お題:Lの季節(トンキンハウス・1999年・多次元恋愛青春ものアドベンチャーゲーム)

どうも、私、かーずと申します。今回は「Lの季節」について取り上げようと思います。 え〜と、まず言っておきます。ネタバレは含みませんがかなりの長文になってます、要注意。

このゲーム、聞いたことがあっても実際にプレイした人というのはかなり少ないんじゃないでしょうか。 なにせメーカーがトンキンハウス。ええ、過去にスーパーファミコンなどでクソゲ連発していたメーカーでして、 ある程度以上のゲームファンなら、まずその先入観で「購買候補・即・除外」の信念を貫いてしまうこと間違い無しという ・・・とほほ、親元が「東京書籍」という、教科書作ってる会社なのに何やってんでしょうかまったく(言いすぎ) という感じの冴えないメーカーだったんですが、これは違いまっせ〜!!

グラフィック、音楽、シナリオが高い次元でまとまってる、秀作ゲームなんですよ。
まず、ゲームを起動させると、ピアノのソロとともにオープニングのムービーが・・・屈指の出来!! オープニングとマッチした主題歌である「手ごたの無い愛」(小松 未歩)の優しい旋律が、抵抗無くゲームの世界へ 誘ってくれます。 やっぱりオープニングってゲームの手法として大切ですよねぇ。 特にAVGって、感情移入がポイントじゃないですか。だから、オープニングでユーザーの心を鷲掴みできるかどうか で、その後の印象も大分変わってくるわけで。 なのにいきなり少女が延々と走り続いているヘボいアニメ見せられても・・・ 。あるいは暗黒太極拳でも可ですが。
その点このゲームに関しては合格。ムービーの作画レベルも問題ナシ。スタッフの並々ならぬ本気さえ感じられる、気合の入ったものに仕上がってます。

グラフィックは原画にぽよよんロック氏を起用。はい、今をときめく美少女原画師でありんす。 この方の絵って、なんというか、「淡い」んですよねぇ、受ける印象が。 え〜と、ほら、秋葉原なんとか組ってあるじゃないですか、あそこまで濃い味付けをされると、 ギャル絵がいくら好きな僕でもさすがに引いてしまうわけなんですが(ファンの方ごめん)。ぽよよん氏というのは、 そういう眼球の肥大化した類のデフォルメタッチとは対極的な画風でして、強烈なインパクトは持ってないけど、 心に染み込んでくる雰囲気を持っていて実に味わい深い!もう私、この作品でファンになってしまいました。

余談ですが、原画でココまで懐を開いてしまったのは、滝美梨香氏とこの方くらいでして、思わす私、 やっぱりぽよよん氏原画である「コートの中の天使たち」というエロゲを買ってしまいましたよ。 思いっきり地雷でしたけどね。 アイタタタタタ。絵は良いんだけど、ゲームシステムの腐りっぷりがさすがにピンパイでした(泣。

で、こっからマジモード。ストーリー紹介。 我々の世界である現実界と、人間と亜人間(いわゆるワーウルフとか妖精ね)の共存している幻想界が、 表裏一体として存在しているというバックボーンがあるんですけど、この二つはともに六角ペンダントと 言う謎アイテムで繋がってまして、現実界の主人公と幻想界の主人公の二つの大シナリオは、それを 軸に展開されていきます。

現実界)新聞部の山岡進のもとに現れた六角ペンダントと同じくして、生徒や先生がなんの前触れもなく 意識不明の重体になる事件が起こる。それを調査する進は、一年前に同じような事件が 起こった事を知る。そのときの渦中の人であった星原百合。 同じ新聞部である天羽 碧とは一年前まで親友だったと言う彼女。 どこか神秘的な印象を与えるその少女は、今回の事件で何かを知っているようだった・・・。

幻想界)バンド活動をしている桐生真は何かとスランプ中。そんな時期に六角ペンダントを拾った彼は、 内なる声に惹かれて禁断の魔法音楽に手を染めてしまう。そこから紡ぎ出される音楽は破壊的で、学園を 混沌とさせてしまう・・・。

