NBPRC&Y.S.R.常連ツーリング 2000年7月20日
  7月20といえば,いつの頃からか「海の日」。学生は夏休みに入り,関東以西では梅雨が明けて酷暑がやってくる。どう考えても,イメージは「海」なのだが,私はへそ曲がりなので山で涼むことを選んだ。7月20日はNikkeiBP Riders Club主催の「海の日なのに山で納涼ツーリング」となった。目的はズバリ,涼むこと(そのまんまだな)。富士山に登り,白糸の滝でマイナスイオンをたっぷり浴び,富士の風穴で冷気を堪能しようというわけだ。今回はさらに私のホームページの常連さんも加わって,いつもとはちょっと違う楽しいツーリングになりそうだ。
 その日,梅雨が明けたばかりの東京の空は,やや雲が多めながら晴れて朝から暑かった。久しぶりのツーリングにはやる気持ちを抑えつつ,最初の集合場所へ向かう。この時,まさか前代未聞のハチャメチャツーリングになろうとは思ってもいなかった。
隊長失踪事件
 自宅そばの集合場所で,H2さんと隊長と落ち合う。隊長は新車のDUCATI M900のお披露目だ。例によって,まだ慣らしが済んでいないという。H2さんも,衝動買いして間もないCRM250での初見参だ。
 池袋から首都高に乗ると,すぐに渋滞が始まったのですり抜けをしていく。東名の用賀までほとんどが渋滞していた。用賀でH2さんと隊長の到着を待つが,一向に現れない。環状線で姿を見失ってから,だいぶ離れてしまったようだ。この先,厚木まで25kmの渋滞なので,仕方なく先を急ぐ。それでも,集合時間に数分遅れてやっと海老名サービスエリアに到着した。
 パーキングで最初に声をかけてきたのはZONNさんだった。今回は,私のホームページで知り合った3人のゲストが参加することになっているのだ。ZONNさんはホンダCL400に乗る絵描きさんで,私のR6のイラストも描いてくれた。今日はわざわざ原画まで持ってきてくれたのだ。とてもうれしかったが,絵が大きくてバッグに入らず持ち帰りを断念。うむむ,悔しいぞ。残念ながらZONNさんは午後から用事があるとのことで,今日はお見送りのみ。
 ほどなく,ルイさんも声をかけてきた。彼は数カ月前からSRXに乗り始め,あれよあれよと言う間に大型二輪免許を取り,SRXも400から600へ乗り換えた。まだSRXで本格的なツーリングに行ったことはほとんどないそうだ。さらに,とらさんが登場。とらと言ってもフーテンのではない。美人の,である。
 NBPRCからの参加メンバーは6人。隊長,藪さん,fukusan,H2さん,Nさんと私。さらに,おなじみのT君と,H2さんのバンド仲間のOさんが加わる。常連のNOZZYさんとmasudaさんはお休みだが,それでも10人の大所帯となった。
 隊長以外の参加者は揃ったが,待てど暮らせど隊長は現れない。PHSに電話をしてもつながらない。「まさか今ごろ中央道を走っていたりしないよなあ」なんて言いながら待つこと30分あまり。やっと電話がつながった。

今回は久しぶりにSRXで出撃




後ろ姿がZONNさん。左がルイさん
「たいちょ〜,どこにいるんですか?」
「いやあ,オレも分からん」
「はあ? どこかのサービスエリアですか」
「いや,渋滞でイヤになって,途中で高速を降りちゃった」
「何ですか,それ?」
「ま,オレは適当に走って帰るから,みんな楽しんできてね」
プツッ…。とまあ,こんな具合で,隊長は集合する前から疾走ならぬ,失踪してしまった。早くも一人脱落。

油温が200℃なんて
 気を取り直して,海老名サービスエリアを出発。ところが,トラブルはすぐにやって来た。降りる予定の御殿場ICの近くから渋滞していたので,後続のメンバーを先に行かせて,とらさんを待つ。とらさんは,今日が高速道路を走るのが初めてだという。免許を取ってから数カ月しか経っていないので不慣れなのだ。これで急にすり抜けはできないだろうから,渋滞の末尾で待とうと思ったのだ。
 しかし,なかなか姿が見えない。ICの分岐でバイクを降りて(よい子は真似をしないように)H2さんのPHSに電話をかけると,とらさんのSRが油温200℃に達したため,途中のSAで休んでいるという。200℃というのは異常だ。本当ならエンジンはとっくに焼きついているはず。油温計の故障の可能性が高いと伝えて,取りあえずこちらまで来てもらうことにする。
 御殿場ICの出口で,とらさんとH2さんを待つ。だいぶ待ってからようやく到着。確かに油温計は200℃を超えているが,エンジンに異状はない。どう考えてもメーターの故障だという結論に達し,このままツーリングを続けることにした。200℃でも動くなんて,F-1のエンジンだってあり得ない。
 しかし,ここでまた一人はぐれてしまった。先行したT君が,2つある出口のうち違う方から出てしまい,そのまま富士山方面へ行ってしまった。仕方ないので,彼とは富士スカイラインの入り口あたりで落ち合うことにした。集合場所から50kmも走っていないのに,この有り様。今日はどうも調子が狂う。

