ハムレット 2001.2.3〜4

 わたしにとっての「メイン」はレイアーティーズさまですけど、折角二人のハムレットを立てているのだから一日でお二人を観ることの出来るこの日を選びました
 いままで演じられた役のキャラクターがまったく違うのでどんな感じかすごく興味津々でした
 見終わって、石丸さんは人の上に立つ王子さま、下村さんは民衆とともに歩む王子さまっていうイメージを持ちました
 とても両極端なんですよね、これはもう好みの問題だと思いますがわたしは下村さんの役作りが好きです
 3公演中、2回が下村さんでしたけど回を重ねるごとに良くなるので観ていておもしろかったです
#石丸さんも変わられるかもしれませんけど(^^;

 この演目はアンサンブルがとーっても豪華(*^^*)
 どうも『役名がある=セリフがある』のようです
#今更かしら...
 舞台上にたくさん人がいますからみなさん何役か掛け持ちされているようです、だけどちゃんとお顔が見えなくてよく分かりません(^^;
 回数を観ていくとこちらに気を取られてしまいそうで今から少し危険です
 今一番気になっているのは、オフィーリアの棺を担いでいる4人
 上手奥が青山さん、手前が田中さん、下手奥が坂本さん、ここまでは間違いないと思うのですが最後の一人がどーしても分からないんです、おかげで荒川さんが棺の側に来るまでこの4人を凝視してしまいました(^^ゞ
 おわかりになりましたらどうぞご一報下さいm(_ _)m

すごく印象的だったシーン

☆レイアーティーズさまがクローディアスにフランスへ戻る許可を願い出るシーン
許可が下りたときの嬉しそうなお顔や退出するとき父ポローニアスに楽しそうに一言、二言お話をされている姿に父と子の穏やかな人間関係が垣間見えてほんわかしました

★ポローニアスに「やれるものは命くらい」と言うシーン
下村さんは剣を自分ののどに突きつけさせますが、石丸さんは特にはなにもされませんでした
下村さんの方が迫力があってお気に入りです

☆お芝居のシーン
一番びっくりしたのは後から登場する道口さん
王を毒殺する甥役ですけど、衣装が...(@_@)
たぶん『毒蛇』をイメージしているのだと思いますが、目にも鮮やかなグリーン(スパンコールで光っています)のローブ姿
動きもなんだか蛇っぽかったです
わたしにとって最大の見せ場はここだったんじゃないかと思うくらい強力でした(^^;

★狂ったオフィーリアがガートルードに会いに来るシーン
父を失いその責がハムレットにあることを知っても悲しみや怒りを外に向けることが出来なくて「狂う」という結果を選んでしまったように思いました
ただ時折精神が息継ぎするかのように「正気」があらわれて、それがいっそう哀れでした
また、そばに立っていたホレイショーの手を握り歌っているときの彼の何とも言えない表情と今にも泣き出しそうなオフィーリアの声が一番辛かったです

☆剣の試合のシーン
とても格好良いです(*^^*)
ただどうしてもこのシーンでのレイアーティーズさまの心中が理解できないのです
この試合はクローディアスによって仕組まれたもの、止めることは出来ずとも毒を塗った剣を使わなくてもよかったのでは?と思ってしまうんです、まぁわたしにはまだまだくみ取れない想いがあるのでしょうね(^^;

★ハムレットが息を引き取るシーン
このシーンでもお二方から受ける印象がずいぶん違います、特にホレイショーとのやりとりは
言葉で表現するのはすごく難しいのですが敢えてたとえるなら
石丸さんとは主従のようで、下村さんだと親友のよう
石丸さんはどちらかといえばさらっとしているんです「後は頼んだ」って感じがします
一方下村さんは毒が回ってすごく苦しいんだろうなぁって強く感じられます「後のことくれぐれもよろしく頼む!」ってとこでしょうか
早川さんの演技はどちらのハムレットでも変わっていないと思うのですが下村さんとの方が相性が良いように感じられます
最後の時ホレイショーに寄りかかっているのですけど下村さんのときのほうがすごく暖かみを感じてこんな素晴らしい友人の腕の中で死ねるなんてなんだか羨ましく思えました
全編を通してこの瞬間が一番好きです

