●●●●● 11月のトピックス ●●●●●

 

++++++生保以外の金融機関の格付けは?++++++++++++++++++++++++++

 

「生命保険は掛け捨てで十分」といったマネー雑誌の記事の根拠に、必ず「掛け捨ての生命保険の方が、破綻した場合の被害が小さい」といった記述があります。そのため、よく「長い期間の生命保険(マネー雑誌では「終身保険」に置き換えて、「終身保険」のデメリットとしてよく取り上げていますが)は心配なので、やはり掛け捨てが良いのでしょうか?」なんて質問を受けます(実は、定期保険でも保険期間が長いと、貯蓄性が発生するのですが、その辺をFPの方は無視してしまうわけです)。そこで、今回は「生保は破綻するのか?」ということを考えてみたいと思います。

ところで、皆さんは生命保険会社の格付けはご存じですか?
知らない方は

http://www4.plala.or.jp/anshin/link.html

でご覧いただきたいのですが、生保の格付けには大きな幅があるのです(かつ、同じ保険でも会社によって保険料が大きく違うことも覚えておいてください)。
最上位のAAA(トリプル・エー)を持つ会社もあれば、そのずっと下のBB(ダブル・ビー)の会社もあるのです。当然、そのBBの会社に加入している方にとっては破綻は喫緊の課題でしょうが、AAAの会社に加入している方は、今のところ破綻とは無縁であるわけです。
ところが、マネー雑誌ではこの辺の区別をきちんとせずに、生保を一括りにして、すべての生保に破綻の不安があるかのように記述し、場合によっては「終身保険」がまるで破綻に弱い保険であるかのように誹謗する根拠としています。

それでは、生保以外の金融機関はそんなに格付けが優秀なのでしょうか?ちなみに、都銀の格付け(S&P:01/11/06現在)を抜き出してみます。

  あさひ銀行  BBB  三和銀行   BBB+
  第一勧業銀行 BBB+  大和銀行   BB+
  東海銀行   BBB+  東京三菱銀行 A-
  富士銀行   BBB+  三井住友銀行 BBB+

なんと、ペイオフの絡みで預金がどんどん流入していると言われる東京三菱銀行でさえ格付けは「A−(シングル・エーのマイナス)」でしかないのです。
その他はおしなべて、BBBのあたりをうろうろしているに過ぎません。
生保で言えば、確かに大手生保の場合、BBB以下と言うところもありますが、外資系や損保系で言えば、AAの格付けを持っている会社がたくさんあります。
銀行と生保では破綻処理の違いなどで、全く同じ条件と言うことではありませんが、格付けというものを物差しにするのであれば、まず全金融機関の中で生保会社の格付けがどうなのか、きちんと解説した上でなければフェアな記事・記述とは言えないでしょう。

ついでに、格付けに絡んで、よく「やはり保険会社もリスク分散させた方が良いのでしょうか?」と質問されます。
これも、考えてみれば「なーんだ」ということになるのですが、例えば今BBの会社に加入しているのならリスクの分散は必要でしょうが、AA以上の会社からわざわざBBBの会社にリスク分散する必要があるでしょうか。
それこそ「保険料の無駄」でしかなく、リスク分散のつもりがリスクの増大を招いてしまうことになります。

マネー雑誌の記事が嘘を書いているわけではありませんが、所詮は広告収入で経営しているわけですから、「すべての生保会社にやさしい記事」(反対が「読者にやさしい記事」なのでしょうが)しか書けないのです(さらに「すべての金融機関にやさしい記事」となるわけですが)。
したがって、セカンドオピニオン的な立場も維持できず、生命保険のことが知りたくて雑誌を買うのに、余計分からなくなってしまうわけです。
長期の運用となる生命保険は、その特性から破綻が大きな課題となりますが、様々な物差しを使うことで、リスクを回避することは可能です(金融商品は、おしなべてそうですが)。
むしろ、その物差しに参加していない、あるいはその物差しを持っていない金融機関こそ問題なのではないでしょうか?

そういった常識を持たずに、「○○がやっているから安心」「○○グループ(系列)だから、いざというときは何とかなる」などと言っているようでは、本当のリスクは把握できません(そういわれていても生保は破綻するときには破綻しす)。

以上、私の独断でした。何かのご参考になれば。まあ今回はこんなところで。