Maintenance Note No.17
99年12月26日 バッテリーがそろそろヤバいのだ
セルの回りが悪くなった。バッテリーが死んでしまう前兆かもしれない
交換時の注意点は,古いバッテリーの廃棄,新品の充電,短絡防止だ

 今年は暖冬だと思っていたら,12月も中旬を過ぎるとだいぶ冷え込むようになってきた。SRXは空冷のビッグシングルでもともと始動性がよい方ではないのに加えて,キャブレターをチョーク機構のないFCRに交換しているため真冬はエンジンがかかりにくい。完全に冷えて切った状態からでは,5〜6回はセルを回さないとちゃんとかからないのだ。
 それだけに冬場はバッテリーへの負担が大きい。12月半ば過ぎのある朝,スターターボタンを押すと,モーターが「キュ……,キュル,キュル」と,息つきするように回った。モーターのトルクが小さい感じだ。その後も2回ほど同じような症状が出た。良くない兆候だ。
 バッテリーは突然死することが少なくない。ある日ある時,ぱったりと動かなくなる。多くの場合,その少し前にちょっとしたシグナルがあるものだが,症状がすぐに消えたりするので,「まあ,大丈夫かな」と思って放っておき,後から道端で往生することになる。今回もセルの回りが少し悪いこと以外には,特に変わったところはないものの,今のバッテリーは既に3年9カ月も使用していることを考えると,出先でぽっくり逝ってしまう前に替えてしまった方がよいだろう。
 MF(メンテナンスフリー)バッテリーの寿命は,一般に3〜4年のようだ。以前のバッテリーは2年4カ月で死んでしまったが,それはスタータースイッチの故障でセルモーターが止まらなくなるという奇妙なトラブルによって過放電したから。今の国産バッテリーなら,少なくとも3年は大丈夫だろう。ただ,海外の製品は(4輪の話だが),2年足らずでダメになることも珍しくないというので,輸入車のオーナーは確認したうえで,早めに国産品に替えてしまった方がいいかもしれない。
バッテリーのターミナルは緩むと困るが,ネジをなめやすいの注意
指定された型番のバッテリーがないぞ
 そんなわけで,またまたNAP'S練馬店にMFバッテリーを買いに走った。この店は本当に品揃えが豊富でありがたい。ドレーンワッシャーからマグホイールまで,たいていのものは揃う。バッテリーのコーナーへ行くと,なぜかメジャーなユアサバッテリーの製品はほとんどなく,代わりに古河電池のラインナップが並ぶ。SRXはユアサの「YTX9-BS」なのだが,古河電池は型番が違うようだ。機種対応表を見てみると,「FTX9-BS」というよく似た型番の製品がYTX9-BS互換と分かった。
 ちなみに,価格は1万2800円の3割引+年末セールの5%オフで8320円。バイクショップで普通に交換すると1万円は取られるから結構お買い得ではあるが,それにしてもバイクのバッテリーは高い。自動車に比べて種類が多すぎるのが理由だというが,車の大きなバッテリーが4000〜5000円で,半分以下の容量しかないバイク用が2倍以上するというのはどうも解せない。
交換時にはショートに注意
 さて,バッテリーを自分で替える際の問題が2つある。1つは,古いバッテリーをどうやって処分するか。使用済みバッテリーは産業廃棄物扱いになるので,普通ゴミとして捨てても引き取ってもらえない(少なくとも東京都では)。一般的にはバッテリー購入した店で処分してもらう。店員に聞いてみると,購入時に券を渡すので,それと古いバッテリーを持ってきてくれれば店で処分してくれるという。これならOKだ。
 もう1つは,購入した新品バッテリーの充電だ。バッテリーは開放式でもシール型MFバッテリーでも,使用前に電解液を入れて使い始める。だから,充電済みのバッテリーでないと,すぐに交換して走るというわけにはいかない。幸いなことに,NAP'S練馬店ではFTX9-BSを充電済みで売っていた。これなら,その場で交換して帰れる。
 ここで,購入したバッテリーの説明書に書いてある電解液の入れ方を紹介しておこう。
1.バッテリーの上部にある「封口シール」を取り除く
2.連なったアンプルのような形の電解液容器のふたを取って,バッテリーに差し込む
3.電解液が20分くらいかけて注入される
4.電解液容器を外してバッテリーに密封栓をはめ込む
 以降は,名前の通りメンテナンスフリーで,電解液の補充などは一切必要ない。というより,やってはいけない。
 購入したバッテリーは,店の駐車場で即座に交換してしまった。SRXはシート下にバッテリーがあるので,+と−のターミナルを外して固定バンドを取るだけで引き抜ける。最初からその場で交換するつもりだったので,ドライバー持参で行ったのだ。作業は3分で済むが,注意するとすれば,ターミナルを外す場合に−(マイナス)から外すこと。先に+を外すと,外した端子が何かの拍子にフレームなどに触れてショートしてしまう可能性があるからだ。+の端子にだけゴムのカバーが付いているのは,そうした事故を防ぐためなのだ。新品バッテリーを取り付ける時は当然逆の手順になる。
 こうしてバッテリーは新品になり,道端で止まる心配はなくなった。あなたのバイクも,バッテリーを替えてから4年以上経っていたら要注意ですぞ。