Modify キャブレター
オススメ度は5点満点
 FCRφ35(京浜精機製作所)  ★★★★★
ファンネルにしている
ファンネルにしているが,フレームに隠れるので外からはほとんど分からない








シャシーダイナモによる計測では40.4psを記録
シャシーダイナモによる計測では40.4psを記録
 リプレイスキャブレターの代名詞と言えばFCR。本来はレーシングキャブだが,吸気系チューンナップの定番パーツとして多くのユーザーに愛用されている。SRXのエンジンとは相性がよく,抜けの良いマフラーと組み合わせれば,エンジンの内部をいじらなくても確実にパワーアップできると言われている。
 実際,スーパートラップ(インターナル)との組み合わせで,ダイノマシンに載せた結果は40.4ps。ディフューザーディスクを5枚と,かなり少なめにしているので最高出力はたいしたことはないが,最大トルクは5.0kg-mとスタンダードを上回る。エンジンの中身は621ccになっている以外は基本的にノーマルなので,FCRを使った吸排気チューンだけでこれくらいはいけるわけだ。(計測時の詳細なグラフ)。
 よく言われるように,FCRのメリットはパワーアップとダイレクトなレスポンスだ。SRXのノーマルに見られるダルさと比べると確かにレスポンスはよい。ただし,それはライダーがきちんとしたスロットル操作をした時の話で,強制開閉キャブはエンジンの要求に応えるように開け閉めしてやらないと本来の力を発揮してくれない。
 レーシングキャブは気難しいと思う人がいるかもしれないが,セッティングがきちんとしていれば非常に扱いやすい。スロットルに素早くレスポンスしてフラットなトルクが出てくる。まさに,スロットルを開けた分だけ前に出る感覚が楽しめるのだ。チョーク機構はないが,始動性もノーマルとほとんど変わらない。唯一,アイドリングの安定度はノーマルに譲る。少なくとも私のマシンではエンジンが十分に暖まるまではアイドリングが不安定で,寒い季節ではストールすることもある。気温や高度の変化に比較的敏感に影響されてしまうのも欠点と言えなくもないが,普通に走るだけなら不都合があるほどではない。
 セッティングは経験を積めばプロでなくてもできると言われているが,私にはとてもできそうにないし,プロに任せた方が完璧なセッティングが素早く出せるので,すぐに走りを楽しめる。そのセッティングが正しいものであることは,パワーチェックのグラフを見てもらえれば分かると思う。
 私のSRXでは,エアクリーナーボックスの上半分を取り去り,クリーナーも廃してファンネル仕様としている。ファンネルがむき出しになっているため当然汚れる。そのままにしておくと調子が悪くなるので,定期的な清掃は欠かせない。ファンネルだと耐久性を心配する人がいるだろうが,既に3万6000km以上を走行して,何の問題も起きていない。

 FCRφ39(京浜精機製作所)  ★★
緑の線がパワーで,なだらかな青の線はSTD  スープアップする前の400ccの時に“間違って付けちゃった”のがFCRφ39だった。さすがに400ccにφ39は大きすぎで,左のグラフを見てもらえば分かるように,めちゃくちゃなパワーカーブになった。最高出力こそ34psでカタログスペック以上だが,5500rpmあたりに巨大な谷(というか渓谷)があり,なんと8psまで落ち込んでいる。いくらなんでも原チャリじゃないんだから…。過ぎたるは及ばざるが如しである。
 608cc以上で,レースユースを考えるとFCRφ39は有効らしい。ただし,ボアが大きくなる分,低回転でのレスポンスが悪くなるのは想像に難くない。φ35でも十分なパワーは出せるので,あまり欲張っても良い結果は出ないかもしれない。