Maintenance Note No.72
2003年5月5日 R6のオイル交換で大騒ぎ
'03R6は慣らしを終えてオイルとオイルフィルターを交換した
ところが、時間がないときに焦ってした作業が思わぬミスを招いた

 今回はSRXとYZF-R6のオイル交換の話。実は間抜けな失敗をしてしまったので本当は書きたくないのだが、そうもいくまい。
 SRXの方は特筆すべきことは何もない。いつものように走行3000km過ぎでカストロールの「GPS 15W-50」を入れた。これまでも何度か書いているが、このオイルは冬場での始動性が良い一方で、真夏もしっかり働いてくれる。それでいて安いからお気に入りで、今のところ高価なオイルを入れる気になれない(詳細はimpressions参照)。
MOTULのPOWER RACINGをチョイス
 '03YZF-R6は走行距離が1400km余りとなり、慣らしはそろそろ終了。本当は1600kmの慣らし運転が指示されているのだが、待ちきれずに深夜の某高速コースで8000〜1万2000rpmを使って走ってみる。非常にパワフル! エンジンフィーリングの良さと中高回転域でのパワー感は、私が憶えている'99R6を凌駕している。5000rpmあたりまでは極めてスムーズで、まるで高級車に乗っているよう。7000rpm以上では吹け上がりが異様に速く、車速の乗り方も従来モデルを一段上回る。もちろん'99R6も高回転でパワフルではあったが、絶対的なパワーが同程度だとしても、新型はパワーの出方が素早いという感じ。その分、少なくとも体感では加速が良いように思われるのだ。
 さて、慣らしも終えたということで、オイルとオイルフィルターを交換する。今回はYZFオーナーの間で評価の高いMOTULの「300V」をおごることにした。2リッターの店頭価格が6200円もする高級オイルだ。高価なオイルを使うのは趣味ではない。高いオイルを買うお金があるなら、そこそこのオイルでも交換頻度を増やした方がエンジンフィールは良くなるからだ。しかし、「POWER RACING」というグレードの5W−30という極端に低い粘度には強い興味を抱いた。超高回転型エンジンのR6には低粘度の方がマッチするのではないかと思ったからだ。粘度が低いと油膜切れが心配だが、「ベースオイルのエステルが金属表面に電気的に吸着し、強力な油膜を形成し、高温・高負荷の条件下でも安定した対摩耗性能を発揮」(HPより引用)という宣伝文句を信じてみることにした。
入れるそばからオイルが出ていく
 '03YZF-R6はカウルを外さなくてもオイル交換できるように設計されてるが、現実にはレンチをかけにくいし、廃油処理ボックスを置きづらいので(薄いトレイなら問題ない)、カウルを外してしまった方がよさそうだ。それに、オイルフィルターを交換するなら、カウルとリザーバータンクカバーを外さなければならない。
 オイルフィルターは、従来モデルとはパーツ番号が変わっていた。外見は同じに見えるが、ショップの話では水冷オイルクーラー専用フィルターらしい。オイルを抜き、フィルターを交換する。この時点で、ボクはだいぶ焦っていた。その日、出かける用事があったため、時間がなかったのだ。おまけに、子供がガレージに入ってきて邪魔するものだから、ますます慌てて子供を追い出す。
 さあ、オイルを入れようとジョッキから注ぐ。あれ? なんか忘れているような気がする。ふと下を見ると、ドレンボルトが外れたままだ! 入れたそばからオイルが出ていく。大急ぎでドレンボルトを付けたのは、1リッター近いオイルを入れてからだった。ああ、なんと間抜けな…。時間がないときに焦ってメンテするとろくなことがない。
警告灯に惑わされる
 これで、オイルをどれくらい入れたのが、正確な量が分からなくなってしまった。だが、ここまでなら、スティックゲージで確かめつつオイルと継ぎ足していけば済むはずだった。ところが、オイルを入れ終わってエンジンをかけると、オイル警告ランプが赤く点灯するではないか。しばらく暖機してもランプは消えない。これはまずいと思って、オイルを継ぎ足していくが、警告灯は一向に消えてくれない。スティックゲージではもうフルレベルを超えようとしているが、警告灯がつきっぱなしなので、さらにオイルを入れる。さすがにこれ以上入れるのはよくないと思い、再度エンジンをかけて走ってみることにした。
 恐る恐る低速で走ると、500メートルほど行ったところでオイル警告灯はフッと消えた。なぜなんだあ! ガレージに戻り、オイルレベルを測ると上限をはるかに超えてしまっている。明らかに入れすぎ。頭が混乱したまま、今度はオイルを抜くはめに(それでもゲージの上限)。結局、1.2リッターくらいのオイルを無駄にしてしまった。高価なオイルを買った時に限って、こんな失敗をするとは…。
 今回はあまりにも初歩的で間抜けなミスがあったとはいえ、'03YZF-R6のオイル警告灯は信用していいのだろうか? 警告灯が点灯しなければ、これほどオイルを(おカネを)捨てることにならなかったのだが。おまけに、さっさと済ませるはずのオイル交換は、通常の3倍くらい時間がかかってしまった。
 さて、肝心の300V POWER RACINGはどうだったか? 近所のバイパスで高回転も試してはみたが、まだ新しいR6のエンジンフィールに慣れていないこともあって、違いは分からない。オイルの評価については、もっと距離を走ってから「impressions」のコーナーに掲載するつもりだ。
300V POWER RACINは5W−30という低粘度
300V POWER RACINGは5W−30という低粘度
4輪では省燃費のため低粘度オイルが既に主流だが



ドレンは斜め向きになって作業しやすくなった
ニューR6はクランクケースの形が従来と異なる
ドレンは斜め後ろ向きになって作業しやすくなった



オイルフィルターは品番が変わっている
オイルフィルターは品番が変わっている



アンダーカウルは従来モデルより脱着しやすくなった
アンダーカウルは従来モデルより脱着しやすくなった
カウルは今まで以上に薄くペラペラでちょっとびっくり