 3回の観劇で感じたことは奥の深いお話なんだということですね
 回を重ねるごとに感じ方が微妙にですけど変わります
 ストレートプレイは歌もダンスもない分言葉や表情に感情の奥深さを感じます
 3回じゃ全然もの足りません(^^;
 今から名古屋公演が待ち遠しくてたまりません、出演者の方々の表現も変わっているでしょうから(^^)
 キャスト別の感想(ものすごく簡単なものです)はこちらから




雑ネタ(^^; 観劇中に思ったことです

 狂ったオフィーリアを観ているとなぜだか浜崎あゆみさんの「Trauma」が頭の中を流れてしまいました、歌詞に「狂気と正気があって〜♪」というフレーズがあるからかもしれません
 よろしければ一度聞いてみて下さいね

 ホレイショーの衣装にはポケットがついていました(^^;
 なぜ分かったかというと剣の試合のシーンで落ちた布をさりげなぁく仕舞っていたからです

 衣装が素敵ですよね
 女性のハイウエストのドレス、男性の長衣
 どちらも布をたっぷり使いとっても豪華でお気に入りです
 提灯袖も可愛くて(*^^*)
 一番好きなのはフランスへ出発するときにレイアーティーズさまが着ているもの
 ファーのついた茶色のコートがとってもお似合いです

 も一つ衣装について
 ハムレットの衣装は石丸さん、下村さんとも同じものを使われているようですね
 だからサイズが...下村さんにあわせてあるようで石丸さんには少し大きいように思います
 とくに墓場のシーンで着ている青いコートがだぼだぼ(^^;
 まだまだ公演も続くのだから石丸さん用に仕立てて上げればよいのにって思いました


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ハムレット 2001.3.24〜25

この名古屋公演をどれほど待ち望んだことか(^^ゞ
東京へはそうそう行けないので、ずーーーっと我慢していました。わたしが観たのは開幕翌週ということもあり全体的に『固さ』を見受けていましたから公演を重ねてどんな風に変化しているかが最大の関心事でした
もう「すごい!!」の一言とため息しか出てきません
中でも野村さんと荒川さんの演技にはものすごい気迫があって、あまりの恐ろしさに鳥肌が立ちました

キャスト別に少し

オフィーリア=野村さん
東京で観たときは花代ちゃんのオフィーリアも観たいと思いましたが、名古屋でこの演技を観てしまったら野村さん以外のオフィーリアは想像すら出来なくなりました。バレンタインの歌の微妙な抑揚、「もうその事は言わないで!」の悲痛な叫び、一転して無邪気に笑うとき、哀れと言うより「恐怖」でした
その得体の知れない恐怖に身動き一つ出来ずに見つめていました。彼女が甲高い笑い声を残して舞台から消えた瞬間、いたたまれず涙がこぼれたんです。今思い出しても鳥肌が立つんですよ、流石と言うほか言葉がありません

レイアーティーズ=荒川さん
前回では理解しきれなかった【剣の試合】も少し分かったような気がします、というか表情を見ていたらぼろぼろ涙がこぼれてしまいあまりきちんと見ていません(^^; それくらい心の動きがお顔に出てらしたんです
ハムレットと握手をかわす時に謝罪され、心が揺らいでいるようでした。なのに仕組まれた【剣の試合】を始めてしまったのはクローディアスとの約束があったからなんですね、後ろめたい気持ちでどうして試合なんて出来るでしょうか。
ハムレットを後ろからついたときもオズリックの目線が訴えていたんです、「やってしまえ」って感じで...きっと毒殺されるくらいならいっそ自分の手でって思われたんでしょうね、その後のハムレットとの戦いは後悔の念が浮かんでいました
見ていてこれほど「辛い」と思ったことありません(T_T) 息をすることも苦しくなるくらい...

