(3)布の新しいカバーファクター(布充填度)表示
1.はじめに
布地の構造を定量的にあらわすには、一般にcover factorが用いられているが、この数値は、平織に限られ、織物の相対的な構造の違いを示すものであり、さらに斜文織や朱子織には適用できないなどの利便性に欠ける点がある。
1994年に、A. Seyamと Aly El-Shiekh(3)は、新しく布地の面積に対する糸の占める面積の比を示す値として、new tightness factorを発表した。
New tightness factor(布充填度)は、cover factorと異なり、布地に対する糸の面積の割合で表すもので、他の布と比較しなくとも、布の充実度を知ることができる。そして、new tightness factorは、平織、斜紋織、朱子織のいずれの織り方にも適用できるため、実際に使われている布の90%以上の布に適応することになる。
2.New tightness factor(布充填度)について
A. Seyamと Aly El-Shiekh(3)は、糸の最大密度、つまり一完全組織内に理論的に隙間無く詰まっている糸の量を、織物の縦糸と横糸の交錯状態を考慮し、幾何学的に(2)、(3)の式で表した。

織物の幾何学的構造
tm=e/{(e-i)πd/4+2id} ―――――――――――――――――――(2)
e:一完全組織の糸の数
i:一完全組織の交錯の数
d:糸の直径
よって、織物の構造を示すnew tightness factor(T)は(3)式で求めることができる。
ただし、添字1,2は縦及び横を示す。
T=(ta1+ta2)/(tm1+tm2) ―――――――――――――――――――(3)
ta:一完全組織内に実際に糸が占める量
tm:一完全組織内に理論的に最大糸が占める量
3.実際例
|
|
||
|---|---|---|
| 織物組織名 | eの値 | iの値 |
| 平織 | 2 | 2 |
| 1/2斜文織 | 3 | 2 |
| 2/2斜文織 | 4 | 2 |
| 3/1斜文織 | 4 | 2 |
| 3/3斜文織 | 6 | 2 |
| 4/4斜文織 | 8 | 2 |
| 5枚2飛朱子 | 5 | 2 |
布例1

4/4斜文織
たて糸太さ 42tex, 100%wool 横糸太さ 42tex, 100%wool
たて糸密度 28ends/cm 横糸密度 20picks/cm
4/4斜文織 e=8, i=2
そ羊糸のパッキングファクター0.76
羊毛繊維密度 1.32g/cm3
たて糸 と 横糸の 直径を計算する。
d1= d2=3.57×10-3 ×√{42/(0.76*1.32)
=0.0229cm
一完全組織内に理論的に最大糸が占める量
Tm1=Tm2=e/{(e-i)πd/4+2id}=8/{(8-2)*3.14*0.0229/4+2*2*0.0229}=40.06本
したがって、新しいカバーファクタ(布充填度)
T=(28+20)/(40.06+40.06)=0.60
この布地の新しいカバーファクター(布充填度)は60%となる。
布例2 綿平織

布例3

2/2斜文織
たて糸太さ 68tex, 100%wool 横糸太さ 68tex, 100%wool
たて糸密度 18ends/cm 横糸密度 23picks/cm
2/2斜文織 e=4, i=2
そ羊糸のパッキングファクター0.76
羊毛繊維密度 1.32g/cm3
この布地の新しいカバーファクター(布充填度)は81%となる。