもそも保険料は、働けるうちに負担して、保険が本当に役に立つ老後には負担が残らないようにすべき(終身払いは、最終手段で、最初からの選択ではない。あるのに、日経の記事は10年更新型と終身払い型の選択肢しかないかのような内容である。終身医療保険で60歳払いという選択肢があることを知らないのか、そもそも例に取り上げていたオリックス生命にそのような商品がいないのか。お粗末の一言)。

● 入院しなければ、医療保険の保険料は、結果として掛け捨てになる(掛け捨てでない、といっているTV−CMの場合、保険料の一部分でも戻せば掛け捨てではないという考えからあのように宣伝しているが、本来の掛け捨てではないという意味からは、払った保険料の100%以上が戻ってくる場合以外は「掛け捨てではない」という文言は使うべきではない)。
しかも、入院もかなりまとまった日数をしないと、元が取れない(損益分岐日数がある)。

● 自己負担額がアップしたといっても、そもそも健康保険の対象になる治療や入院の自己負担は所詮3割で済む訳だから、不足するもので心配なのは「差額ベッド代」である。

● 終身といっても、入院日数の通算がある(一生涯の入院が確保できるわけではない)。

● 1入院上限が60日に医療保険の場合、老後に役に立つのか?
1泊からの入院給付よりも、1入院の上限が120日あるいは360日の方が、老後は役に立つはず。
ちなみに、脳梗塞の平均在院日数は119.9日。
また、1入院上限を考える場合で、実際はそんなに長く病院が入院させてくれないから60日で十分と思っているのなら大間違い。
通常は半年間空けた入退院でないと、1入院の継続と見なされるため、例えば、転院した場合でも1入院の継続と見なされる。

ということは、病院が長く入院させてくれないという理由で、1入院の上限を60日に短縮すること(それも1泊からの入院給付が出ると言うことと引き替えにして)は、老後の心配をカバーできない、あるいはリスクを大きくしてしまうことになってしまうのではないか。
逆に、老後の入院で考えるなら、1泊で終わる入院がどれほどあるだろうか。
日帰り手術が増えるのではと言う質問については、そもそも手術給付は現時点でも入院が要件ではないので、日帰り手術であっても、給付の対象になる手術であれば、手術給付が受けられると言うことで、十分な答えになる。

● パンフレットに記載されている数字(傷病別入院患者の1日当たりの医療費など)は、自己負担の額でない場合が多い(パンフレットには、そのような断り書きが小さく記載されている)。
つまり、実際の自己負担は、パンフレットに記載されている金額よりももっと少なくなる場合がほとんどである。

● 40年後、50年後、インフレによって入院給付額が陳腐化する恐れが非常に高い。
かといって、それに合わせるために、入院給付額を多くすることは、結果として保険料のアップにつながり、掛け捨ての保険料が多くなってしまうリスクを背負い込むことになる。
つまり、医療保険だけでは、必要な保障は入院だけというニーズには、老後に関して言うと応えられないと言うことになる。
どうするかといえば、医療保険の保険料だけではなく、それにプラスして、貯金するか、終身保険(ただし、無配当ではインフレに対応できませんが)を土台にしたプランにするしかありません(終身保険は、保険料の払込終了時に解約しても、払った保険料とほぼ同じ金額の解約返戻金が貯まる点がポイント)。

● 結果として、皆さんの保険選びは、老後に如何に役に立たせるかではなく、加入したらすぐにどんな得ができるのか、ということでしか選択していないと言うことです。
生命保険は老後に役に立つ、これを忘れないように。

以上、大きなポイントを上げてみました。
ようは、あのような提灯記事や、盛んに流されているTV−CMには騙されないようにということです。

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