Maintenance Note No.18
2000年1月10日 エンジンが動かず路上で修理
新年早々調子に乗ってSRXをシャシーダイナモに載せてみた
結果は上々だったが,その後に予想もしないトラブルが待ち受けていた

 いやな予感は1カ月前からしていた。しかし,それが走行不能という重大なトラブルにまで発展するとは思っていなかった。99年の12月12日,SRXのプラグを交換したこの時,プラグ交換してからキャップを取りつけようとすると,押し込んだキャップが少し戻ってくるような手ごたえがあった。普通なら,グッと差し込まれておしまいなのだが,バネで反発するように戻ってくるのだ。妙だなとは思ったが,キャップは取り付けられたので,そのことはすぐに忘れてしまった。

プラグキャップがはじけた?
 年が明けてミレニアム。正月も早々から大田区のブルーライトニングにてパワーチェックなんてことをしてみた(詳細なグラフ)。仲間と一緒に“最高出力予想”なんてゲームをしてみたり,大いに盛り上がった。と,そこまでは良かったが,パワーチェックが済んでシャシーダイナモから下ろすと,ショップのオーナーから「プラグキャップが緩んでいるよ」との指摘を受けた。慌ててプラグキャップを押し込んでみると,確かに浮いているようで押し込める。ところが,それだけでなく,押し込んだ後に跳ね返るように戻ってくるではないか。
 おかしいなあ,と思いながら何度か押し込んでいるうちに,突然プラグキャップが飛び出してきて外れると同時に,スプリングとヒューズのような形をした小さなパーツが転がり出てきた。なんじゃこりゃ?
ダイノマシンでパワーをチェック




ショップの前で修理にいそしむ
 オーナーに見てもらうと,出てきたパーツはキャップ内に入っていたもので,このほかにプラグの頭に被さるネジ状の接点があるはずだという。そしてそれはプラグの頭にくっついたままだ…。さあ,これは困った。まずその接点を取り外さないといけない。ヘッドに手を突っ込んでみると,あるある。プラグの頭に何かが被さったまま残っている。こいつを回して外そうとしたのだが,手が入りにくいためになかなかうまくいかない。手首をフレームとエンジンに挟まれながら,20分くらいかかってようやく接点部分とプラグを外すことに成功した。
左が壊れたプラグキャップ。右は交換したNGKのもの
ガサ入れで代わりの部品をゲット
 これでパーツは揃ったので,元どおりプラグキャップに収めれば直るはず。ほっと一息…のはずが,そう簡単ではなかった。取れた接点パーツを見ると,外側に切ってあるねじ山がどす黒い堆積物で完全に埋まった状態だ。つまり,ネジがネジとして機能していなかった証拠だ。実際,パーツをプラグキャップに入れてドライバーを回してもほとんど手ごたえがない。ねじ山がかみ合っていないのだ。
 さあ,こうなるともうお手上げ。仕方ないので,オーナーに「プラグキャップは置いてませんか」と聞く。店中を探してもらって,ほこりにまみれたNGKのプラグキャップ4本セットが出てきた。これなら,大きさもぴったりだし,うまくいきそうだ。ノーマルのプラグキャップを外して,NGKの新品を取り付ける。親切にもやり方は教えてもらった。おまけに,車載工具ではプラグレンチを回しにくかったので,厚かましくもソケットとラチェットまで拝借した。プラグを元に戻して,プラグキャップをはめる。緊張しながらスターターボタンを押すと,キュルル,ボウ〜ンとエンジンは息を吹き返した。やれやれ,これで帰れる。
 ようやく自宅に帰って,壊れたプラグキャップを見てみると,破損したのはだいぶ前のようだ。恐らく,振動で接点のネジとキャップ側のネジが緩むなどして摩耗していき,ネジ山にゴミがたまり,やがて2つのパーツはきちんと接合できなくなる。たまたまプラグ交換という作業で完全に破損してしまい,パワーチェックでエンジンを全開にした振動でスプリングがはじけた…。こんな感じだろう。プラグキャップが壊れたという話は聞いたことがないので珍しいトラブルだとは思うが,もう少し早く気が付くべきだった。でも,壊れたのがバイクショップの前で助かった。