生保17社 2006年3月期 “営業力”ランキング 日経金融新聞(2006年5月30日付) |
恒例の「日経金融新聞」の生保ランキングですが、今期は前回と同様“営業力”ランキングという形で、5月30日付の紙面に掲載されました。
ただし、毎回、猫の目のように指標が変わる「日経金融新聞」の生保ランキングのこと、今回も以下の指標が前回と入れ替わっています。
●顧客基盤(保有契約件数) ← 事業規模(保険料等収入)
●成長力(保有契約年換算保険料の増減率) ← 成長力(保険料収入等の増減率)
顧客基盤も事業規模も、基本的には社歴の古い生保の方が有利と言える指標ですが、保有契約件数とした場合、構成員規制の対象とならない「第3分野」の契約も1件とカウントされるため、日米保険協議で2000年まで医療保険やガン保険、介護保険の販売を独占できた外資系生保が有利となる指標といえるでしょう。
とはいえ、顧客基盤というのなら、そもそもの保有契約件数が純減している生保は、顧客基盤が劣化しているといえるはずですから、単純に保有契約件数が多い順でポイントを付けるのは、非常にお粗末な訳ですが、残念ながら、大手生保の回復を印象づけたかったからなのか、「日経金融」を謳う新聞でありながら、単純な保有件数の順位でポイントを付けています。
成長力については、「成長力」自体は前回と同じですが、内容が「保険料収入等の増減率」から「保有契約年換算保険料の増減率」へと変わっています。
この変更は妥当といえますが、それならば、わざわざ「新市場開拓力」で「第3分野の新契約年換算保険料の増減率」で順位を付ける必要があるのでしょうか。
「第3分野の新契約年換算保険料の増減率」で順位を付けることで、第3分野の商品の契約件数が多い生保(つまり外資系生保。特に2社)よりも、これまでは少なかった生保(つまり大手生保)の方が増減率は高くなるはずで、この指標も、残念ながら、大手生保の回復を印象づけたいがために、「成長力」とかぶるような指標を使ったように見えてしまいます。
つまりは、指標の継続性が維持できないランキングにどれほどの意味があるのか、疑問を感じざるを得ないと言うわけです。
ということから、今回は、「顧客基盤(保有契約件数)」について、保有契約件数が純増しているか純減しているかで、指標を補正して、ランキングを作り直してみました(ただし、この補正をしたから正しいランキングだと言うことではありませんので、お間違いのないように。どんなランキングでも、指標の選択や加工・補正次第で、特定の生保を良くも悪くも見せることが可能である、ということが感覚としてお分かりいただければと思います)。
さて、補正前と補正後、どちらのランキングが、より決算内容をより正確に反映しているでしょうか。
ご自分でご判断ください。
どんなランキングにも、すべて意図があるはずですから。
それと、もう一つ。
前回は確か「主要18社」だったのに、今回は「主要17社」になったことに気がついたあなた、なぜだと思いますか。
外れたのは「AIGエジソン」なのですが、調べてみればすぐ分かるように、保有契約高がついに100,000億円を割り込んだからのようです。
でありながら、「AIGエジソン(93,448億円:前年比97.7%)」よりも保有契約高が低いのに、「主要17社」に「アフラック(84,456億円)」が入れてもらえているのは、おそらく保有契約件数が最多だからなのでしょうが、この辺のお手盛りぶり(つまりはダブルスタンダード)にランキングの限界を感じざるを得ません。
|
“純減”している生保で 区別し直した場合のランキング |
そのポイントを 加算した場合のランキング |
格付 |
|||||
|
日本 |
|
|
アリコ |
増 |
|
アリコ |
|
|
アクサ |
|
|
富国 |
|
日本 |
|
|
|
住友 |
|
|
アフラック |
東京海上日動あんしん |
|
||
|
アリコ |
|
東京海上日動あんしん |
|
アクサ |
|
||
|
富国 |
|
|
大同 |
|
住友 |
|
|
|
第一 |
|
|
ソニー |
|
アフラック |
|
|
太陽 |
|
プルデンシャル |
|
富国 |
|
|||
三井 |
|
朝日 |
|
第一 |
|
|||
アフラック |
|
日本 |
減 |
大同 |
|
|||
東京海上日動あんしん |
|
アクサ |
|
三井 |
|
|||
|
AIGスター |
|
