2000年2月13日 パッドとローターの不思議な関係
新調してご機嫌だったブレーキング社のローターだが
不思議なことにパッドとローターの当たり面がずれるという現象に悩まされた
今回は，新調したブレーキローターのインプレッションと，パッドにまつわる不可思議なお話。まずは，簡単におさらいを。昨年11月にSRXのフロントローターを「SK5 レーザー」から伊ブレーキング社の「STREMX01」に交換した。ルックスが気に入ったのが一番だが，リーズナブルな価格で質感もまずまず。満足感は高かった（メンテナンスノートNo.15参照）。 |
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初期から強烈にキクのだ その後，ローターとパッドの当たりがつくと，STREMX01は素晴らしい効きを示した。以前ならレバーの引き始めで効きがやや甘く，わずかながら空走感があったのだが，STREMX01では最初からクッという感じで減速する。パッドの食いつきが非常によいのだ。あまりにもよく効くので，今までの感覚でブレーキをかけると，必ず思ったより手前で停止してしまうほど。 装着パッドは英フェロード社のブレンボ4ポッド用で，これまでは「温まらないと効かないパッド」という印象を持っていたのだが，STREMX01にしてからはそれがウソのようによく効く。ちょうどそのころ，おかちんが私のSRXに乗る機会があって，「このブレーキ，すんごい効きますね〜」と感想を漏らしていたが，本当に最新の300mmダブルディスク並みに感じるのだ。 ただ，かけ始めから急激に効力が立ち上がるので，パニックブレーキでの握りゴケがちょっと怖い。最近の市販車はわざと初期の効きを甘くしているモデルもあるくらいだから，のべつ効きが良ければいいとも言えない。 |
 STREMX＋ブレンボ鋳造の組み合わせ |
 パッドの当たっている部分が内周側に
ずれているのが分かる |
パッドとローターが正しく当たってない STREMX01の感覚に慣れてきたころ，ローターをチェックして，あることに気が付いた。パッドとローターの当たり面が，内側（車軸側）にずれているのだ。写真を見てもらえば分かるように，ローターの最外周部分にはパッドが当たっていない面が残り，反対に内周側はローターとフローティングピンをつなぐ部分まで当たった跡がある。 外周に残った部分は幅が約2mm，内周側も2mm近く食い込んでいる。ピンに当たるようなことはないので支障はないのだが，本来パッドとローターが当たるべき部分がずれているのは気になる。当たり面が内周側へずれるということは，ローターの有効径を生かしていないことであり，それだけ効きが悪くなるはずだ（実際はそう感じないのだが）。 |
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なにより，ローターがずれた位置で削れていくと，パッドを取り替えた際にきちんと当たらなくなり，パッドと一緒にローター交換（または面研）という憂き目にあう。それは困る。そこで，輸入元のBJD（tel:03-3851-8785）に電話して聞いてみた。いろいろ話した結果，考えられる可能性としては， 1.ブレンボ用に制作したキャリパーサポートが本来の位置よりも若干内周側に寄っている 2.パッドによって実際の当たり面が少しずつ違うので，今のパッドがたまたま内周側に寄っている の2つに絞られた。 パッドによって形はバラバラ 今のフェロードのパッドを外して，手元にあったブレンボ用のほかのパッドと並べてみると，なんと当たり面の位置が微妙に違うではないか！ 確かにフェロードの方が下に（つまり内周側）にずれている。これなら，実際に装着した状態で，ローターとの位置がずれても不思議はない。いや，不思議なのは，同じキャリパー用のパッドなのに，どうしてこうした違いあるのかだ。 |
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どうも納得できないので，パーツショップへ行って各社のパッドを見比べてみた。すると，やはり当たり面の形も位置も少しずつ異なる。私が見たところでは，米APレーシングの「166R」が最も外周寄りに当たり面がセットされているので，STREMX01とのマッチングがよさそうだ。本来ならブレーキング社が出しているパッドが一番よいのだろうが，在庫している店がほとんどないので，実物を確認できないのが難点だ。 というわけで，APのパッドを買ったのかというと，さにあらず。手持ちの米PREMIER製ブレンボ用パッドはまだ6割ほどの厚みが残っている状態なので，もったいないから再びこれを使うことにした。だってAPのパッドは高いんだもん…。 面白いことに，こちらのパッドとSTREMX01との組み合わせでは，あの強烈な食いつきは影を潜め，ごく普通の効き具合になった。それでも，SK5 レーザーに比べれば初期からリニアに効いてくれるし，しっかりした感触の中にもソフトな握り心地があって，悪くはない。パッドとローターには相性があると言われるが，今回はそれを実感した。ブレーキシステムって奥が深いね。  |
 並べて見比べると数mmではあるが パッドピンとパッドの位置関係が 異なっていることに気付く |