「医療保険に気をつけろ!」

週刊ダイヤモンド(06.12.09号)



先週号(06.12.02号)の「“投信”の罠」も、“銀行・証券・郵便局の言いなりになるな!”というサブタイトルの通り、なかなか読み応えのある内容になっていましたが、今週号の「医療保険に気をつけろ!」も、商売上の様々な制約がある中、非常に当たり前のことを正々堂々と主張している点で、評価できる内容となっています。
もっとも、このHPを熟読していただければ、当たり前のように書いてあることでしかないのですが、世間的に認められている金融専門誌が、このHPの内容を追認してくれたという意味は大きいと思います。
でないと、このHPの内容は、単なる誹謗中傷と言われかねませんから。
何はともあれ、是非、店頭でご一読ください。
下手な、保険の本を買うよりは、役に立つでしょう。
もっとも、医療保険は生命保険での位置づけとしては「枝葉」でしかありませんので、お間違いのないように。

それでは、早速、注目して欲しいポイントを、抜き出してみます。


米系保険会社のために“参入規制”された医療保険
ガン保険で圧倒的なシェアを誇るアフラックが、昔よくインタビューなどで、「日本の生保がガン保険を売らないのは、儲からないからなのでしょうね」と、まるで自社はボランティアでガン保険を販売しているようなことを言っていましたが、ようは、裏では日本の生保の参入を妨害していたわけです。
なぜかと言えば、がん保険は儲かるうえに、第三分野の商品が構成員規制の対象外だったからです。
そのせいで、ガンになったらと言いって売っておきながら、「上皮内がん」はガンではないといって、ガン保険の給付金の支払を拒み続けることが出来たわけで、少なくとも日本の生保が参入したおかげで、医療保険やガン(がん)保険と言った第三分野の商品に競争原理が働くようになったといえるのです。

自己負担は思ったほど重くない!

補足ですが、医療保険や入院の保障は、原則として、入院しない限り役に立たないということを、もっと強調すべきだと思います。
病気したらお金がもらえるのではありません。
「医療」という名称を誤解しないようにしましょう。
また、本来は「もらえる」のではなく、払った保険料の一部を給付金という形で「取り戻している」だけですから、この点もお間違いなく。

医療保険で確保すべきは、「差額ベッド代」で困らないようにすることであって、その他の雑費は、預貯金で準備すべきです。
また、差額ベッド代も、「個室」を欲張りたいからと言って日額2万円なんて内容にはしないこと。
通常は「4人部屋」の差額ベッド代を医療保険で準備できれば十分です。
また、インフレを考慮した場合、将来的に給付金の価値は目減りをしてしまいます。
「だから、そのために」といって、保険会社は日額を多くすることを勧めますが、本来は、価値の目減りのためにこそ「預貯金」をすべきなのです。
騙されないようにしましょう。

もう一つ。
自営業者の場合は、サラリーマンよりも公的な保障が薄いのは事実です。
ただし、だから入院日額を多くしなければいけないわけではありません。
自営業者の方は、経営の面から言っても、より一生懸命に預貯金をする、これに尽きると言えるでしょう。

ちなみに、「病気別の医療費の目安」に記載されている医療費は、高額療養費制度の適用前の金額ですから、実際の負担額とは異なります。
ご注意を。
とはいえ、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」といったアンケート(統計でない)レベルの数字を根拠に、まるで「日額いくらでないと入院が出来ない」というようインチキな記述になってない点は、非常に評価できます。

これも手術給付の対象外だ!

生命保険の給付のうち、1つの条件を満たすだけで給付されるのは、「死んだら」と「入院したら」の2つしかありません。
手術に関しては、よく「手術したら○○万円」といったセールスを受けますが、実際は、手術給付の支払対象に該当する手術に限定されています(3大成人病になったら○○万円というのも、1つの条件を満たしただけでは給付されません)。
一般的には、皆さんが手術をされれば手術給付の対象にはなりますが、医師が手術といっても、必ず手術給付の対象になるわけではありませんので、注意が必要です。

女性向けの医療保険は本当に必要なのか?
誰の負担なのか見極めたい大人気の無事故ボーナス

「なければいけない」保障ではない、「あっても良いか」といった程度の保障(これが、女性向け、無事故ボーナス商品に付加されている特約です)は、本来は「おまけ」でしかありません。
「おまけ」を付け加えて「新商品」として発売しているだけです。
「おまけ」で商品を選ぶのではなく、本来の「なくてはいけない保障」の内容をきちんと比較して、選択すべきです。

