●●●●● 5月のトピックス ●●●●●


生命保険に限定せずに、金融関係についての
お勧めの書籍をご紹介いたします。

ポートフォリオについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「金融工学マネーゲームの魔術」吉本佳生 著
(講談社プラスアルファ新書刊)定価880円(税別)


この本をお勧めする訳は、「ポートフォリオ」について、数式なしに説明されている点です。
金融工学についての書籍は新書版などで、有名な出版社から数冊が発行されていますが、わかりやすさの点では、?がつきます。
少なくとも、理数系が得意でない私には、他のものは睡眠薬以外の何ものでもありませんでした。


さて、肝心の「ポートフォリオ」ですが、この本では、皆さんが一番勘違いし(惑わされ)やすい点を、明確に否定してくれています。
それは、「ポートフォリオを組めば、収益がアップする」と言う勘違いで、本来の「ポートフォリオ」の役割は「リスクを減らす」ことであることを、数式なしで説明しています。


したがって、金融商品の広告も、この視点で考える必要がありますし、FPがポートフォリオを強調する場合も、本来の意味でポートフォリオを理解しているのかどうか、判断しなければいけません。

介護について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「介護保険 何がどう変わるか」春山 満 著
(講談社現代新書刊)定価660円(税別)


この本をお勧めする訳は、「介護」について、介護される立場からの本当の意味での介護のあり方が説明されているからです。
特に「人生の最期、半数以上の人が寝たきりになる」(p.30)ことが、厚生省の数値を上げて、説明されており、介護が他人事でないことを証明してくれています。

また、現状の介護の問題点も、「第三部 介護保険の落とし穴」や「第四部 介護先進国の覚悟」に指摘されており、日本の介護のあり方の問題点が、公的介護保険の欠陥をあげつらうことに終始することなく、介護のあり方を提議していることも特筆されます。


その中の一つをあげるなら、「ボランティアとプロフェッショナルの違い」(p.136)がいいでしょう。
日本の介護現場がボランティア頼みであることと、ボランティアの関わるべき仕事の境界線が曖昧であることの疑問をデンマークの例を上げて指摘しています。
「体に触るということは、プロフェッショナル・サービスなんです。ボランティアではできない仕事なんです。ボランティアにそんな仕事をさせてはいけません」
つまり、善意のボランティアとプロのサービス(診療報酬を支払うことの対価としての)は、両立しないということをこのデンマークの介護施設長に語らせています。ちなみに、ボランティアは介護施設で、植木の担当やバザーのウエイトレスをやっているそうで、無償のボランティアが責任を持てる範囲はこのあたりというのは、介護を受ける立場からすれば当然といえるでしょう(ボランティアの方がいくら志が高いといっても、最終的な責任は負うことができないわけですから)。