週刊エコノミスト“強い生保” 2006年3月期決算「総合ランキング」 2006年6月27日号 |
恒例の週刊エコノミストの生保ランキングです。
2006年3月末の決算を反映した内容となっています。
「本当に、ランキング1位の生保を、週刊エコノミストは“強い生保”と思っているのか?」というのが、総合ランキングにざっと目を通した率直な感想です。
例えば、AIGスター生命は2007年末までに、AIGエジソン生命と経営統合の予定となっていますが、保有契約高で見ると、下記の通り両生保ともに、大きく数字を減らしています。
<2006年3月末> <2002年3月末>
●AIGスター生命 109,864億円(▲37.92%) 176,981億円
●AIGエジソン生命 93,443億円(▲12.10%) 106,309億円
※( )内の数字は、2002年3月末と比較した減額率
※AIGエジソン生命の2002年3月末の保有契約高は、合併前であるため、GEエジソン生命とセゾン生命の保有契約高を合計した額
とても、順調な生保同士が経営統合するようには見えません。
と言うより、ジリ貧の生保がAIGブランドの下で一本化することで、何とか生き残ろうと足掻いているようにしか見えないのですが。
そもそも、この2社は、千代田生命と東邦生命が経営破綻したために生まれた生保であり、既契約者に多大な迷惑をかけたことを忘れることは出来ません。
にもかかわらず、“強い生保”ランキングで1位とは、新手のほめ殺しか、質の悪い冗談という気がします。
それでは、いつもの通り、前回のランキングとの違いを見てみましょう。
まず、前回は「生保信頼度ランキング」でしたから、ランキングの名称が変わっています。
にもかかわらず、5項目の指標は、ほとんど変わっていません。
微妙に変わったのは、下記の1項目だけです。
●成長性(新契約年換算保険料対前年度増減率) ← 新契約伸び率
なぜ、「信頼度」から「強い生保」からランキングの名称が変わったのか、見えてきません。
おそらくは、編集部の都合だったのでしょう。
もう一つ言えば。
東京海上日動フィナンシャル生命をランキングに加えたのは、どうしてなのでしょう。
わざわざ、ハートフォード生命と三井住友海上メットライフ生命を、変額個人年金をメインとしているという理由で、ランキングから除外しているにもかかわらず、やはり銀行窓販で変額個人年金を中心に販売している東京海上日動フィナンシャル生命をランキングの対象にした理由が分かりません。
で、今回も、ちょっとだけランキングの指標に手間をかけてみて、ランキングがどう変化するのか見てみます。
ランキングの印象が変わるのかどうか、変わるとしたらどう変わるのか、ご覧ください。
さて、あなたのご贔屓性ののランキングは、どうなりましたか?
ランキングで生保を選ぼうとしている方の参考になればと思います。
今回は、下記のように4段階に分けて、ランキングを手直ししてみました。
いかに、指標の選び方一つで、ランキングの印象が変わるか、お確かめください。
※ 青数字は、手直しによって“強い生保”ランキングより、ランキングがアップしたことを表します。
※ 赤数字は、手直しによって“強い生保”ランキングより、ランキングがアップしたことを表します。
- ランキングから、東京海上日動フィナンシャル生命を除外してランキング
- さらに、「実質純資産比率」を、「実質純資産比率 前年度増減率」でランキング
→「実質純資産比率」は、社歴の長い生保や、規模の大きい生保に有利になる傾向があるため、前年度との増減率で得点を付け直し、ランキングし直しました。
- そのうえで、成長率の指標である「新契約年間算保険料 対前年度増減率」を、「年間算保険料 対前年度増減率」でランキン
→「新契約年間算保険料 対前年度増減率」は“短期的トレンド”である(前々年度の新契約が不振だった生保の得点が高くなってしまう)ため、“長期的な成長トレンド”の指標として、「年間算保険料 対前年度増減率」に置き換え、ランキングし直しました。
- そのうえで、成長率の指標である「新契約年間算保険料 対前年度増減率」を、「保有契約高 対前年度増減率」でランキング
→「新契約年間算保険料 対前年度増減率」は“短期的トレンド”である(前々年度の新契約が不振だった生保の得点が高くなってしまう)ため、“長期的な成長トレンド”の指標として、「保有契約高 対前年度増減率」に置き換え、ランキングし直しました。
