●●●●● 6月のトピックス ●●●●●


朝日新聞で、なぜか生命保険契約の転換
について、連日のように報道されています

6月18日

「くらしのあした」転換で損してませんか
         目立つ説明不足

6月19日

「くらしのあした」誘い文句に隠された不利
金融監督庁 生保の「転換」検査へ

6月25日

「くらしのあした」

7月3日

生保不安 にじむ総代会

7月4日

「くらしのあした」

7月5日

「くらしのあした」



それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

顧客に十分説明せずに、「転換」メリットのみを説明し、セールスをする「転換」の実態が論じられています。

例えば、保障の見直しを希望する既契約者に対しては、本来、次の3つの選択肢があり、そのメリット、デメリットを十分顧客に説明する必要が、生命保険の募集行為には求められています(保険業法第300条第1項4号)。
1. 今ある保険に特約を付加する方法
2. 転換する方法
3. 他社の保険で代替する方法
  (既契約については、払い済み・延長定期への変更についても説明が必要)

ところが実態(98年度の大手七社)は、1.のケースが約3万件だったのに対して、2.のケースは190万件と、「保障の見直し=転換」であることが、はっきりと現れています。

問題となるのは、以下の点で顧客に不利になる場合があることです。

1. 保険料が安くなりました。
  保険料はほとんど変わらずに、保障内容はこんなによくできます
→ この4月の保険料の改定で、貯蓄性のある商品は値上げに、掛け捨ての商品は値下げになりました。そのため、掛け捨ての大きい定期付き終身は当然保険料が安くなります。
問題は、終身保険の予定利率が2.15%に下がってしまうため、貯蓄性が損なわれてしまうことの説明が十分なされないことがある点です。

また、終身保険(貯蓄性あり)と定期特約(ほとんど貯蓄性なし)の比率を変えることにより、保険料負担のアップを抑えるやり方も見受けられます。
つまり、終身保険300万円に定期特約3700万円だった契約を、終身保険を200万円に削減して定期特約を3800万円にすると、加入時点での保障額の総額はどちらも4000万円ですから、素人目には分かりません。しかし、終身の保障は300万円から200万円に減少しますから、老後の死亡保障や貯蓄性などもそれに伴い減少してしまいます。

2.新しいサービスの適用になるのでお得です
→ この4月の保険料の改定と同時に、大手数社では色々なサービスを導入しています。
例えば、日本生命の「総合口座」や住友生命の「キャッシュバック」などがそうです。
しかし、この恩恵を受けられる商品が「定期付き終身(養老)」に限定されていたり(言い方を変えると、掛け捨てをたくさん付けた商品のみの特典)、この4月に新しく契約したもの(新規加入または転換による)しか特典を受けられない(一部ではそうでない場合もあるかもしれませんが)など、あきらかに「転換」をさせるためのサービスであるとしか考えられません。

ちなみに、6月26日(土)の日経朝刊にある大手生保の広告が掲載されています。
ここでは
・売れています!
・キャッシュバックシステム大好評!!
・定期付き終身保険 前年比150%大躍進
・不良債権処理の完結(ソルベンシーマージンの記載はあるものの、なぜか財務格付けについては、一切ふれていません)
と景気のいい言葉が並べられていますが、なぜここで定期付き終身保険が急に売れたのかと言えば、転換で売ったからとしか考えられません(なぜなら、この生保の98年度 個人保険 純増加額はランキング43社中42位の▲88,399億円だったのですから)。
※ 純増加額=新規契約額ー解約額 と考えてください



結論としては、転換も定期付き終身も十分な説明を受け、メリットとデメリットを理解して納得された上で加入するのであれば、悪いシステム・商品ではありません。
問題なのは、新規に顧客を獲得できないため、既契約者食い物にするというセールスが、一部で見受けられる点です。
「生命保険は、皆様の財産です」などと設計書に印刷されているからと言って安心してはいけません。
生命保険も、うまい話には要注意です。