歌月十夜(投稿レビュー)     戻る

こちらは
kei様より、ご投稿を頂いたレビューとなります。

−−−以下、投稿いただいたレビューとなります−−−

歌月十夜


同人ゲームの名作「月姫」の「お祭りディスク」(ファンディスク)です。
ただし、一般のファンディスクと異なり、本作は外伝集というイメージが強くなっています。
また、ボリュームもかなりのものがあります。


ゲーム展開
メインである「Twilight Grass Moon, Fairy Tale Princess」
(以下「FTP」)は何度もクリアーすることで新しいフラグが立って、
話が展開していくという「弟切草」「痕」タイプのノベルゲームです。

その「FTP」で、条件を満たすと「夢十夜」というカテゴリーに
外伝ノベル、計10編、が追加されていくというスタイルです
(例:「FTP」で知得留先生に逢う=「夢十夜」に「がんばれ知得留先生」が追加)

また、「FTP」「夢十夜」をすべてクリアーするとエンディング扱いのショートノベル「夏祭り」が追加されます。



システム
ノベルゲームの一般的なシステムであり、必要十分な機能といえるでしょう。
「月姫」では差分ファイルで提供された読み返しモードも標準装備になりました。
この読み返しモード、たとえばロードした直後でも、直前のシナリオを読み返すことが出来、
「お気に入りのシーンをロードしたが、そのちょっと前も読みたい」という要求も満たしてくれる、
かゆいところにも手が届く仕様となっています。
また、シーンを丸々飛ばすタイプのスキップも「このシーンは○○のシーンです、スキップしますか?」と
シーンの解説が入るようになり、非常に使いやすくなりました。
システムの堅牢性も、10/6現在、修正ファイル(Ver1.2)がリリースされていますが、
Ver1.0でも致命的な不具合は無く、非常に安定していると言えるでしょう。
・・・見習って欲しいな・・・何処に、とは言わないけれど。



グラフィック
一枚絵は実質50枚程度。多くもなく少なくもなくと言ったところですが、
立ち絵が「月姫」からの流用+新作100枚ほど・・・ということで、非常に情感豊かに感じます。
通常一枚絵で処理される部分、たとえば文化祭でのコスプレなど、を立ち絵にしたのは
状況を伝えるのに、手間のかかる一枚絵を用意するより、立ち絵を2〜3枚用意したほうが、
キャラに表情を付けられる点で適しているとの判断からでしょう。好判断だと思います。

絵の質ですが、月姫から流用された立ち絵に若干デッサン狂いが見られますが、
流用なのでやむなし。新作の一枚絵・立ち絵は一定レベルをキープしており、
塗りも淡泊ではありますが、悪くないと思います


音楽
月姫本編は暗めの曲が大半だったため、追加分はほとんどが明るめの曲です。
さすがに本編のメインテーマに匹敵するほどの名曲は無いですが、
全体的に雰囲気の良い作品群です。特にエンディングの曲とアルク先生のテーマは秀逸かと。


キャラクター
オフシャルで「歌月十夜」マスターアップ前に二度、人気投票が行われました。
その勝ち組(アルク・秋葉・翡翠のベスト3)と負け組(シエル・琥珀)で扱いが天と地ほど違います。
比較的ヒロイン的な扱いを受けている勝ち組に対して、負け組は完全にお笑い担当と化しています。
個人的にはその負け組二人の方が好みなのですが、シエルには異常に多い立ち絵が、
琥珀には後述のシナリオがあるので満足だったりします。

その他、設定だけはあったキャラが今回多数出演しており、各キャラ魅力的に描かれていました。
この文章を書いている現在、行われている第三回人気投票がどうなるか非常に楽しみです。

ちなみに、一部で話題になった「さっちん(弓塚さつき嬢)出番無し」騒動は、
「ちょっとだけ出演してるけど、ほとんど目立たない」という、
彼女の月姫本編での運命と同じく悲しいオチがつきました。合掌。


シナリオ
「FTP」はその性格上、序盤は難解です。しかし、予備知識無しでプレイするであろう月姫と異なり、
大抵の読み手側が「月姫の世界観」を有る程度理解しているため、
「よく解らないけれど、何となく解る」といった感じで進めることが出来ます。
終盤はしっかり理解できるようになります。
シナリオ自体は途中でオチに気づいてしまうため、意外性という点で弱いですが、
月姫らしい雰囲気を持った話と思います。

「夢十夜」は、硬軟混じり合った良質なショートストーリーです。
特に秋葉の寮生活を描いた「宵待閑話」、有彦の性格の立脚点がわかる
「ななこちゃんSOS!」、定番のオールキャスト物でありながら
各キャラの個性を良く捉えた「遠野家のコン・ゲーム」あたりが個人的に好みです。
また、コンプリート後の隠しシナリオである「酔夢月」も、
話のメイン部分では立ち絵・一枚絵を意図的に排し、読み手に情景を想起させるという、
心憎い作品となっています。

なお、この作品は「同人」であることを生かして、いわゆるパロディが適度に散りばめられており、
そう言う意味でも楽しい作品になっています。
特に、「月姫のパロディ同人誌ネタをシナリオに取り入れる」という荒技まで披露してくれてます。

余談ですが、キャラクターの欄で書いた琥珀さんの見せ場は
「遠野家のコン・ゲーム」です。特にラストは「ベタだな〜」と口では言いながら、
頬が緩んでしまったのは内緒。


総評
「月姫」は「一般の18禁ゲームよりもレベルが高い」とよく言われます。
その点については同感ですが、文章の読みづらさ(内容的・構成的)、
文章スキップの使いづらさ、原画レベルでの
若干のデッサン狂いといったアラが目立つのも事実でした。

それに対して、本作はそう言う不満点が解消もしくは改善されており、
非常にレベルの高い作品になっています。
月姫世界が更に広がる、月姫ファン必携の作品と言えるでしょう。

唯一の難点はこの「歌月十夜」をプレイする為には、
本編である「月姫」をクリアーすることが絶対条件となることです。
その本編が異常に長いので、誰にでも簡単に勧めることが出来ない、
というのが難と言えば難ですかね。


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ご投稿日:2001年10月7日
掲載日 :2001年11月21日(非常に遅くなり誠に申し訳ございません)