クローディアス=広瀬さん
もっのすごく人相が悪くなったような...(^^; レイアーティーズがハムレットに謝罪され許そうとしていると感じ、じろっとにらむところなんか極悪人です、それででしょうか懺悔をするシーンで戸惑い、思い悩む姿に人の心の弱さを見た気がしました

旅役者=伊東さん
たぶん間違いないと思いますが旅役者で出演されています、下手列の一番後ろでルシアーナスが述べる口上を目を輝かせて聞き入っていました。その表情がとっても可愛らしくてついつい見入ってしまいます、なのにドレス姿はいまいち分からないと言う...(^^;

ハムレット=石丸さん
下村さんをかなり意識されているのかなぁって思いました、セリフの言い回しや動きが似てきているような気がします(あくまでもわたしの主観ですから(^^;)
でも今ひとつ感情が伝わってこないんですよね...なんででしょうかね、きっと最初に観た下村さんのインパクトがとっても強烈だったんでしょう、ビジュアル的にはとっても素敵な王子さまでした

全体的にすごくまとまりがよくなっていました、前回の観劇はとにかく早川さんの演技に圧倒されるところが大きくて観劇後の感想も『ホレイショーがよかった!!』につきてしまっていました。今回はみなさんがそれぞれの役を自分なりに消化されていたようです
二幕からは展開が早いにも関わらず個々の感情の流れがしっかり伝わってきて、観ているこちらも緊張の連続ですが苦しい反面観ていてよかったって思いますもん
ただこの名古屋公演から参加された海さんの演技に物足りなさを感じてしまいましたけど...こればっかりは回数を重ねないことには難しいのかもしれませんね




雑ネタ(^^; 観劇中に思ったことです

今回もまたどーでもいいようなことをつい考えてしまいました(^^;
レイアーティーズさまがオフィーリアに「花」を渡されるとき『狂気にも教訓があるのか...』と言われます
真顔でお話しされているにもかかわらずつい《だじゃれ》に聞こえてしまって、頭の中で突っ込みを入れてしまう自分(((((^^;
そしていつも「だーれも笑わないんだ」などと感心したりと...このセリフをおっしゃる方が荒川さんでなければこんなこと思いもしないんでしょうけど(^^ゞ

墓場のシーンではハムレットとホレイショーの立ち位置が変わっていました、客席よりの壁に隠れるんですね
東京公演では客席から観て【隠れてる】とは思えなかったですからこちらのほうが自然かも、しかしハムレットの話を聞いているホレイショーの姿はま〜ぁったく見えません。ちょっと寂しいです、それと棺を担いでくる人たち東京で観たときはフードを深くかぶってお顔が分からなかったのに今回はちゃんと見えてました、演出がかわったのかたまたまなのかは分かりませんがすごく気になります
わたしも詳しいことは分かりませんけど、棺を担ぐ人たちの顔は参列者に見えちゃいけなかったと思うんです。死人を間接的とはいえさわる人たちだからと聞いたような...
しかし、青山さんと田中さんは相変わらずお顔見えないくらい深くかぶっていらっしゃいましたけどね(^^;

この作品年齢設定にかなりの無理があるようですね
ハムレットの年齢もまちまちですが、その友人であるホレイショーも分かんないですよね、ノルウェー王をうち負かしたときのハムレット王の甲冑姿を知っているような話しぶりですがハムレットはこの時生まれたんですよ、するとホレイショーってハムレットより5歳くらい年上なのかしら。でもでも【学友】なんですよね(^^; まあ大学生ってことなら5歳くらい違っていても【学友】ってことあるでしょうけど
オフィーリアとの年の差だってかなり気になりますけどね...などと言い出したらきりないです

カーテンコールの時気になったのですが、荒川さんと青山さんの立ち姿とっても綺麗なんです
言葉で表現するのはちょっと難しいのですが、よくコンパニオンのお姉さん達がするような右足を少し前に出し左足の側面にくっつける立ち方なんです(バレエの5番を少し開いたような感じ...ますます分かりにくいかも^^;)お二人とも足が長いからとーーっても綺麗でした

