Maintenance Note No.61
2002年7月20日 チタンコートフォークで乗り味が激変
傷だらけになったSRXのフロントのインナーチューブをチタンコートに交換した
耐久性が上がるだけでなく、動きが良くなることで乗り味が驚くほど変化した

 金色に輝くフロントフォークに組み替えられたSRXで走り出した途端、ボクは形容し難い違和感に襲われた。まるでフロントタイヤが無くなってしまったように手応えがない。この感覚は一体何なんだ?
 ボクのSRXは走行距離が5万1000kmを超えて、いよいよフォークのインナーチューブが寿命を迎えようとしていた。爪が引っ掛かるような縦傷が無数に入り、オイル滲みも目立つようになってきた。走行に支障があるわけではなく、むしろよく動いて乗り心地も良いのだが、これ以上放っておくとフォークオイルが漏れてきそうだった。
手間がかかる分だけ高価
 インナーチューブ交換に際して、以前から気になっていたチタンコートを試すことにした。文字通りチタンのコーティングを施すことで、傷や錆からインナーチューブを守り、しかもフリクションも低減してくれるという。オーリンズなどのスペシャルフォークで金色に輝いているアレだ。
 新品のインナーチューブにコーティングするのだが、そのままではダメで、いくつかの作業が必要。このあたりはショップのノウハウになるので伏せておく。ともかく、意外に手間がかかるそうなのだ。
 出来上がったチタンコートインナーチューブは、AAA(スリーエー)で組み付けてもらった。正立フォークのインナーチューブは外に出ている部分が長いから、金色が思ったよりも目立つ。それでも、濃い色のタンクとシャンパンゴールドのフレームとのマッチングはなかなかのものだ。何より高級感がある。
 いよいよ試乗だ。正直言って、チタンコートだからといっても走りはそれほど変わらないと思っていた。特にインナーパーツも含めて新品だから、当たりがつくまでは動きは渋いだろうと予想していた。
微小ストロークの動きが良い
 ところが、走り始めてたった10メートルで、冒頭の違和感を覚えたのだ。まるでフロントタイヤが浮いているかのように手応えがない。首をかしげながらしばらく走っていると、徐々にその感覚の正体がつかめてきた。
 これまでハンドルを通して伝わってきたタイヤからの様々な情報から、不要な振動がすっぱりとそぎ落とされている。雑味のないスッキリ感とでも言うのだろうか。フォークの微小なストロークでの動きが格段に良くなっているのだろう。今までハンドルに伝わっていた余計な上下動や振れが無くなったことを、「手応えがない」と感じたに違いない。
 とにかくフォークはスムーズによく動く。乗らずに押し引きしただけでもそれは分かる。インナーパーツやフォークオイルが新しくなったことを勘案しても、チタンコートインナーチューブの効果は大きいと言える。
 パーツ交換でこれほどの違いを感じたのは、FCRを装着したときやリヤサスをWPに換えたとき以来だ。SRXで走るのが楽しい。街中でも首都高でも、SRXは滑るように走っていく。直進安定性は素晴らしい。ブレーキングなどで大きくストロークしたときはノーマルとの違いはほとんど感じないが、コーナーで小さなギャップを乗り越えたときなどは、車体の動きが明確に違う。
 ただ、フォークが沈み込んでから戻るスピードも上がってしまったようで、このあたりはワインディングを走って、ブレーキリリース時の挙動を見極めた上でフォークオイルを調整する必要があるかもしれない。ちなみに、今回はノーマルより油面を10mmほどアップした。いい感じである。
チタンコートされたインナーチューブ
チタンコートされたインナーチューブ

フォークだけで印象が随分と変わる
フォークだけで印象が随分と変わる

乗っているときにも見えているのがイイ!
乗っているときにも見えているのがイイ!


錆の心配が少なく、耐久性が高いという