さっき残しておいた手紙があるかどうか、思いきってテーブルの上を見てみた。

……手紙は、確かにそこにあった。
すると、俺が過去へ行ってみどりを守ったのは、現実のことだったのか……!?
思いながら、手紙を再び手に取る。

……!!

そこに書かれていたのは、さっき俺が残したメッセージではなかった。
しっかりした、でもかわいらしい文字で綴られたその手紙には……。

『誰よりも大切な俊夫くんへ
ありがとう……。
とっても嬉しいです。
いつまでも、ずっといつまでも、私をそばに置いてね。
                  あなただけのみどりより』

……。
俺の目から涙が落ち、手紙を濡らした。
濡らせるんだ……。
俺は今、確かに現実を生きている……。

そのとき、ドアが開いた。
そのすきまに見えたのは……。

俺を見つめる大きな瞳。
俺のすべてを放り投げてでも守ってやりたくなるほどの、小さな体。
そして、わけのわからない、ただ愛しいだけの心……。

「俊夫くん……」

「みどり……!!」

俺たちは互いに駆け寄り、抱きしめ合った。
強く。
ただ強く。
それっきり何も言わず……。
すべての思いは、そうするだけでふたり共通のものとなった。

もう、悲しみの世界をさまよった俺はどこにもいない。
ここにいる俺こそが、現実の俺自身……。
そして、きちんとぬくもりを持って俺の腕の中にいるこの彼女こそが、現実の彼女自身なのだ。
そして俺は、これから彼女とふたりで生きていく。
一度は永遠に失ったはずの彼女と……。

時空を超えた置き手紙……。
それはあたかも虹の架け橋のよう、そして……未来への道しるべのようでもあった。

 

 

置き手紙

(エンディング No.9)

 

 

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