●●●●● 2月のトピックス ●●●●●


今月は、4月の保険料アップを見越して盛んにお勧めされると思われる
「個人年金」について
今加入することにはメリットが少ない理由を上げてみます。
とくに、
「年金額90万円を10年間受け取り」

「900万円の価値がある」

とセールスに思いこまされて、
個人年金は預貯金より得と勘違いされていらっしゃる方
頭を冷やしましょう。

「年金現価」という視点から、個人年金をご検討ください。

個人年金の利回りの算出は?・・・・・・・・・・・・・・
・年金現価とは?
個人年金の損得を考える際に一番重要なのは「年金現価」がいくらなのか、きちんと把握することです。
例えば、90万円の基本年金額の個人年金で、受取期間は10年確定の商品に加入した場合を考えてみます。
一般的には、
90万円×10年=900万円
の価値があると思い、利回り(年利回り)を算出する際にも、
(900万円−保険料の総額)÷保険料の総額÷保険料の払込期間
で計算すると思います。
ところが、これが大きな間違いです。
簡単に言うと、「90万円の年金を10年間支払い続けるために必要な資金は900万円より少ない」ということです。
つまり、「最初の年金支払いの時点に900万円なくても、あとの9年間に残りの資金を運用していくことで資金を増やすことができる」ということで、現在の条件(予定利率2.00%として)でいうと「最初の年金支払いの時点で
約808万円があれば、90万円の年金を10年間支払える」ことになります。

808万円は年金現価係数表を見ないと計算できませんが、808万円が分かれば、利回りを算出することは簡単です。
(8,084,700円−保険料の総額)÷保険料の総額÷保険料の払込期間
となりますから、簡易保険の個人年金を例(50歳・女性、10年間払込、60歳から年金支給・10年受け取り)に算出してみますと、次のようになります。
(8,084,700円−7,948,800円)÷7,948,800円÷10年
=0.17%
つまり、年利回りは0.17%ということで、これなら預貯金と変わらないのに、10年間は資金移動に不自由を来すのでは、決してお得とは言えないことがご理解いただけるでしょう。
ところが、私が参考にしている簡易保険のチラシでは、当然、年金現価については全く触れられていません。
したがって、このチラシだけ見れて年金現価を900万円と誤解して計算してしまうと、なんと年利回りは1.32%にもなってしまいます。
つまり、皆さんが老後資金は利回りの有利な個人年金へと思っていたとしても、それは大いなる幻想なわけです(上記の計算はあくまでも簡易的なものです。この要素だけで個人年金の保険料などが設計されているわけではありません。あくまでも個人年金のメリットを誤解をしないための目安としてお考えください)。

・配当金の働き
それでも配当金が付くのでは?と思われるかもしれませんが、これは「配当が付くときはものの値段が上がるとき」と、正しい配当の認識をしていただいていれば、配当が付くことで受取額がアップしても、使える価値が増えたわけではないと言うことがご理解いただけると思います(配当金が増えたとしても、現在の価値で年90万円の価値は変わらないと言うことです)。

・老後の生活資金は終身保険でもできる
このように個人年金に魅力がないのは、現在の予定利率が低いという側面もあります。
であるなら、個人年金より予定利率が高い保険商品を活用し、その解約返戻金を年金的に受け取ることで、個人年金に加入するより有利な老後の生活プランを作れる場合があります。
とくにお勧めは、終身保険(配当付き)です。
これでしたら予定利率2.50%の会社もあり、「長割りタイプ」を活用すれば、さらに保険料負担を軽くできます。
具体的には、上記の例と同じ条件(50歳・女性、10年間払込、60歳から年金支給・10年受け取り)で考えてみますと、次のようになります。

保険料:     月65,343円
保険料の総額:7,841,160円
年金額:        約90万円
年利回り:      0.356%
保険金額:     1,380万円

終身保険の場合、個人年金と違い途中で死亡した場合、保険金(この場合は1,380万円)が受け取れます。
ただし、年金と受け取る場合には、この死亡保障はなくなります(ただし、一部を年金に、一部を死亡保障として、というように活用することができます)。

・とにかく慌てて加入しない
「3月までに加入しないと保険料がアップして損」という話はウソではありませんが、「個人年金がお得」という話はウソです(簡易保険を例に取ってありますが、簡易保険以外の年金も同様です)。
十分にご検討して決定すべきでしょう。

お得でない証拠は次の表をご覧ください。
簡易保険のチラシから抜粋してありますが、とくに老後を間近にした
50歳代の方はとくに注意が必要です。
チラシはお得に見えるようにできていますので、冷静に分析してください。

 

簡易保険 個人年金(女性、60歳支払開始、10年受取り)
加入年齢
保険料(月額)
払込期間
保険料の総額
(A)
年金現価
(B)
プラス額
(A)−(B)
利回り(年)
50歳
66,240円
10年
7,948,800
8,084,700
+135,900
0.17%
51歳
74,250円
9年
8,019,000
8,084,700
+65,700
0.09%
52歳
84,240円
8年
8,087,040
8,084,700
+2,340
0.0036%
53歳
97,020円
7年
8,149,680
8,084,700
▲64,980
▲0.113%
54歳
114,120円
6年
8,216,640
8,084,700
▲131,940
▲0.268%
55歳
138,060円
5年
8,283,600
8,084,700
▲198,900
▲0.480%
56歳
173,970円
4年
8,350,560
8,084,700
▲265,860
▲0.796%
57歳
233,820円
3年
8,417,520
8,084,700
▲332,820
▲1.318%
 ※ ▲は−を表しています。したがって、現価に対しプラスかマイナスかを表しています。