Maintenance Note No.32
2000年12月17日 ブレーキリフレッシュ作戦 エア抜き苦闘編
気軽に始めたエア抜き作業に悪戦苦闘した
青ブレンボは想像以上にきれいで車体色にもマッチして満足

 ブルーアルマイトのブレンボキャリパーが入荷待ちになって少々落胆したが,その間にマスターとホースだけを替えてしまおうと思い立った。そうすれば,ブレーキフィールが悪い原因がマスターかキャリパーなのか,はっきりすると思ったからだ。
電工ペンチがなくてもラジオペンチがあればOK
電工ペンチがなくてもラジオペンチでOK
配線の加工は必要
 装着の前には少しだけ準備必要だ。まず,マスターシリンダーにリザーブタンクとステーを取り付け,ゴムホースでつなぐ。一緒に買った10cmのゴムホースは長すぎてホースが急な角度で折れ曲がってしまったため,1cmほどカットして無理なく付けられるようにした。
 ブレーキランプスイッチの配線加工も必要。といっても簡単で,元の配線をちょん切って,その先に平型端子をかしめればよい。5年くらい前に配線をいじった時にさんざんやったので結構うまくなってしまった。
 マスターとホースの取り付けは,ここに書くまでもなく簡単だ。パーツを交換してみると,バイクのブレーキは実に単純な構造であることに改めて驚く。これだけシンプルなシステムでも,指一本でバイクを止められるのだからたいしたものだ。とまあ,ここまでは鼻唄交じりで作業して,いよいよブレーキフルードを入れる。しかし,ここからが地獄だった。
エア抜きに悪戦苦闘
 これまで継ぎ足し方式でのフルード交換はしたが,パーツを一新して空の状態からフルードを入れるのは初めて。だから本格的にエア抜きをしたことがなかった。それは不安材料ではあったものの,なんとかなるだろうと思っていた。が,甘い考えだった。
 セオリー通り(のつもり)エア抜き作業をするが,ある程度レバーが固くなったところからちっとも進まない。キャリパーから出てくるフルードには,既に気泡は見えないが,いつまでたってもレバーはスポンジーなまま。延々と作業を続けるが改善せず,最後はレバーを押し続けた左腕が疲れて諦めた。
 翌日,左肩が筋肉痛で痛い。このままでは自走できないので,メールを出したり,掲示板に書き込んだりしてアドバイスを求める。そこでいただいた貴重な情報が役に立った。
 まず,劇的な効果があったのが,キャリパーのピストンを押し戻す方法。キャリパーを外し,ある程度ピストンを出した状態にしてから,ぐっと押し込んでやる。
すると,リザーブタンクにプクプクと気泡が出てくるではないか。これを10回程度繰り返すことで,気泡はほぼ見えなくなった。さらに,マスター側のバンジョーボルトが下になるようにハンドルを切って,まる1日放置する。これで,レバーにはまともなタッチが戻ってきた。どうやら,マスターのバンジョー付近にエアがたまっていたようだ。
 試走してみると,最初は頼りなかったタッチが,ブレーキングを繰り返しているうちにだいぶしっかりしてきた。気をよくしてフルブレーキング。レバーの引き始めは甘い感じだが,握り込んでいくとググーッと効力が増していく。まるで,セルフサーボ効果で制動力が増幅されていくようだ。フィーリングも悪くない。ん? となると,悪かったのはやはりマスターシリンダーで,キャリパーは交換する必要なかったかなあ。

ステンのテーパーキャップボルトに交換済み
ステンのテーパーキャップボルトに交換済み
よやく青ブレンボ登場
 こうしてSRXは取りあえず走れるようになったが,青ブレンボはまだ届かない。この間に,やはりアドバイスをいただいた「シャンプーポンプ流用ワンマンブリーダー」を自作した。要するに,シャンプーのポンプに透明ホースを取り付け,キャリパーのエアブリーダーから一気にエアとフルードを引き抜こうという装置だ。
 ホースは東急ハンズで購入。風呂場からシャンプーのボトルをゲットしてさっそく改造。10分で完成。材料費は,ホースクランプを入れても400円以下。これはお得と言うほかあるまい。
 そうこうしていると,ショップからキャリパー入荷の知らせがあったので,矢も盾もたまらず取りに行く。自宅のガレージでさっそく取り付け作業だ。今度はシャンプーポンプ流用ワンマンブリーダー(長い名前だ)という秘密兵器もある。自作ブリーダーの効果は上々だった。負圧で吸い出すから,ポンピングして放っておけば勝手にエアとフルードが抜けていく。ただ,あまりにも早く抜けていくため,フルードの継ぎ足しが追いつかずに,またエアを吸い込ませてしまった。はぁ,最初からやり直しだよお。スマートだが容量が小さいリザーブタンクは,こういう時には少々厄介だ。
 間抜けなミスをしながらも,なんとかエア抜き作業は終了。ちなみに,青ブレンボはエアブリーダーボルトを標準品からアルミに取り替え,パッドピンもステンレスに交換した。さらに,購入しておいたマスター側のバンジョーボルトは,渋いと思ったガンメタが意外にマッチしなかったので,改めてシルバーの,しかもエアブリード機構付きのボルトに替えた。今回はこの機能を試さなかったが,マスター側のエア抜きには便利らしい。
ポンプは「シーブリーズ」用がよいとの情報も
ポンプはシーブリーズ用がよいとの情報も

純正ライクで目立たないマスター周り
意外に純正ライクで目立たないマスター周り
バンジョーボルトの色はブルーで合わせた
こちらのバンジョーボルトはブルーで揃えた

想像していた以上にマッチしたのはうれしい
想像していた以上にマッチしたのはうれしい
2次曲線的に立ち上がる
 すぐにでも走ってみようとガレージのシャッターを開けると…,ありゃ,雨が降っている。というわけで,テスト走行は翌日に延期となった。
 試運転の結果はなかなかグッド。前回と同じように,握り込んでいくと2次曲線的に効力が立ち上がり,思ったよりも手前で停止することもしばしば。タッチは柔らかめで,もしかしたらエア抜きが完全ではないのかもと思ったが,それでもフロントがロック寸前までいくのでたぶん大丈夫だろう。
 カチッとしたタッチにリニアな効き方が好みのボクにとっては,正直に言ってこのタッチは市販車に近い感じで好きな方ではない。また,レバーを引き始めてから実際に制動が始まるまでの無効なストロークが多いので,レバー調整用のスクリューをかなり締め込んだ。う〜ん,こんなにマスターシリンダーを押し込んだ状態で,ブレーキの引きずりは起きないのだろうか。ちょっと心配。
 なんだかんだ言っても,以前のマスターに比べれば,フィーリングは劇的に改善したので,まずは成功と言っておこう。なにより,ブルーアルマイトのキャリパーは青いSRXにマッチしている。手前味噌だけど,左の写真は結構カッコイイでしょ。これだけでも幸せな気分。さて,次はどこを替えようかな(ああ,ビョーキ再発か)。
 今回はネットでたくさんの方にアドバイスをいただき,おおいに助かった。みなさん,ありがとうございました。