[1]<東京海上日動フィナンシャル生命を除いたランキング>
1.( 1)スター
2.( 2)ソニー
3.( 3)日本
4.( 4)アイエヌジー
4.( 4)プルデンシャル
6.( 6)富国
6.( 6)アクサ
8.( 9)大同
8.( 9)ジブラルタ
10.(11)マニュライフ
11.(12)アフラック
12.(13)T&Dフィナンシャル
13.(14)明治安田
13.(14)第一
15.(16)損保ジャパンひまわり
16.(18)住友
17.(19)東京海上日動あんしん
18.(17)三井
19.(20)三井住友きらめき
20.(21)AIGエジソン
21.(24)太陽
22.(23)アリコ
23.(22)朝日
※東京海上日動フィナンシャル生命を除いた23社でのランキング
※( )内は、“強い生保ランキング”(東京海上日動フィナンシャル生命のランキングは「8位」)
[2]<「実質純資産比率 対前年度増減率」へ変更後のランキング>
1.( 1)AIGスター
2.( 9)ジブラルタ
3.( 4)プルデンシャル
4.( 6)富国
4.(13)T&Dフィナンシャル
4.( 6)アクサ
7.( 3)日本
8.( 9)大同
9.( 2)ソニー
10.( 4)アイエヌジー
10.(18)住友
12.(11)マニュライフ
12.(17)三井
14.(14)明治安田
15.(14)第一
15.(12)アフラック
17.(19)東京海上日動あんしん
18.(16)損保ジャパンひまわり
19.(21)AIGエジソン
20.(24)太陽
21.(22)朝日
22.(20)三井住友きらめき
23.(23)アリコ
※( )内は、“強い生保ランキング”(東京海上日動フィナンシャル生命のランキングは「8位」)
[2−A]<「年間算保険料 対前年度増減率」へ変更後のランキング>
1.( 1)[ー] AIGスター
2.( 4)[AA−]プルデンシャル
3.( 2)[A+] ソニー
4.( 6)[A−] 富国
5.(19)[AA−]東京海上日動あんしん
6.( 4)[AA−]アイエヌジー
7.( 9)[A] 大同
7.( 6)[AA−]アクサ
9.(11)[AA+]マニュライフ
10.( 3)[A+] 日本
10.(21)[AA+]AIGエジソン
12.(13)[ー] T&Dフィナンシャル
13.( 9)[AA−]ジブラルタ
14.(14)[A−] 明治安田
14.(12)[AA] アフラック
16.(18)[BBB]住友
17.(14)[A] 第一
17.(16)[AA−]損保ジャパンひまわり
19.(17)[BB] 三井
20.(23)[AA+]アリコ
21.(20)[AA−]三井住友きらめき
22.(24)[A] 太陽
23.(22)[BBー]朝日
※( )内は、“強い生保ランキング”(東京海上日動フィナンシャル生命のランキングは「8位」)
※[ ]内は、S&Pの格付け
[2−B]<「保有契約高 対前年度増減率」へ変更後のランキング>
1.( 2)[A+] ソニー
2.( 4)[AA−]プルデンシャル
3.( 9)[A] 大同
4.( 6)[A−] 富国
4.(19)[AA−]東京海上日動あんしん
4.( 4)[AA−]アイエヌジー
7.( 6)[AA−]アクサ
8.( 3)[A+] 日本
9.(12)[AA] アフラック
9.( 1)[ー] AIGスター
9.( 9)[AA−]ジブラルタ
12.(11)[AA+]マニュライフ
13.(16)[AA−]損保ジャパンひまわり
14.(14)[A−] 明治安田
14.(14)[A] 第一
16.(18)[BBB]住友
16.(17)[BB] 三井
18.(21)[AA+]AIGエジソン
18.(24)[A] 太陽
20.(23)[AA+]アリコ
20.(13)[ー] T&Dフィナンシャル
22.(20)[AA−]三井住友きらめき
22.(22)[BB−]朝日
※( )内は、“強い生保ランキング”(東京海上日動フィナンシャル生命のランキングは「8位」)
※[ ]内は、S&Pの格付け
<参考>
●平成17年度(平成18年3月)決算
●格付け一覧
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