いつものツーリングとはマシンの顔ぶれが違う
今回の参加車両は,SRX×2,CB400×2,
CRM250,FZ400,SR400,TW200,ZRX1100,
M900(リタイア)
この先は雨?
 御殿場市内を抜けて,一路富士山を目指す。北側の富士スカイラインから新五合目まで登るプランだ。ところがである(今回はこれが多い)。富士演習場のあたりで,先行していたT君が戻ってきて,この先では雨が降っているという。そんな話をしている最中,稲妻が光り,雷鳴が轟く。なんてこったい,また雨か。
 今回は雨男のN君が来ているとはいえ,降水確率は10%だから安心していたのに…。そういえば,さっきから霊峰の雄大な姿は一度も見えていない。雨の中を富士山に登っても仕方ない。諦めて引き返すことにした。
 道端に停車していたみんながUターンし,最後にとらさんかUターン…,と思ったらガシャンと転倒。あらら,やってしまった。とたんに,飴に群がるアリのようにみんながいっせいに駆け寄り,足がはさまったとらさんを引きずり出して,バイクを引き起こす。あ〜あ,私が転んでもきっと誰も来ないだろうに…。
 幸い,とらさんにケガはなかったが,転倒したSRはなかなかエンジンがかからない。何人かで交代でキックしたりしながら,ようやく始動。バイクにもダメージはなかったので,そのまま御殿場方面へ引き返した。この時点で既に1時を過ぎている。本当なら,もう富士山で涼んで,白糸の滝に向かっている予定の時間だ。嘆いてばかりでも仕方ないので,腹ごしらえをしつつ,次の作戦を練ることにする。
風穴でしばし涼をとる
 焼き肉でお腹が一杯になったところで,行き先を考える。せっかくここまで来たのだから,せめて一つぐらいは名所に行きたいということで,駒門の風穴へ行ってみることにした。御殿場から数kmほど南へ下るだけなので,ちょっと走るとすぐに見つかった。
 風穴とは,富士山から流れ出した溶岩が冷える時に,内部のガスや冷えきっていない溶岩が流出して出来た空洞だ。入場料200円也を払って風穴に向かう。穴の入り口に近付いただけで,ひんやりとした冷気が肌に当たって寒いと感じるくらい。思わず手に持っていたジャケットを着込む。風穴の内部は,一言で言えば鍾乳洞のようなもの。溶岩なので,普通の鍾乳洞よりはゴツゴツしている。中は1年を通して温度が13℃くらいなのだそうだ。「納涼ツーリング」と銘打ちながら,ここまではちっとも涼しくなかったが,これでなんとか目的を果たしたことにしておこう。

御殿場から西の富士山を目指すが,途中で引き返し
南下して風穴,再び御殿場へ戻ってから今度は箱根へ
 風穴を出ると,とたんに汗が吹き出てくる。みんな,涼しい風穴の入り口付近から動こうとしない。さて,これからどうしたものか。相談した結果,ちょっと時間は遅いが箱根を抜けて小田原へ出るルートを選択した。
 ここで,とらさんはリタイア。初めての本格ツーリングで,少々疲れたようだ。そんな時には無理は禁物。箱根を越えるのは難しそうだったので,ちょっと心配ではあるが,ここでお別れすることにした。

スカイラインから芦ノ湖を臨む


さわやかな風と美しい眺めを楽しみつつ休息
芦ノ湖の眺望を楽しむ
 箱根では渋滞を恐れていたが,意外なことに道はすいていた。待望のワインディングで,みんな気合いが入る。今回,私は久しぶりにSRXで参加した。登りでのパワー不足は明白だが,中低速コーナーはひらりひらりとバンクできて面白い。そうそう,シングルはこれが楽しいのだった。ただ,ニュータイヤのMACADAM 100Xは,リーン速度が速いのは美点だが,絶対的なグリップが不足していて,コーナー出口でスライドするのが惜しかった。まあ,ツーリング用タイヤだから仕方ないかな。
 快調に飛ばして芦ノ湖スカイラインに入る。路面が良いので安心して走れる。途中の展望台でしばし眺望を楽しむ。富士山方面はあんなに雲が多かったのに,芦ノ湖の上はきれいに晴れ渡っていて,湖の青と山の緑が鮮やかに映えていた。
 その後も,快調に箱根新道,小田原厚木道路,東名高速を走り,たいした渋滞もなく都内に帰還した。前半はアクシデントが多くてどうなることかと思ったが,昼食以降は名所もワインディングも楽しめたので,結果オーライということにしましょう。皆さん,お疲れさまでした。
(2000年7月 Etsuhiro@幹事)

後日談
途中で忘れられてしまった隊長はどうしたかというと,まさかの中央道を走っていたらしい。まあ,無事で何より…。

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