■ 第二巻
ガーダの陰謀を阻止するための課題は、三つあった。
まず、アルフリート王の幼馴染でもある、策士シオの協力を仰ぐこと。
既に緊迫した関係となった隣国に真実を訴えるため、この智恵者の力が必要であった。
次に、偽王の監視下にあり、いわば人質同然の状態である、国妃ウルリクを救い出すこと。
もともとウルリクは隣国、フィシュメルの姫であることから、誤解を解くためにも、彼女を無事母国に戻すことが重要であった。
そして何より、アルフリート王自身のこと。
塔に閉じ込められていた時の傷が、まだ癒えぬまま旅をし続けたことで、体調を崩してしまったのだ。
いずれの課題も、時をかけ過ぎるわけにはいかない。
そう判断したユーリ達は、三方に分かれて旅だった。
医術の心得のあるテッドは、アルフリート王の側について残った。
しかし、その技術の全てを使っても、アルフリート王の容態は良くならなかった。
そんなある日、テッドは不思議な力でどんな病も治す者がいる、との噂を聞かされる。
半信半疑ではあったが、手の尽くしようのない現状に、テッドはその者を訪ねることにした。
驚きに、身を震わせる。
その者とは、ガーダであった。
しかし、アルフリート王に危害を及ぼした者とは違い、そのガーダが牙を向けてくることはなかった。
穏やかに。しかし冷然と。
ガーダが言葉を紡ぐ。
塔を探せ、五つの塔を。
未来へ続く扉を欲するのなら。
鍵を探せ、十の鍵を。
扉の封印を解き放ちたいのなら。
謎の言葉を残し、そのガーダは消えた。
後には癒えたアルフリート王が、残されていた。
一方、ミクは無事、策士シオを連れ出すことに成功する。
またユーリは、ウルリク妃を救い出すには至らなかったが、彼女の父親、すなわちフィシュメル国の王に宛てた手紙を受け取り戻ってきた。
こうして再び集結した者達が、シオの指示のもと動き出す。
必ずや、王都で会おう。
その誓いを果たすべく。