わたしが初めて「ハムレット」という作品を知ったのは一枚の絵画でした。タイトルは【オフィーリア】あの川に落ちて流されるシーンです
ガートルードが語る内容そのままの姿が描かれているんですけど、解説文を読んでこれがあの「ハムレット」というお話のワンシーンだと知ったのです
当時のわたしにはホントに不思議な絵だという印象があります、顔は笑っているようだけど、実は何も感じていないよう...両手は肩辺りでまるで小さくバンザイしているよう、一時見入っていた記憶があります
ガートルードの話を聞くたびに思い出しますが、この絵の記憶があるせいか彼女の死が『自殺』だと思えないんです、あのまま川の流れとともにどこまでも行ってしまった、そう思えてならないんですね...
だからお葬式のシーンで「お兄さま」に抱えられている姿を見ても現実味を感じないと言うか、眠っているのかなぁって思ってしまいます(^^;

この絵を見たのは実は新聞の記事で本物にはお目にかかったことないんです(^^;

教えていただきました(*^^*) 作者はミレーでロンドン・テート・ギャラリー所蔵だそうです


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ハムレット 2001.4.22

この公演は観に行くか少し悩みました。四季の場合当日キャストが変更になる時がある、それは分かりますけど...ものすご〜く複雑な気持ちがします
でも阿久津さんが『レイアーティーズ』をどのように演じられるのか興味がありましたから、ちゃんと観てきました(^^;
最初に感じたことは【ちっちゃい!】博多駅のイベントでお見かけしたときはものすごく大きな人って思ったんです、なのに舞台の上の阿久津さんあまり存在感がないんです。だから余計に小さく見えたようです
途中から荒川さんと比較しちゃいけないなぁって思いながら観てました
阿久津さんは真面目で実直、思いこんだら一直線、敵を討つなら徹底的にてところでしょうか(^^; オフィーリアへの接し方はなんだかよそよそしくて兄弟と言うより幼なじみくらいの距離を感じました
あまり表情が変わらないのも少し物足りなかったです、ずーっと怒ってばっかりで周りとの掛け合いも見られませんでしたから...
イベントでお見かけしたときはくるくる表情が変わっておもしろい方だなぁって思っていただけに残念です
#荒川さんはホントによく表情が変わる方でしたから...ってやっぱり比較してしまいますぅ
ただこれだけ『怒り』の感情が表に出ていると剣に毒を塗っておくという言葉にも納得が出来ます、お酒に毒を入れることにも何のためらいもなさそげですけどね(^^ゞ

クローディアスがハムレットに殺されるところでふと思ったのですが、最初は玉座に戻ろうとするんです。次に毒酒を飲まされ王冠も頭上から転がり落ちるとガートルードの側に行こうとします
玉座はすぐにあきらめますが彼女の元へは何度か手を伸ばすんですよね、これだけでクローディアスという人が何を一番に求めていたのか分かる気がしました。ひどい人ですけど観ていて切ない気持ちになりました

松下さんのルシアーナス悪くはありませんでした、でも道口さんのときのように引き込まれるようなこともありません。道口さんの語り方はものすごく引き込まれます抑揚のポイントが違うんでしょうね。まるで紙芝居を見ている子供状態です(^^;

すこ〜し消化不良気味な舞台でしたけど、長く舞台を勤められている方はますます素晴らしくなっていましたし、それなりに楽しんできました。東京リターン公演はどのような配役になるんでしょうかねぇ




雑ネタ(^^; 観劇中に思ったことです

アンサンブルさんの役がかなり変更になっているようです
オフィーリアの棺を担いでいる方が1月前とは違っていました、役の捉え方も変わったようでハムレットとレイアーティーズの争いを止めに入る前4人で慌てたように話し合っていました
東京で観たときはクローディアス(ガートルードだったかも(^^;)が『誰か止めさせて』みたいなことを言うので彼らが動く、といった流れだったような気がします...わたしはこの流れが好きだったんですけどね
前回の雑ネタにも書きましたけど、棺を担ぐ人たちが周りの人と同じように話したり顔が見えたりするのはなんだかおかしい気がするんです、ここは顔を見せずに言われたときにだけ動いて下さる方が【死】を強く感じられるような気がします
ちなみに、上手後ろは青山さんではなくなっていました(だれかはよく分かりませんでした)手前は田中さん、下手手前は藤田さん(たぶん)後ろはやはり分かりませんでした

旅役者な関さん、バクテンの仕方が違いますね(^^; 両手でなく片手でされていました。流石です


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