Modify 車体色
オススメ度は5点満点
 カスタムペイント (AAA)  ★★★★★
ブルーとゴールドの組み合わせにはこだわりがある
ブルーとゴールドの組み合わせにはこだわりがある
 青いバイクに乗りたかった。青のバイクは意外に少ない。もちろんSRXの純正色にもない。元のソルトレイクシルバーも好きだったが,いつか必ず青く塗り替えようと思い続けていた。そして,購入から2年あまり後,オールペイントに踏み切ったのだ。
 ブルーメタリックのタンクにシャンパンゴールドのフレームという組み合わせのモチーフは3つある。1つめはスズキのグース。数少ないブルーメタリックの美しいタンクとフレームを持つ単気筒バイクで,青ならあんな色がいいなと思っていた。
2つ目はブルーエンジェルス。といっても知らない人が多いだろう。米国海軍(NAVY)のアクロバットチームのことだ。A-4スカイレーダー,F-18ホーネットと機種は移り変わったが,機体はいつも深いブルーにゴールドかイエローのレタリング。これが身震いするほどカッコイイ。そして,不思議なことに上品に見える。
 最後がGSX-1100Katanaだ。それも,ハンス・ムートデザインのカタナではなく,スズキが社内デザインしたリトラクタブルヘッドライトのカタナだ。一般に不評なこのカタナは,フレームが金色だった。初めてこのバイクを見た時,不覚にもかっこいいじゃないかと思ってしまたった。
 こうした3つのイメージが,後々SRXのゴールドフレームにつながっていく。
パールが入って少し優しい感じがするメタリック
パールが入って少し優しい感じがするメタリック
 オールペイントをしたいという話をAAA(スリーエー)に持ち込んだが,はっきり言ってあまり歓迎はされなかった。なぜか? 非常に手間がかかるからだ。フレームをペイントするとなると,全部バラしてフレームだけの状態にする必要がある。全バラとその後の組み立てはプロのメカニックにとっても負担の大きい作業だ。しかし,そこは強引に頼んで引き受けてもらった。AAA自体はオールペイントのカスタムバイクを何台も作っているからスキルに不安はない。
 実際に塗る色を決めるため,ペインターのK氏と詳しい打ち合わせをした。最初は,グースのようなキャンディーカラーのブルーにしようと思っていたのだが,シャンパンゴールドのフレームと組み合わせるならもっと濃い色の方がよい,というアドバイスを受けた。いろいろ話した結果納得して,少し濃いめのブルーメタリックでお願いした。細かく色を指定することはせず,K氏のセンスの範囲で調整してもらうことにした。
 手間のかかるフレーム塗装ということで,完成までには2カ月近くを要した。タンク,フェンダー,シートカウルは美しいブルーメタリックに仕上がってきた。実はこの塗装,よくよく見るとパールが混ざっていたりして,単純なメタリック塗装ではない。だから,見る角度によって微妙に色が変化する。純正同様にたっぷりとしたクリア塗装をしたおかげで艶もある。特に,夜道の街灯に照らされたSRXは,濡れているようでもあり,複雑な造形のタンクが生み出す微妙な色の抑揚はセクシーですらある。
 フレームは純正と同じ電着塗装である。だから耐久性の面でも不満はない。純正のSRXも,フレームの色にこだわった数少ないバイクだと思うが,シャンパンゴールドのオリジナルフレームはそれを上回ったと自己満足している(もちろんペインターのおかげだが)。
タンク磨きは私の楽しみでもある
タンク磨きは私の楽しみでもある
 完成後は,YAMAHAのロゴをタンクに入れてみたり,オイルクーラー側面のバーを金色のものに取り替えてみたりと,自分でも楽しんだ。
 費用はトータルで20数万円かかったと記憶している(1996年当時)。フレームを塗装しなければ,工賃がぐっと下がるのでコストは抑えられるはずだ。費用のほかにもデメリットはある。どこかが破損した場合,塗り直しの時間とお金がかかることだ。実は,ペイント後にシートカウルは3つも作っている。タンクとフェンダーはともかく,SRXではこのシートカウルがネックになるだろう。
 それなりのお金はかかるものの,唯一無二のバイクを作れるオールペイントの満足度は非常に高い。思い切ってトライするだけの価値は十分ある。
 余談だが,もう1台のバイクであるYZF-R6も青。4輪のPEUGEOT 306もフレンチブルー。ウエアもヘルメットも青い。始めるときりがなくなる色へのこだわりなのだ。