ヴェニスの商人 2004.9.26

シャイロック
日下 武史
 
アントーニオー
荒川 務
バサーニオー
栗原 英雄
ポーシャ
坂本 里咲
ネリサ
森実 友紀
ジェシカ
西田 有希
(劇団俳優座)
ヴェニス公/テュバル
広瀬 明雄
モロッコ王
田中 廣臣
アラゴン王
松下 雅博
ロレンゾー
丹下 博喜
ランスロット・ゴボー
味方 隆司
老ゴボー
立岡 晃
グラシャーノー
青山 祐士
ソレイニオー
荒木 勝
サレアリオー
田中 裕悟
女性アンサンブル
木村 不時子 種子島 美樹 大西 奈穂 岡本 和子
藤井 智子      
男性アンサンブル
辻 仁 中山 大豪 吉田 陽一  

前回公演を一度しか観ることが出来なくて残念に思っていましたので今回の公演すっごく楽しみにしていました
ストーリーとはまったく関係ないんですが前回観たときは舞台がもっと傾斜していた気がするんですけど...
まぁ一度観ただけなのでただの思い込みだと思いますが、舞台を見て最初に感じたことです^^;

原作を読んだことないんですが、この話って喜劇なんですよね
内容はがめついユダヤ人がクリスト教徒によってまんまと言いくるめられるってところでしょうか
でもこの舞台からは笑いより底知れない哀しみのほうがひしひしと伝わってきました
日下さん演じるシャイロックには永い時の中で蓄積された恨みが激しく感じられます
そしてこれをどうやって晴らすかで頭がいっぱいになり結局何一つ手に入ることなかった哀しみの深さ
言葉では言い尽くせないです
台詞の中によく出てくる「ユダヤ人」という言葉、ある種の差別用語ですよね
この時代、他人にお金を貸して利益を得ることはよく思われていなかった
そしてこんな職に着くのはほとんどユダヤ人だったこともさげずまれる要因だと聞きました
ソレイニオーたちに食ってかかるところは、彼らがどれほどひどい仕打ちを受けてきたのか垣間見え聞いていて切なかったです
そして裁判が終わり立ち去ろうとした時にみんなに突き飛ばされぼろぼろになりながらも最後に毅然と立ち去っていった姿が痛々しすぎて涙が止まりませんでした
『なぜ、彼はここまでひどい仕打ちを受けなければならないんだろう』
この一言に尽きます...

数日前に南十字星でお見かけした栗原さんがいらっしゃるのにはびっくりしました
そしてこの役ってこんなにおもしろかったっけ?って思いました
ポーシャに求婚するときや貰った指輪を手放してしまったときの言い訳など、見事な三枚目ぶりです^^;
前回の観劇ではほとんど記憶になかったんですけどねぇ、この役
重くなりがちな話の中で唯一能天気な役どころでおもしろかったです

同じく狂言回し的な役どころの青山さん
あんなにコミカルにいっぱいしゃべる姿を見たのは初めてだと思います
ネリサとの掛け合いはほほえましくって可愛らしいなぁって思いました
ただおかしかったんですが、裁判のシーンでシャイロックにあざけりの言葉を浴びせるところは辛かったです
『何もそこまで言わなくても...』ってね

お話とは関係ないんですがアラゴン王の従者で出て入らした立岡さん
立膝で後ろに控えているときものすごく傾いていらしたんです、そのまま倒れちゃうんじゃないかって思うくらい
それが気になって気になって^^;
お疲れなのかしらって心配になっちゃいました

森実さんのネリサすっごく可愛らしかったです
衣装もよくお似合いでしたし、青山さんともよい夫婦でした

最後に一番気になっていた荒川さんのアントーニオー
シャイロックに感情移入している私としてはどうしても好きになれない役どころなんですよねぇ^^;
同じ商人としてシャイロックたちユダヤ人のやり方がどうしても好きになれない
とても憎憎しげに見つめていらっしゃるのが印象的でした
栗原さんと一緒にいらっしゃるとどうしても印象が薄くなっちゃうんです
やっぱりコミカルな方のほうが目立っちゃいますもんね

前回の観劇より短くなっているそうですね
前回に観たとき長かったってイメージはありませんけど、これくらいの長さのほうが観ていて疲れないってことなんでしょうね
しかしどこがカットになったんでしょうね、ぜんぜん分かりませんでした



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ヴェニスの商人 2004.10.9

シャイロック
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アントーニオー
荒川 務
バサーニオー
栗原 英雄
ポーシャ
坂本 里咲
ネリサ
森実 友紀
ジェシカ
西田 有希
(劇団俳優座)
ヴェニス公/テュバル
広瀬 明雄
モロッコ王
田中 廣臣
アラゴン王
松下 雅博
ロレンゾー
丹下 博喜
ランスロット・ゴボー
味方 隆司
老ゴボー
立岡 晃
グラシャーノー
青山 祐士
ソレイニオー
荒木 勝
サレアリオー
田中 裕悟
女性アンサンブル
木村 不時子 種子島 美樹 大西 奈穂 岡本 和子
藤井 智子      
男性アンサンブル
辻 仁 笠嶋 俊秀 吉田 陽一  

