予定利率は高い方がいい?
お宝保険と言われたばっかりに保険のリストラができないアナタへ



何を今更、FP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険評論家の先生方の話を聞いても、マネー雑誌を読んでも、みんながみんな「予定利率が高い生命保険は、解約せずにとっておきましょう。お宝保険です」といっているんだから、予定利率が高い方がいいに決まっているはずだ、と思い込まされているアナタ。
本当に、予定利率が高ければいい保険なのでしょうか。
その言葉にだまされて、千代田生命、協栄生命、第百生命などの契約をスッパリと切れずに失敗してしまった方もたくさんいます(予定利率が高くて貯蓄性が高い保険ほど、破綻による減額率が大きいのです)。

また、次のようなポイントから、長く生命保険(配当付き)に加入する予定なら、必ずしも「まずは予定利率ありき」という予定利率神話は万能ではないということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

1.配当金
皆さん、「配当金なんて当てにならないんだから、比較の対象にならないんじゃ」とお思いでしょうが、ちょっと待ってください。
それは配当金の役割を知らないからの暴言です。

それでは配当金の役割から(面倒なので、利差配当に限定した話でご説明いたします)。
まず配当金の原理ですが、簡単に言えば、生保会社が予定利率より高い運用をできたらお客様に還元するものが配当金です。
したがって、予定利率の高い保険には、今の金融環境では、配当金がつかないのも当たり前です(ところが、この当たり前のことを曲解して、この金利が底の金融環境においても、「保険は無配当がお得」と言っているFPがいるのには、開いた口がふさがりません)。
むしろ、今現在は金利が底の局面(あとは金利は上昇するしかないくらい市場金利は低いと言うことです)ですから、今後、市場金利が上向けば保険会社の運用もアップし、それに応じた配当金もでてくるということが十分に予測できます。

さて、ここで一度考えてください。
配当金の役割はそもそも何なんでしょうか?
簡単に言えば、インフレになると保険の保障額の価値が目減りすることになりますが、その目減り額を補填することが配当金の役割です。
例えば、インフレになれば市場金利もアップし、保険会社の運用も予定利率を超え配当金が出ます。
ただし、インフレになれば物やサービスの値段もアップしますから、保険に加入した時には500万円でできた葬式が600万円出さなければできなくなってしまいます。
無配当の保険なら100万円の差額は自分で用意しなければいけなくなるわけですが、ここで配当付きのありがたさ、配当金が出ることで不足した保障額100万円が補填されることになるわけです(ただし、ピッタリそうなるわけではありません。そんなものですという話です)。

以上の話をまとめると、予定利率が低い現在に生命保険に加入しても、将来的に配当金がつくことで加入時の保障額より大きい保障額(加入時の保障額+配当金額)となることが予測できますから、加入時に確定はしていませんが、実際は長期間加入する場合、結果として加入時の保障額より大きな保障額の保険に加入したと同じ意味を持つことになります。
先ほどの例で説明すると、加入時500万円の保険でも、結果的には600万円の保険に加入していたことと同じことになる訳です。
つまり、数十年のスパン(期間)で考えるなら、予定利率が高かろうが低かろうが、同じ保険料で確保できる死亡保障額は最終的にはだいたい同じ額になってしまう、ということが予想できます。

2.解約返戻金
「予定利率が高いことがいいこと」といわれる根拠に、予定利率が高い方が貯蓄性が高いという説明をよく聞きますが、本当でしょうか。
まず、同じ保障額(加入時に確定している保障額)の保険に加入する場合は、予定利率の高いものの方が、保険料負担は軽くできます(長く加入することで配当金がつきますので、最終的な保障額は変わらないわけですが)。

しかし、解約返戻金は保険料なりにしか貯まりませんので、保険料の負担が少なければ、保険料の払込が終わる年齢(例えば60歳とか65歳)で比較した場合、解約返戻金が多いのは保険料負担の多い方(予定利率の低い方)ということになります。
しかも、予定例率の低い方には配当金も余計に付きますから、解約返戻金から考えても、保険料を多く払ったなりのことはあることになります。



以上から考えますと、確保できる保障額(保険金額)についても、解約返戻金についても、長く加入し配当が付く保険であれば、予定利率が低い時期に加入しても損ではないということが分かります。
逆に、予定利率が低い時期に加入してはいけない保険は「長く加入する無配当の保険」ということになります。
具体的には、
・無配当の終身保険
・無配当の医療保険(単品)
などではないでしょうか。

ということで、予定利率が高いから保険の乗り換えができないと思いこんでいた方も、安心して乗り換えを考えてみてはいかがでしょうか。

生保(有配当商品)の予定利率の推移 一覧
契約日
保険期間
10年以下
10年超
20年超
昭和27年〜51年3月1日
5.5%
5.0%
昭和51年3月2日〜56年4月1日
6.25%
6.0%
5.0%
昭和56年4月2日〜60年4月1日
6.0%
5.5%
5.0%
昭和60年4月2日〜平成2年4月1日
6.25%
6.0%
5.5%
平成2年4月2日〜5年4月1日
5.75%
5.5%
5.5%
平成5年4月2日〜6年4月1日
4.75%
平成6年4月2日〜8年4月1日
3.75%
契約日
配当方式の違い
毎年配当タイプ(三利源配当)
5年ごと配当タイプ(利差配当)
平成8年4月2日〜11年4月1日
2.75%
2.9%
平成11年4月2日〜13年4月1日
2.0%
2.15%
平成13年4月2日〜
1.5%
1.65%
※生保によっては、予定利率変更のタイミングや、予定利率そのものが異なる場合があります。



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