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愚かな僕の愚かな独白
あいつを殺さなければ ヒトは 万物の霊長なのだと 霊長とは最も優れていることなのだと そんな嘘を 自分の息子に平気で言うような奴は 殺してしまわなければ ヒトは 万物の中で 最も醜く 愚かなのに 神を創ったときから 理由を問わねば 生きてゆけなくなったときから 庭先に迷い込んできたアゲハチョウ 僕は暗澹たる気持ちで カッターナイフを 突き立てる もがくアゲハの儚い手足 ああ 胴体を寸断されるこの瞬間でさえ この生物は 僕のことなど 眼中にないのだ 最後まで ただおのれを精一杯生きているのだ だから こんなにも 美しい アゲハを切り刻む 僕の目から涙が零れ落ちる 僕たちは こんなにも こんなにも 世界と隔絶している さあ 次は あいつの身体を バラバラにする番だ 今度はきっと 涙は出ない |