Maintenance Note No.2
99年4月10日 レバーやペダルの調整が第一歩
新車が来たら一番最初にやるべきことは,レバーやペダルを
自分に合わせて調整すること。これをやらなきゃ何も始まらない

 納車から1週間走り回った印象は,ズバリ“乗りにくい”。第一に,きつい前傾姿勢が街中では辛い。でも,これはいずれ慣れるだろう。
 次いで,ハンドルの切れ角が極端に小さいのには泣いた。スペック表に載っていないので,正確に何度なのかは不明だが,恐らく25度くらい(YZF-R1と同程度)ではないだろうか。普通のバイクは30〜35度だから,レーサー並みに切れ角が小さい。だから,最小回転半径は,なんと3.4m。おいおい,それじゃほとんど軽自動車並みだよ。回転半径が2.7mのSRXは,4m幅の道路なら一発でUターンできるが,R6は切り返さないとダメ。
 Uターンだけならまだしも,右左折ですら困る。ハンドルがフルに切れると,手首がタンク当たってしまい,車体が不安定になるのだ。左折時は左手を放してしまえばよいが,右折ではそうもいかない。ヨロヨロと何度も転びそうになって,足を着いてしまった。バイクはカッコイイのに乗り手はカッコワルイぞ。
 低速トルクがないのも,街中では走りにくさにつながる。ちゃんとトルクが出始めるのは3000rpmからで,2000rmp以下では極端にレスポンスが悪くなる。そうはいっても,4気筒らしく粘りはあるから,エンストするような心配はほとんどない。いずれにせよ,慣らし中はレブリミットを6000rpmにしているので,エンジンの実力はまだ分からない。
ハンドルは全然切れない


低く構えたサイドビュー
ブレーキレバーはダイヤル式








ストッパーを引いて調整ネジを回す







シフトロッドがフレームを貫通する



クラッチの遊び調整は意外と重要
 新しいバイクが来たら,真っ先にやることは操作系の調整だ。ブレーキ/クラッチレバー,シフト/ブレーキペダルの位置や遊びを体格に合わせる。これをやらなければ,ライディング云々を言っても始まらない。
 一番簡単なのはブレーキレバー。これは,調整用のダイヤルが付いていて,レバーの位置を4段階に変えられるから,ダイヤルを回して好みの位置にセットすればOKだ。ボクは遠めの位置が好きなので,遠くから2番目にセットした。
 クラッチはワイヤー式なので,アジャスト用のネジを回して遊びの量を調整する。R6の機構はちょっと変わっていて,普通なら固定用ネジと調整用ネジがあるが,R6は調整用のネジがストッパー(金具)で固定されている。ストッパーを手前に引くとネジを回せるようになるので,適切な遊びの量を設定するわけだ。ネジで固定する方式に比べると,ずっと素早く調整できるのでグッド。やろうと思えば,走行中でもできるかもしれない(やらないけど)。
 クラッチレバーの遊びは,必要以上に大きくても小さくてもいけない。それぞれ好みがあるだろうが,適切な範囲を超えるとロクなことはない。
 もし遊びが大きすぎると,レバーを引いてもクラッチが完全には切れなくなり(半クラッチ状態),ニュートラルが出にくくなったり,クラッチ板が過熱したりする。反対に遊びを極端に小さくすると,常にワイヤーが引かれた状態になってクラッチ板の圧着力が減り,高回転時にクラッチが滑ってしまう。ボクは遊びが小さいのが好みだけど,SRXでそれをやったらクラッチが滑りまくって,しぶしぶ遊びを大きくした(それでも滑る)。
 遊びの量は,レバーの先端で15〜25mm程度だが,適正範囲は各バイクのマニュアルに載っているはずなので,一度確認しておいた方がよい。
 次にシフトペダルの位置を合わせる。4年半に渡って履いたブーツに穴が開いたので,少し前に新調しておいた。ところが,このブーツは足の甲の部分がかなり高くなっている(おかげで履きやすい)ため,シフトペダルの下に足を入れようとすると,ペダルに引っ掛かってしまうのだ。
 仕方ないので,ペダルの位置を少し上げることにした。R6のシフトペダルは同軸ではないリンク式。長いロッドがアルミフレームを貫通しているのが特徴だ。なんでこうなったかというと,Rシリーズ独特の3軸配置エンジンはクラッチが高い位置にあるからだ。通常ならドライブスプロケットの前にあるのが,R6では(R1でも)スプロケットの斜め上にあるのだ。
 リンケージはちょっと変わっているが,調整方法は一般的だ。2つのナットを緩めて,リンクシャフトを回せばよい。念入りに位置を決めて,ナットで固定したらおしまい。
 最後はブレーキペダルだが,これは特に調整の必要はなかった。調整する場合は,ストップランプの調整にも注意。ペダル位置を大きく変更すると,ランプが点灯しっぱなしになったり,逆に点灯しなくなる。たいていはアジャストナットを回せば調節できる。ペダル位置を変えたときは,ストップランプの点き方を確認しておこう。
 これで気持ちよく走れるように調整できた。もし今まで一度も調整したことがない人がいたら,ぜひ自分に合わせることお薦めする。まず,これが決まらないと,気持ちよく走れないからね。