これから、俺はどうなるんだろう……。

みどりは殺されなかった。
それが歴史上の真実として確定した瞬間から、久保田俊夫という人間は、この世にただひとり……あの至上の悲しみを知らないままの、もうひとりの俺だけになったのだ。
すると、残された俺はいったい、どこへ行けばいいというのだろう……。

……そうだ。
物置の前に戻ってみよう。
もしかしたら、あそこから元の世界に帰れるかもしれない。
未来が変わり、みどりが生きている元の世界に。
彼女がしっかり俺の姿を瞳にとらえ、俺の声に反応して振り返ってくれる、現実の世界に。
きっと、帰れる。
帰れるはずだ……。

あふれる涙をパーカーの袖で拭い、階段をゆっくりと上っていく。

物置の前を見ると、思った通り、そこにはあの赤いひずみ……タイムゲートが出現していた。
俺はそれに歩み寄り、ためらうことなく中に飛び込んだ。

 

 

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