|
住友 |
|
ソニー |
|
|
|
大同 |
|
|
第一 |
|
AIGスター |
|
|
|
ジブラルタ |
|
太陽 |
|
太陽 |
|
||
|
ソニー |
|
三井 |
プルデンシャル |
|
|||
|
明治安田 |
|
|
AIGスター |
|
ジブラルタル |
|
|
|
プルデンシャル |
|
|
ジブラルタ |
|
朝日 |
|
|
|
朝日 |
|
|
明治安田 |
|
明治安田 |
|
|
“純減”している生保で 区別し直した場合のランキング |
||||||
|
アフラック |
1974年設立 |
1,795 |
|
|
アフラック |
増 |
|
日本 |
1889年設立 |
1,595 |
|
|
朝日 |
|
|
第一 |
1902年設立 |
1,267 |
|
|
アリコ |
|
|
明治安田 |
1880年設立 |
1,147 |
|
|
ソニー |
|
|
住友 |
1926年設立 |
1,123 |
|
|
富国 |
|
|
朝日 |
1888年設立 |
833 |
|
|
大同 |
|
|
アリコ |
1972年設立 |
589 |
|
|
東京海上日動あんしん |
|
|
太陽 |
1893年設立 |
473 |
|
|
プルデンシャル |
|
|
ジブラルタル |
1935年設立 |
388 |
|
|
日本 |
減 |
|
アクサ |
1934年設立 |
386 |
|
|
第一 |
|
|
ソニー |
1979年設立 |
384 |
|
|
明治安田 |
|
|
富国 |
1923年設立 |
371 |
|
|
住友 |
|
|
三井 |
1914年設立 |
339 |
|
|
太陽 |
|
|
大同 |
1895年設立 |
214 |
|
|
ジブラルタ |
|
|
東京海上日動あんしん |
1996年設立 |
205 |
|
|
アクサ |
|
|
プルデンシャル |
1987年設立 |
200 |
|
|
三井 |
|
|
AIGスター |
1904年設立 |
175 |
|
|
AIGスター |
|
|||
|
アリコ |
20.5% |
|
|
AIGスター |
13.6% |
|
|
プルデンシャル |
12.5% |
|
|
東京海上日動あんしん |
10.6% |
|
|
アクサ |
8.1% |
|
|
アフラック |
6.0% |
|
|
ソニー |
5.2% |
|
|
富国 |
3.2% |
|
|
大同 |
2.1% |
|
|
住友 |
2.0% |
|
|
ジブラルタ |
1.4% |
|
|
日本 |
▲0.8% |
|
第一 |
|||
|
三井 |
▲1.7% |
|
|
朝日 |
▲2.7% |
|
|
太陽 |
▲5.0% |
|
|
明治安田 |
▲8.4% |
|
|
|||
|
東京海上日動あんしん |
57.9% |
|
|
アクサ |
56.8% |
|
|
三井 |
37.2% |
|
|
AIGスター |
29.2% |
|
|
日本 |
20.0% |
|
|
ジブラルタ |
8.4% |
|
|
住友 |
7.9% |
|
|
大同 |
3.4% |
|
|
太陽 |
1.0% |
|
|
アフラック |
▲1.2% |
|
|
富国 |
▲3.7% |
|
|
プルデンシャル |
▲4.8% |
|
|
アリコ |
▲5.0% |
|
|
第一 |
▲6.3% |
|
|
朝日 |
▲8.7% |
|
|
ソニー |
▲10.1% |
|
|
明治安田 |
▲21.6% |
|
|
|||
|
太陽 |
10.0% |
|
|
富国 |
10.8% |
|
|
日本 |
11.1% |
|
|
三井 |
11.8% |
|
|
第一 |
12.3% |
|
|
住友 |
12.5% |
|
大同 |
|||
|
明治安田 |
12.8% |
|
|
ソニー |
14.1% |
|
|
アクサ |
14.3% |
|
|
アリコ |
15.6% |
|
|
AIGスター |
16.2% |
|
|
ジブラルタ |
17.6% |
|
|
東京海上日動あんしん |
17.9% |
|
|
朝日 |
18.8% |
|
|
プルデンシャル |
19.2% |
|
|
アフラック |
23.6% |
|
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