1999年10月22日 基礎から下げて段差を解消
 これから作ろうとしているバイク専用ビルトインガレージは,車用のビルトインガレージあるいはピロティ車庫と呼ばれているものの変形だ。建物の一部に車を置くスペースを作るのがピロティ車庫で,そこを壁で取り囲み,シャッターを付けるなどして完全に建物の内部に組み込んでしまうのをビルトインガレージと呼ぶ。そのビルトインガレージをバイク用にぐっと小さくして,内部に出入り用の扉を付けたものが,バイク専用ビルトインガレージだと思ってもらえばよい。こう書くと実に簡単に作れそうだが,設計の初期段階から,道路と敷地面の高低差という問題にぶち当たった。

一般的なピロティ車庫のイメージ
(旭化成のカタログより)

新しい図面では出入り口が道路側に
特注ダウン基礎はコスト高
 先週の打ち合わせで問題になったガレージの出入り口について,新しい図面では道路に面した東側に出入り口を設けるよう変更された。しかし,である。道路面と敷地との間にある70cmの段差については依然として解決できていない。
 現状では,道路から建物までは約1.5m離れている。ガレージの床面までの高低差は最低でも70cm以上あるわけだから,なんと50%近い勾配になる。50%勾配といったら,階段でもやや急な方だ。バイクを押して上がるのはもちろん,エンジンをかけて上がるのもかなり危険と思われる。グワーンと坂を駆け上がり,勢い余ってガレージの壁に突っ込んだりしたらシャレにならない。仮に建物を道路から2mまでセットバックしたとしても,勾配がきついことには変わりない。

ガレージ正面からの断面図。赤線の基礎を道路面に近いレベルまで下げてしまう
 そこで出た案がダウン基礎である。建物の基礎は,鉄筋に枠をはめてコンクリートを流したもので,地下から立ち上がって地上40cmくらいの高さがある。
この基礎をガレージ部分だけ下げてしまおうというのだ。つまり,通常は左図のようになっているが,右図のようにガレージの部分を道路面とほぼ同じ高さになるまで掘り下げて,それに合わせて基礎の部分もダウンさせるわけだ。こうすれば,道路とガレージとの段差はほとんどなくなり(排水のために若干ガレージが高いが),バイクの出し入れに支障がなくなる。
 ダウン基礎は特注工事なるため,その分コストは上乗せされるという。差額は約34万円。コスト高になるのは痛いが,背に腹は代えられない。特注とは言っても,道路と敷地に段差があることは珍しくないから,工事としては特殊なわけではないそうだ。この特注ダウン基礎によって,高低差問題は一気に片づいたかのように思えたのだが…。実際には,ダウン基礎によって新たな問題が持ち上がったのだ。
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