Maintenance Note No.33
2000年12月27日 ブレーキリフレッシュ作戦 フルード漏れ?で一悶着編
新しいブレーキにごきげんだったのも束の間,フルード漏れと思われる現象を発見
ブレーキホースの不良か,取り付けミスか,はたまた見間違いか。その真相は?

長さ2cm近く黄色くなっている
フラッシュのため色が分かりにくいが
肉眼ではもっと広く濃い色に変色している
 ブレーキを一新してから一週間。クリーンにしてソフトなブレンボマスターのレバータッチを楽しみながらSRXを走らせる。今日も寒空の下,会社へと向かう。到着して,ふとブレーキホースを触ってみる。ん? キャリパー側のホースの根元が妙にぐらぐらすると思ってよく見ると,黄色く変色している部分がある。なんだこれ?
 マスター側も見てみると,やはりフィッティングとホースがつながる部分が2cmほど黄色くなっている。この色はフルードそっくり! 驚いて触ると,オイルにゴミが付着したような感じで表面が汚れていて,ごくわずかだが液体が指に付くではないか。フルード漏れか? メッシュとビニールコーティングの隙間に,“何か黄色いもの”が染み出している。
グリスか,取り付けミスか,不良品か
 GOODRIDGEホースの販売元であるアクティブに問い合わせ,状況を説明する。担当者はよく話を聞いてくれたし,説明もしてくれた。かいつまんで言うとこういうことだ。
・染み出しているのは,ホース組み立て時に使われるグリスではないか
・自分で装着したのなら,その際にフィッティングを緩めたため,フルードが漏れ出したのではないか
・製品は耐圧試験をしているが,全く不良品がないとは言えない
・代替品を販売店に送るので,元のホースは返送してほしい。もしお客さん(ボクのこと)のミスでフルード漏れを起こしたことが分かれば,ホースの代金を請求する
 これに対して,ボクの主張はこうだ。
・グリスかどうか判断できない(今まで見たことがないし,R6に付けたEARL'Sのホースでもそんな現象はなかったから)。ただ,色はフルードとそっくりだ。
・フィッティングを緩めた結果がどうなるのかは分かっているので,そんなことはしていない
・とはいえ,素人なので絶対にミスがないとは言えないが,後から「あなたが悪い」と代金を請求されても,ハイそうですかとは言えない。2本の正常な(とされる)ホースを買うことになるのはバカバカしいからだ。不良か否かの判断は販売店の店頭でしてほしい。
 こうしたやり取りののち,アクティブが取りあえず購入店であるNAP'S足立店に代替品を送るので,店の方と相談するということになった。
NAP'S足立店の対応に満足
 NAP'S足立店に電話すると,担当者は今夜取り替えるのもOKだという。しかも,アクティブにはNAP'Sの側から話をつけるので,ホースは交換するという。さらに,「ユーザーによる作業がうんぬん」という話をすると,取り付け作業もやりましょうということになった。なにやら,えらく親切な対応だ。
 仕事を途中で放り出して,閉店時間に間に合うよう足立店へ向かう。ボクは本当にフルード漏れで,それが装着時のミスによるものなのか,店の人が調べると思っていたのだが,「あの〜,見なくてもいいんですか?」という言葉も終わらぬうちに作業に入ってしまった。
 作業はすぐに終わるかと思いきや,まず同じ長さのホースの在庫がないという(先に調べてほしかったな)。アルミフィッティングではどうですかと聞かれたが,嫌だったので,GOODRIDGEではなくEARL'Sのステンフィッティングホースに変更した。なぜかバンジョーボルトは替えずに済んだ。ただし,ステンレスのバンジョーが無かったため,アルミにメッキしたものになってしまった。バンジョーボルトもアルミなんだし,まあいいか。

キャリパー側
マスター側ほどではないがキャリパー側も
黄色い。これだけなら融け出したグリスと
思えなくもないが,脱脂したはずのフィッ
ティング周りにはべっとりとホコリが付着
して黒ずんでいた。
そんなわけで,ホースはEARL'S製に
そんなわけで,ホースはEARL'S製に
果たして真相は?
 NAP'S足立店のサブチーフメカニックは,とても丁寧に対応してくれた。こちらが,「本当に製品不良かどうか分からないのに,交換してもらっちゃっていいのですか」と聞くと,「過去にもそういう事例はありましたし,命に関わる部品ですから,お客さんが不安に思って乗られるよりは替えていただく方がいいです。もしアクティブの方で不良でないという判断になっても,それはそれで構いません」とまで言う。大型のパーツショップ(2輪4輪を問わず)で,これほどユーザー側に立った対応をしてくれる店は初めてだ。普段からNAP'Sに通う(?)ボクだが,すっかり見直してしまった。
 サブチーフメカニックの話によると,ホースの不良品は確かにあるが(フロア担当者も同じことを言っていた),その一方でユーザーの強引な作業で破損したにもかかわらず,クレームをつける例もあるため,メーカーが警戒するのも無理はないという。また,ホースの変色などの異常は,グリスの流出,製品組み立て時のグリスの付着(最初から変色している),フルード漏れなどがあり,フルード漏れでもほんのわずかに染みている程度では判断が難しいそうだ。
 結局のところ,ホースが不良だったのか,問題なかったのか,あるいは装着作業にミスがあったのか,どれも分からずに終わってしまった。作業したメカニックによると,装着状態では捻じれなどもなく,問題なかったというが…。ユーザーとしては,親切な対応で代替品を付けてもらったので文句はないが,真相を知りたいところではある。