――撃つしかない。
経験がなかろうが自信がなかろうが、俺に残された道はそれしかないのだ。

俺は、サングラスの首筋を狙うことにした。
もし命中したら、やつは無事じゃすまないだろう。
俺だって、殺人者になんかなりたくない。自分が死ぬのだっていやだ。
だが――自分の愛した女が死ぬのは、そのふたつよりずっとずっといやだった。

当たってくれ……!
祈るような気持ちで、俺は引き金を引いた――。

……!!

耳をつんざくような音が、不気味に響く。

どうなった!?
恐る恐る、目を開けると……。

 

 

――視界には、気味悪くなるほどの赤が満ちあふれていた。
それは、サングラスの首から吹き出していた。
俺の最後の一撃は、やつの頸動脈に命中したらしい――。

助かった……。
俺の手は汚れたが、俺も真奈も無事だったんだ……。

「……僚!!」
真っ赤な洗礼を受けた真奈が、俺に駆け寄ってくる。
俺は、何も事情を知らないやつが見たら不気味でしかないだろうその体を、きつく抱きしめた。

 

 

――今後、俺がどうなるかなんてわからない。
でも、真奈がいてくれればいい。こいつが生きてさえいれば、もうそれだけで――。

 

 

最後の一撃

(エンディング No.43)

キーワード……な


読むのをやめる