まずは...
前回の観劇で一番気になっていた立岡さんの従者
気になるほどのものではなくなってましたけど...やっぱり傾いてました^^;
こういうことって一度気になるとどうしても目がいっちゃうんですよね

荒川さんのアントーニオー
雰囲気というか存在感が違っていました
まず、「荒川さんらしいなぁ」って思ったところは
バサーニオーが一目ぼれしたポーシャのことを語って聞かせるところで、とっても楽しそうな彼をおもしろそうに見ているんです
ちいさくうなづいたり、驚いたりととても楽しそうなんです
人の話を聞くシーンではいつも話の内容に沿った表情や演技をされているんですよねぇ
それがおもしろくって大好きなんです(*^_^*)
だけど、シャイロックが現れるとさっと雰囲気が変わるんです
ピーン張り詰めたような、冷たい空気へ
見ていてすっごく怖いです、だけどどちらもこれ以上踏み込んではいけないラインっていうものを感じているせいかある意味とても冷静なんです
そのせいか、ソレイニオーたちにからかわれたときの激昂の激しさはアントーニオーに言うにいえないことを一気にぶちまけてるって感じがしました
二人の激しさがそれぞれ強くあらわれる裁判のシーンはやっぱり見ていられなくってほとんど覚えていません^^;
最前列で見ていると余計に辛くて
アントーニオーの言うことは潔くて、きっと正しい
理解ってはいるんですが、心の隅っこで納得できない「何か」がある
それはたぶん、日下さんの演技から伝わってくる底知れない悲しみや憎しみなんだろうなぁって思うんです

見ているだけなのにぐったりしちゃうんですよね^^;
でももう一回くらいは見たいなぁっておもってます



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ヴェニスの商人 2004.11.3

シャイロック
日下 武史
 
アントーニオー
荒川 務
バサーニオー
栗原 英雄
ポーシャ
坂本 里咲
ネリサ
森実 友紀
ジェシカ
西田 有希
(劇団俳優座)
ヴェニス公/テュバル
広瀬 明雄
モロッコ王
深見 正博
アラゴン王
松下 雅博
ロレンゾー
丹下 博喜
ランスロット・ゴボー
味方 隆司
老ゴボー
立岡 晃
グラシャーノー
青山 祐士
ソレイニオー
荒木 勝
サレアリオー
田中 裕悟
女性アンサンブル
木村 不時子 種子島 美樹 大西 奈穂 岡本 和子
藤井 智子      
男性アンサンブル
辻 仁 笠嶋 俊秀 吉田 陽一  

行くかどうかかなり悩んだんですが、やっぱり見たくなって行って来ました
自由劇場では初の二階席からの観劇でした
ぎりぎりに取ったので一番後ろの端でしたが見やすくてよかったです

まず思ったのはやっぱり荒川さんってすごいなぁってことです
ファンだから贔屓目はたぶんにあると思います、でもこの上演期間ですごく変わられました
初日は完全に日下さんの演技に押されていました、だけど今日は押し返すだけの力を感じました
お金を借りる約束をするときの静かなにらみ合いは怖かったです
まっすぐであるが故、シャイロックの商売を許すことが出来ない... シャイロックのほうも自分の仕事に信念があるわけですから
決して相容れないものどうしの駆け引きなんですもん、見ているこちらだって緊張しちゃいますよね
それにしてもその横でまぁ〜たく気づく風でもなくお金が借りられるかどうかだけを心配しているバサーニオーはある意味つわものですね^^;
重苦しいシーンが多い中、荒川さんらしいなぁってシーンもありました
それは、指輪をポーシャに渡して欲しいと頼むとき
両腕をがしっとつかんでかなり激しく上下に振っていらっしゃいました
おかげで栗原さんかなりがっくんがっくんされてました^^;
楽しんでいらっしゃるんだろうなぁって思いました
それとポーシャから受け取った指輪をはめてあげるところも♪

裁判のあとみなに突き飛ばされぼろぼろになったシャイロックが立ち上がり振り返った瞬間のなんともいえない気迫と存在感
その場を一瞬にして凍りつかせるものがありますね
どんなに蔑まれようと自らの信念は決して変わらないし、変えることもない!っていう想いが強く強く現れているんですもの
二階で見ていたので余計にそう思うのかもしれませんけど
日下さんでなければここまでシャイロックに肩入れなんてしなかったでしょうね

千秋楽にふさわしいすばらしい舞台でした



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