七つの人形の恋物語 2008.8.29〜31
;音楽座待望の新作です 原作があるので読んでから観るか迷ったんですが、あえて読まずに観劇してみました
2回以上見るなら、原作読まなくてもじゅ〜ぶん楽しめると思います もちろん原作も観劇後に読みましたよ 舞台化するため試行錯誤があったんだなぁってことが伝わってくるものでした
久しぶりに観ていて「シアワセ」で涙がこぼれました わたしにとって福岡CFY以来の「シアワセ」な時間でした
感想もどこから書いていいやら分からないので、思いつくまま書き綴ってます
最初、あらすじを読んだときちょっと切ないお話だなぁって思いました そしてイメージ映像を見てあんまり「楽しい」って感じの作品ではないし、リトプリみたいにリピートしたくなるかなぁ...って思ってました で、初めて観て思ったことは 音楽の美しさが心に深く深く響いてきました 中でも心に焼き付いて離れないのが、2幕でバロットたちジプシーが踊るナンバー「月の踊り」 バイオリンの旋律がもの悲しさを引き立てつつも力強く守りあって生きているジプシーの心を表しているようで素敵でした 聞くたびに自然と体がリズムを刻んでましたもの^^; 最初は歌があったと聞きました、どんな歌詞だったのかちょっと気になります それとこのナンバーで最初に踊りだす片山さん、ちっちゃいけどダンスが力強くって素敵だなぁって思いました も〜一つ、下手でバイオリン弾いていらっしゃる方二階席でみていたときオケピからそ〜っと舞台に移動されているところ見てしまいました^^; (相変わらず余計なところばっか見ちゃうんですよねぇ)
原作は心理学の教材にも取り上げられるそうです たしかに人にはいくつもの心の動きがあり、全く正反対のようでも根幹は同じってことありますもんね ミシェルのように生きてきた時間の中で心に深く刻み込まれた出来事を客観的に見つめる人格を作り上げることで『今』の自分を守ろうとすることが多重人格の始まりなんだそうです その一番顕著な人形が「にんじん」なんでしょうね そして『現在』の人格に一番近いのが「レイナルド」ですよね(だから広田さんが二役やってるんだろうなぁって思いました) 人を好きだと思う気持ちをこれでもかってくらい表現してますもんね どの人形にもミシェルの《心》が感じられる...それがもうすごいです
個別に... ムーシュ=祥子ちゃん 最初にあらすじを読んだときからきっと演じられるんだろうなぁって思ってました 「無垢」って言葉がぴったりの柔らかな演技と伸びやかな歌声 中でもバロットたちジプシーと踊っているときの安心したような楽しそうな笑顔がとっても可愛らしかったです (憎むことと愛すること) 心が指し示す矢印の向きは違うけどおんなじくらい深くて大きな想い それを同時に心に抱えて演技するの大変だろうなぁって思います、だけどもうちょっと「憎い」って感情が伝わってくるといいなぁって思いました
キャプテン・コック/レイナルド=広田さん キャプテンとレイのギャップがすっごく大きくてちょっとびっくりでした 人形の中でレイがいっちばん好き!って思いました とにかくじっとしていることがなくくるくる表情が変わるところが可愛くってしょうがないんですもん 中でもムーシュのためにって朝食のソーセージを取っておいてあげたと言うところ(ほんとはアリのものを盗んでただけなんですけどね) この時の台詞で「君が食事するところみたかったんだ」っていうのがすっごくいじらしくて惚れました(笑) あとは歩くたびにぽんぽん跳ねる尻尾も可愛かったです♪
にんじん=吉田さん 10歳の少年なんですよね ミシェルが父親?に捨てられた頃の人格 精一杯虚勢を張ってしまうけど、いつも不安を抱えているように感じました 『にこぉ〜』って笑ったときの笑顔が子供っぽくて可愛らしかったです
ジジ=野田さん す〜〜っごくいぢわるなんだけど憎めない可愛らしさがありました レイナルドが放った矢の軌跡を途中で変えちゃうところの含み笑いとか劇中劇で階段を登ってきたアリをげしげし蹴り倒しちゃうとことか可愛らしいです 常にふくれっ面、でもそのお顔の下にはあま〜い砂糖菓子みたいな笑顔が隠れてるって思いました
デュクロ博士=藤田さん ちょっぴり要領の悪いところがなんだか可愛らしいペンギンさん 朝食のくだりでムーシュとジジの間で右往左往しているところをジジに邪魔者扱いされちゃうところとか、ちょっと見栄をはって車に寄りかかったら車が動いちゃって豪快に転んじゃうところとかいっぱい笑わせていただきました
アリファンファロン=右田さん 頭の弱い巨人さん 劇中劇では毎回騒ぎを起こしてましたけど、それがまったく憎めなくてむしろ可愛らしいんですよねぇ おっきな熊のぬいぐるみを思い出してしまいました ぎゅ〜ってしたらきっとあったかいだろうなぁって思うんですもん
マダム・ミュスカ=清田さん こんなおばちゃんいるよねぇって思いました よくもわるくも世話好きで厭味がないんですもん
ムッシュ・ニコラ=大場さん 「おじいちゃん」って雰囲気がありました みんなに頼られてるって感じがよく伝わってきました 劇中劇ではなんだか「おいしい?」(笑)
バロット=安中さん 原作より「いい人」ですね^^; ジプシーで家族思いって設定があるからでしょうかねぇ ムーシュと歌う「星に向かって」 メロディも好きなんですが、二人のハーモニーがすっごく綺麗で大好きだなぁって思いました そ〜いえばリトプリで「黄金色の麦畑」を聞いてなんだか無性に泣けたこと思い出しました わたしにとっては無条件で『好き』って思える声のようです(^^)v
「シアワセ」だなぁって思うと泣けてくることが多いんですが、まず最初はにんじんさんがジジに求婚するお話 次から次へと出てくる展開をすっごく楽しんでいる出演者を見ていると楽しくてシアワセで涙が出てしまうんです CFY以来ですよ、こんなこと 舞台の端っこでいいからず〜っと見ていたいって思う瞬間でした
それとレイがロクサーヌを想う歌がいつの間にか、ムーシュに向けられていたとき 歌い方が変わりますよね 掃除をしているムーシュもすっごく可愛らしいし、彼女を想い切々と歌うレイの気持ちを考えるともう切なくて...(涙) 人を愛する気持ちに「海より深く」とかって言いますよね、それの言葉にすっごく同意できる歌だなぁっておもいました
この作品中最大の切ないポイント 崩れ落ちるテントからムーシュを庇ったとき キャプテンの姿にレイがだぶって見えて...その後は号泣して訳わかんなくなってましたねぇ(T_T) 七つの人形たちが望んだこと、ムーシュと一緒に居たいってこととミシェルに「自分たち」を認めてもらうことだったんだよねぇ 最後に小さな女の子に声をかけるにんじんさん あの明るい人形芝居小屋が彼らの現在を物語っているんだろうなぁって思うとますます心があったかくなって泣けてしまうんです
ただ一点、ど〜しても演出の意図が理解できない部分があるんですよ ムーシュがキャプテンを「憎む」と言った後の、存在(黒い人たち)とのダンス このダンスの後、彼女はバロットへ会いに行くんです 彼女の中で何かが変わった瞬間を表していることは分かるんですけどその変化をあのダンスの中から理解することが出来ないんですよねぇ また見ることがあったらなにか分かってくるものがあるのかなぁ...^^;
伝えたいこと、想ったこと い〜〜っぱいあるのにちっともコトバに出来ません 【心に響く】ってこういうことなのかもしれませんね(^^) |