というのがおおまかな内容でして、まあ、はっきりいって、それほど斬新なことはありませんわ。 現実の世界に非日常を交えてくるパターンは、ライトノベルでは良く見かけます。 んがしかし、このシナリオを、単なる鉄の塊から黄金へと変えてしまう、錬金術のような ことをやってのけているというのは、やはり人物描写が上手く描けていることなんじゃないでしょうか。 一言で言えば、キャラが立っている、ということですね。
やっぱり人物を描くのに、細かいエピソードの連続を持ってして多角的に紡いでいるあたりがその秘訣 なんでしょうなぁ。そのエピソード群も、強烈なのと落ち着いたのと取り混ぜてある、緩急をつけたピッチングに なっているあたりに技を感じますね。 いきなりヒロインがシャクトリ虫を熱心に観察していたり、 楽器に取り憑く妖精がUFOキャッチャーの中に捕まっていたりといった暴投気味の ピッチングが、「放課後、夕焼けの日差しでオレンジに染まる教室で、ぽつねんと机にうつ伏せて寝ている少女」というような直球ど真ん中のシチュエーションを 引き立てている、などといってしまうと「L季」ファンから確実にどやされますが。

こんな風に書いていると、ギャル(恋愛)ゲーのように思われるかなぁ〜。私としては恋愛ものというよりは、 ファンタジー色のかなり強い青春ものと言う捉え方をしてまして、 上記のような情景の積み重ねから紡ぎ出される物語は、非常に懐かしい匂いを感じさせます。 あくまで雰囲気だけですが、角川映画「時をかける少女」の弓道シーンにはじまる前半パート を連想してしまいます(喩え古っ!)。 その匂いは現実界サブシナリオにおいて非常に濃く、新聞部の記事作りの為に友人に協力してもらって 聞きこみし、深夜の学校に忍び込むくだりなどが特にそんな感じです。

前述で「エピソードが多角的」と言いましたけど、この一端を担っているのがマルチストーリーシステム。 このゲーム、最初はメインキャラのシナリオにしか進めません。しかもハッピールートであっても尻切れとんぼで終わります。 で、現実界と幻想界、世界を変えてプレイすることでこの事件の全体像が浮かんでいき、最終的にひとつの局面へと 収縮して行き、クライマックスを迎えるという・・・おお!!なんという組み立て方の妙!この時、プレイヤーは確実に カタルシスを迎えるでしょう。
小説、TVなどの既存のメディアでは表現しきれない、ゲームならではの方法論ですなぁ。
しかも、その後のサブシナリオをやることで、その時には気づかなかった、説明のつかなかった事へのレスが きっちり用意されているという凝りよう。 システムとしては「痕」(Leaf)を踏襲したものとなってますけど、こと二つの世界をリンクさせているという部分が、 ある種「痕」の進化系と見られますね。

総論
一時期ギャルゲーブームの嵐が吹きまくっていたゲーム業界ですが(すでに沈静化)、そのような中で 粗製濫造された大量の安易なギャルゲーってのは、とにかく女を「快活な幼馴染、おしとやかなお嬢様、 メガネな真面目っ娘、タカビー」などを1セットにしてボンと出してきて、さあ萌えろ! どや!!だなんて、なんだかあずまんが大王 の台詞でも言われているような感じ。どうも「Lの季節」も、それら粗製濫造ゲーのOneOfThemだと思われてる節があって、 非常に歯がゆいんですわ。

そこで、私はここであえて言おう!これは名作であると!! (ジークトンキン!ジークトンキン!ジークトンキン!

このレビューを読んで気になった方はお店で発見したら即ゲット!損はさせませんぜ〜。

#結局、ファンタジー色の強い幻想界シナリオには触れられんかった・・・けど、こっちも良いですよ。 めっちゃ明るい幽霊の流水音、気弱でドジな死神族の舞波優希や妖精リリスなど、魅力的な女性陣の 織り成す6+1のストーリーも、現実界編に負けてません。

プレイ時間:35時間

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