「メンテナンスノート」がついに連載50回を数えるに至った。だからどうだということもないのだが,当初はこれほど回を重ねるとは思わなかった。我ながらよくネタが尽きないものだと感心したりして。 それはともかく,今回はヘッドライトバルブのお話。YZF-R6のバルブが切れて片目になってしまった。使用していたの「VESTEC HID-R」(シビエ)は,素晴らしく白くて明るい光線が気に入っていた(メンテナンスノートNo.38参照)のだが,わずか8カ月,2800kmほどでロービームのフィラメントが切れてしまった。耐久性に問題があるのだろうか? この色は一体なに? 素直にHID-Rを1本買おうかと思ったが,カー用品店の売り場で,ふと目に付いたのがパトスという会社の「レミック スパークビーム」なるバルブだ。聞いたこともない会社なのに興味を持ったのは,その価格のせいだ。なんとH4バルブが2本で1700円! 1本当たり850円という値段は,一般的な高効率バルブの1/3〜1/4でしかない。しかも,色温度が4300Kの高効率バルブだというのだから驚きだ。額面どおりなら,HID-Rの4500Kに迫る白さではないか。 もちろん,かなりアヤシイとは思った。しかし,1本3600円もするHID-Rでも2800kmで切れてしまうのだ。850円がダメだったとしてもあまり悔しくはない。話のタネに買ってみることにした。 さっそく取り付ける。点灯する。どえ〜,変な色だぁ。バルブの色はなぜかオレンジがかった,なんとも表現しようがない奇妙な色。あまりに変なので,笑ってしまったほど。照らした範囲はというと,これまたさまざまな色が混じっていて,何色とは表現しにくい。正面は主に青っぽく,周辺に行くと緑がかってきて,横の方は完全に緑色だ。ヘッドライトなのにミドリとはどういうことか…。 青系のバルブが出始めた頃,コーティングの質が悪いのか,このように波長の変化が激しい製品があったが,このバルブはそれをもっとひどくした感じだ。息子と二人でヘッドライトを見つめながら,「変な色だよなあ」と唸ってしまった。 近所を走ってみる。わざと真っ暗な道を走ると,照射範囲によって色が違うのが気になって見にくい。明るさは十分なので危険ということはないのだが…。4300Kという色温度も,たいへん怪しい。もちろん車検には通りそうもない。 これまでいろいろな消耗品を買ってきたが,これほどハズレだった物は珍しい。1本850円だから期待はしてなかったが,まさに「話のタネだけ」にしかならなかった。もっとも,R6はこれから春までは走行機会がぐっと減る。当座はこの奇妙なライトで我慢するか。 |