1999年12月11日 間取り作成ソフトを活用
 工事請負契約はしたものの,現実はこれからが正念場だ。設計の細かなところや問題点を一つひとつ解決していかねばならない。バイク用ビルトインガレージについては,40万円もする特注シャッターのコストを下げることと,室内からの出入り口を復活させることが当面の課題だ。
融通の効かないプレハブ住宅
 まず,前回思いついた,シャッターの上に窓を付けるアイデアは,あっさりとボツになった。理由は,雨漏りの可能性があるからだという。通常,窓の上にはひさしやシャッターなどを設けることで,窓に直接大量の雨が当たらないようにする。そうしないと,窓の取り付け部から躯体の内部に水が染み込む可能性があるらしい。これを業界では「雨(あま)じまいが悪い」と言うそうだ。シャッターの上にポンと窓だけ付けると,雨じまいが悪いため設計上許容できない,となる。

エー・アイ・ソフトの「3Dあっ!とホーム プランナー」
 それでは,窓の代わりに外壁であるへーベル板を取りつければよいではないかと思ったのだが,これもダメ。ヘーベル板は工場で生産する規格品だから,今回のような半端な大きさの物は特注品となり,かえってコスト高になるということだ。
 プレハブ住宅は規格に合わせた部材を工場で大量生産するため,品質が安定しててコストも抑えられるというメリットがある。半面,今回のバイク用ビルトインガレージのように,ちょっと変わった注文に対して柔軟に対応するのが難しいことがあるのだ。プレハブ系の住宅でガレージを作ろうと思っている人は,そのことを念頭に置いておいた方がよいだろう。

リビングの3次元表示。寸法などは設計図通りだ
今は便利なソフトがあるのだ
 室内からの出入り口を復活させることについては,ガレージ内に階段を作らなければならないことがネックだ。室内の床面からガレージの床面までは,1mあまりの高低差がある。階段無しでは到底出入りできない。ところが,ガレージは当初階段を設けることを考えていなかったから,必要最小限の大きさしかなく,階段を追加するとスペースが苦しい。
 そこでまず,どれくらいのスペースが階段に取られるか,残った部分で2台のバイクをきちんと収納できるかを調べるため,市販の間取り作成ソフトを使ってシミュレーションしてみた。使ったソフトは「3Dあっ!とホーム プランナー」(エー・アイ・ソフト)だ。このソフトは,ほとんどドローソフトと同じ感覚で間取りを作れる。
 部屋や窓などはパーツを図面上にドラッグ・アンド・ドロップするだけでOKという手軽さがある一方で,壁のテクスチャーや窓の種類なども細かく選べるので,自分のイメージにかなり近い図面が作れる。何より便利なのは図面から3D表示ができることだ。このおかげで今までは図面から想像していた部屋の中の様子が,立体的に,しかもリアルタイムに再現されるのだ。一昔前なら高額なワークステーションでしかできなかった3D処理が,パソコンで難なくできてしまうのは驚きだ。
 もう1つのメリットは,正確な寸法を入力して図面を作るので,あの家具は置けるのかとか,台所はこれくらいの長さでOKか,といった確認ができること。ビルトインガレージも,設計図のデータを使って図面を作り,3Dあっ!とホーム プランナー上で階段を追加して,どの程度のスペースが残るかを検討してみた。
 ガレージの内寸は,幅2.5mで奥行きが2.8mである。仮に幅60cmの階段をガレージ内部に造るとなると,残りはわずか1.9m。バイク2台を並べて置くには,最低限の幅でしかない。バイクのオブジェクトをガレージ内に置いてシミュレーションしてみても,ギリギリの幅しかないことを確認しただけだった。これでは,当初目論んでいたガレージ内での軽整備はまず諦めねばならない。それどころか,もし階段の幅がこれよりも広くなると,2台並べて置くことすらままならなくなる。常識的には60cmでも階段としてはかなり狭いはず。いまさら間取りを大きく変えるのは無理だから,階段をよほど工夫しないとまずいことになりそうだ。
 さらにもう1つ課題が出来た。それは床の塗装である。ガレージの床はコンクリートだが,そのままではオイルがこぼれた時などに染み込んでしまい厄介だ。屋内の駐車場では,床を塗装してあるのが一般的。緑色に塗られた地下駐車場などを見たことはないだろうか。あの塗装である。ゴム皮膜のような塗装かとも思ったがよく分からない。取りあえず,営業担当のIさんに調べてもらうことにした。

階段を付けたガレージを上から眺める




奥に見えるのがシャッター。右が階段
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