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元治2年2月6日(1865.3.3)
【京】二条関白、中川宮に朝議の「紛転」を告げ、早々の参内を求める
【京】老中本庄宗秀、慶喜に、将軍上洛中止・上洛督促の勅使下向の際の辞職の幕議決定を告げ、
幕兵による御所守衛と慶喜・容保・定敬東帰実現の使命を述べる

☆京都のお天気: 晴 (朝彦親王日記)
***
>老中本庄宗秀・阿部正外の率兵上京
・朝廷の動き
【京】元治2年2月6日(3.3)、二条関白は、「所労」で参内を見合わせている中川宮に返書を送り、天皇も参内を待っており、目下(朝廷が)「紛転」しており、自分一人では抑えがたいので、早々に参内するよう、改めて求めました。

(中川宮の日記に記された関白の返書の概容。てきとう訳)
・(略)
・「差向紛天ノ形勢、所々ノ説、下官一人ニ而困り」、とてもとても抑えがたい。「久兵衛(=肥後藩留守居上田久兵衛)申立(※1)至極尤ニ存候」ので、「精々不動ノ様可仕候」が「多勢ニ不勢」である。早々に「島渡成共出仕」してほしい。
・六條(=議奏六条有容)からの言上(※2)は承知した。
・(略)
・老中上京については「種々風説」があるが、まず「御互ニ鎮静致居候方肝要」か、また相談を申し入れるつもりである。
・(略)
(※1)2月3日、中川宮は、久兵衛の守護職松平容保の東下を両老中参内まで猶予すべきという主張に同意し、直書を添えて二条関白にも入説させた結果、関白もこれに同意し(こちら)、2月4日、容保の東下は暫時猶予になっていた(こちら)
(※2)2月5日、中川宮は、六条を通して、二条関白に、老中への応対は「穏」かするよう申し入れていた。

<ヒロ>
それにしても、二条関白って、自分が優柔不断で流されやすいことを自覚してたのですねえ・・・。

参考『朝彦親王日記』一p142-143(2019/2/5)
■テーマ別慶応1容保の東下運動 本庄・阿部老中の率兵上京

・慶喜の動き
【京】元治2年2月6日(3.3)、禁裏守衛総督一橋慶喜は、前日に上京した老中本庄宗秀を招き、将軍上洛中止及び上洛督促の勅使下向の際の辞職を幕議で決定したことを聞き出しました。

また、上京の使命は、幕兵による御所九門警衛、諸藩周旋方の京都退去、金子を使っての朝廷工作による「文政年間之通」の実現、慶喜・守護職松平容保・所司代松平定敬の東帰と両老中による執政、であることも聞きだしました。


(翌2月7日に、中川宮が一橋家家臣黒川嘉兵衛から聞き取った宗秀の話。てきとう訳)
  1. 開鎖の論は少々寛んだこと。
  2. 将軍進発の件は、去冬、老中で協議の結果、取りやめたこと。
  3. 御所九門の諸藩警衛解除(「取リホドキ」)のこと。
  4. 諸藩周旋方退去(「引払い」)のこと。
  5. もし、上洛催促の勅使下向があれば辞職すると評議で決定したこと。
  6. 本庄宗秀は「赤ツラ」、阿部正外は「白ツラ」で周旋の含みであること。
  7. 「禁中始、国事輩(=国事御用掛)・両役(議奏・伝奏)辺迄金子ヲ贈、文政年間之通」にしたいとの存意の由のこと。
  8. 朝廷の国政への関与が「天下混雑」を生じる(「於朝廷ニ天下之政御取リイロイ依有之天下混雑ヲ生候」)と申していたこと。
  9. 慶喜、容保、定敬を東下させ、両老中が京都に残って「法政」をする含みのこと。
  10. 徳川慶勝の参府がなければ難しいと申したこと。
  11. (慶喜が)容保下向の件を話すと、(宗秀は)「至極宜」と悦ぶ様子だったとこと。

(おさらい)
前元治1年年末、幕府は、京都寄りで幕府を苦しめていると猜疑する禁裏守衛総督一橋慶喜連れ戻しのために、老中松前崇広・若年寄立花種恭相次いで率兵上京させましたが、両名は役目を果たせないまま、この年の1月8日、9日に相次いで帰府していました(こちら)

幕府は、1月11日、今度は老中本庄宗秀・阿部正外に上京を命じました(こちら)。翌12日、松前崇広が守護職松平容保・所司代松平定敬に記した書状では、その目的は賄賂を用いた朝廷工作による将軍上洛阻止、幕府歩兵による御所九門警備の実現だとされていました(こちら)。幕府は、15日には長州処分の江戸での決定及び将軍進発延期を布令し(こちら)、本庄は1月19日、阿部は1月20日に江戸を出立しました。両老中の率兵上京の噂が届くと、京都では様々な憶測が飛び交いました。たとえば、肥後藩留守居役上田久兵衛は、2月4日に国許へ送った手紙で、両老中の上京目的は、世評では、「橋公を退ケ、会桑を取替、九門之藩兵を撤スル等之策」だと報じていました(こちら)

参考『朝彦親王日記』一p144-145(2019/2/5)
関連:■テーマ別慶応1 本庄・阿部老中の率兵上京

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