1999年10月16日 段差は押して登れ?
 10月の中旬からは,旭化成の営業担当I氏とより具体的な打ち合わせを進めていくことになる。まず問題になったのが,ガレージの大きさと形だ。大きければ大きいほど良いに決まっているが,建物の中にガレージを作るから,大きくすれば建物も肥大化していき,どんどんコストがかさむことになる。さらに,1階に作るリビングやキッチン,和室などとの間取りの兼ね合いもあるから,形も自由に決められるわけではない。
道路からの段差をどうする?
 10月16日に旭化成が提示した図面では,道路(東側)に面した北側にバイク用ガレージを配置した(設計図で右上の「ピロティ」と書いてある部分)。玄関が道路側の東向きで,リビングや和室は南側にあるから,場所としてはもうここ以外にはありえない。大きさは4.5畳ほど。バイク2台が置けて,多少の作業スペースも欲しいから,最低でもこれくらいの広さは必要だ。
 大きさと配置はよいのだが,どいうわけか出入り口が北側にある。理由を聞くと,道路からスロープを作るために,道路から出入り口まである程度の距離が必要だという。 ここで,この土地の特殊な部分を説明しておこう。東側に幅員6mの道路があり,道路と土地の間には約70cmもの段差がある。要するに盛り土をして道路よりずっと高くしているのだ。昔は治水に不安があったための対策なのだが,これが後々まで設計上のネックとなってくる。
 道路から家の床面までの高低差はなんと約1m以上になる。なぜなら,土地の高低差に加えて,建物の基礎(鉄筋コンクリートの土台)の高さが約40cmあるからだ。ガレージの床はほかの室内の床よりは低いものの,それでも道路から建物まで直接スロープを設けると,とんでもなく急な坂道になってしまう。このため,ガレージの入り口を北側にして,スロープをなだらかにしようとしたわけだ。

10月15日作成の図面。右上がガレージで,北側に出入り口がある。図の右側が道路となる

道路からかなり高くなっているのが分かる
自転車じゃないんだから
 そもそも,住宅メーカーはバイクに関しては何も知らない。旭化成ではないがほかのメーカーは,道路からガレージまでの途中で直角に曲がる幅1mのスロープを設けた図面を提案してきた。重さが180kg以上あるバイクを押して急なスロープを上がり,しかも途中で直角に曲がれというのだ。これには呆れてしまった。自転車じゃないのだからそんなことができるわけがない。でも,担当者は大まじめで提案してきたのだ。いかにバイクが一般に理解されていないがよく分かった。
 旭化成の案はそれよりはマシだったが,急なスロープを押し上げて,ガレージの入り口の前で直角に曲がらなければならないことには変わりない。仮にエンジンをかけてスロープを登ったとしても,そこから90°曲がってガレージに入れるのは非常に不便だ。スロープの有効幅は1.7m程度しかないから,SRXはともかく,ハンドルが全く切れないYZF-R6は切り返さないと出し入れできないだろう。そんなわけで,最初の設計案はあえなくボツになった。
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