 


「プロが選んだお薦めはコレだ!」
“9タイプ52商品を徹底比較”

ランキングについても、チェックしてみましょう。
毎度のことですが、まずは「プロ」の基準が分からないと言うことでしょうか(マスコミでは、“有名”なのでしょうが、“有名”なのと“プロであること”とは違いますし)。
プロが関与するのならば、そもそも、そのプロの独自基準で「足切りライン」を設定し、その基準から外れた商品は評価しない、そういった方針が必要なのではないでしょうか。
そのうえで、各FPが一押し商品を推薦して、メリット、デメリットをお互いに討論する、そんな方が役に立つような気がするのですが。

ところが、このランキングはその逆で、商品の選定は、各生損保がタイプ別に一押し商品を1つずつ推薦して、その商品をプロが評価するという内容になっています。
1社で1商品というのは一見公平なようですが、各社の一押しなんて、所詮は「うまい話に見える商品か」「売ったら儲かる商品」になってしまう恐れがあります。
というのは、お薦めの商品の選択がおかしい生保があるからなのですが。

そのうえ、ランキング表に付随している保障内容の一覧表の項目建ても、とても十分なものとはなっていません。
一例を挙げれば、がん保険の診断給付金の回数についての区分けの仕方があります。
1回しか出ないものを「初回のみ」という記述は、約款通りであっても、「1回のみ」と記載した方が分かりやすいでしょう。
また、診断給付金の支払い回数が「1回のみでない」商品の記載は、すべて「複数回」で統一されていますが、実際は「複数回」と「何度でも」と商品性の大きく異なっており、それをごちゃ混ぜにして記載してしまっています。
「複数回」というのは、回数が2回以上であっても、その回数に制限があります。
一方、「何度でも」というのは、その回数に制限がありません(さて、どの商品が「何度でも」なのでしょう)。
つまり、全く商品性が違います。
あるいは、「複数回」にしても、回数に制限があることから、その上限回数を記載しなければ、商品内容の比較ができないわけですが、その記載もありません。
2回が上限なのか、3回が上限なのか、確かに「1回のみ」ではありませんが、それ以外のものをすべて「複数回」で統一してしまって良いはずがありません(こういったところにこそ、プロの皆さんがきちんと目を光らすべきなのですが、残念です)。

これも毎回言っていますが、商品のランキング表で評価が高くても、それが「うまい話」でも、「お得な商品」でもない点に注意してください。自分にとって、「なくてはいけない保障」と、「あっても良いかなという保障」をきちんと整理できていなければ、どんなに評価が高くても、所詮は他人の評価でしかなく、自分にとって最適な商品とは言えないのです。
あるいは、上記のように、一覧表の項目建て次第で、良くも悪くも見えてしまうと言った点から言えば、編集者のレベルによって、その内容の質が左右される恐れまであります。

もう一つ、「医療保険選別チャート」と「ガン保険選別チャート」について。
このチャートも、稚拙です。
医療保険で言えば、次の点はどうかなあと思います。
  1. 申告すべき持病がある人は、医療保険ではなく、預貯金をすべき
  2. 一生涯の安心は保険で賄えない。せいぜい安心の土台を作ることぐらい
  3. 「働き盛りの今は手厚い保障が欲しい」と言う選択肢は、「老後の保障は貯金で賄うつもりだ」という文言にすべき

チャートも、作るのが非常に難しいので、これもプロが作ってあげたら良かったのにと思いました。

ガン保険について言えば、「ガン保険」と「がん保険」との違い、なんてことこそ記載すべきなのですが。
また、「先進医療に備えた」商品の言う「先進医療」の内容が、医療の進歩に応じて変更される、なんてこともきちんと分かるように、解説が欲しかったと思います。


とはいえ、今回の週刊ダイヤモンドは、是非ご覧ください。
上記以外にも、

  • 実は手厚い公的保障の実力
  • 告知義務違反
  • 責任開始前発病
  • 1入院の限度日数
  • 「上皮内新生物」と「悪性新生物」とでは大違い
  • 重大な過失
  • 不慮の事故
  • 高度障害
  • 三大疾病

といったことが、かなり分かりやすく、図なども使って解説されています(一部内容に首を傾げるところもありますが)。
このHPと併用されたら、かなりお役に立つのではないかと思います。

 

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