大型2輪教習日記 第2回
初回から雨の中で教習開始
ナナハンは思ったより乗りやすい
 いよいよ初回の教習がやって来た。入校申し込みから1週間,楽しみにしていたのだが…。この日は朝から雨だった。最初から雨の教習とはツイてない。ステーション(待合所)からコースを眺めると,あちこちに水たまりができている。教習でなければ,バイクに乗ろうなんて絶対に思わない天気だ。
 さて,好評のうちに終了した「おかちんの教習所日記」が岡地君のキャラクターならではの“おもろい話”だったのに対して,この大型2輪教習日記はこれから大型2輪免許を目指す人のための“役に立つ話”として,参考になりそうな情報を重点的にお伝えしようと思っている。
 ご存じの方が多いだろうが,普通2輪(以前の中免)と普通自動車免許を持っていれば,大型2輪の教習は実技が12時限あるだけと単純だ。学科教習は一切ない。12回の教習を難なくこなせれば,それでおしまいだ。実技は4つの段階に分かれているのは普通2輪と同じ。ただし,大型の1段階はたった1時限しかない。各段階の終わりの教習はいわゆる「みきわめ」だが,1時限目は最初が「みきわめ」なのだ。

10月24日 第1段階 1時限目
最初はやっぱり基本です
 最初の教習は,普通2輪の1時限目とたいして変わらない。センタースタンドをかけてみたり,引き起こしをしてナナハンの重さを実感する。教習車は乾燥重量215kgの車体にバンパーやランプがたくさん付いているから,きっと240kgぐらいにはなるだろう。センタースタンドを外したとたんに,右側へバイクを倒してしまった人もいたが,事前審査をしているだけあって,バイクを扱えないような人はいない。
 次は乗車姿勢のチェック。特に,足の爪先を内側に入れると同時にしっかりニーグリップするよう指導される。それは普通なので構わないのだが,「レバーは指4本で握る」と「左の爪先はシフトペダルの上に」というのには参った。中でも,ブレーキ4本掛けには違和感が強い。4本も掛けたら,ブレーキをかけながらスロットルをあおってのシフトダウンができないじゃないか,と思ってはみたが,もちろんそんなことは口に出さない。たちまち放校になりそうな雰囲気だ。
 乗車や降車の手順も細かく指導される。バカバカしいとは思いつつも,そういう決まりなのだから仕方ないので言うとおりにする。ちなみに,右足を着く時は後方を必ず確認しなければいけない。「車に足を轢かれるかもしれないから」だという。轢けるもんなら轢いてみろ(あっ,言っちゃった)。

教習所でもスピード違反?
 教習時間も半ばに差しかかってからやっとバイクを走らせる。なぜか私は先頭だ。少しばかり緊張してクラッチをつなぐ。ああっエンスト,なんてするわけがない。CB750はアイドリング+αでするすると走り出す。最初は2速ホールドで外周コースを走るだけ。ナナハンと言っても,止まっている時に重いだけで,走り出してしまえば400ccと変わりない。拍子抜けするほどラクチンだ。
 それから,3速も使って加速し,カーブでは減速するように指示される。ここで,私は3回も怒られた。「36番さ〜ん(私のこと),速度速いですよ〜」。おかしいなあ,こんなに減速しているのに…。カーブを曲がるたびに怒られてペコペコ頭を下げる。おっかしいなあ。2速でノッキングしそうなほどゆっくり走って,やっとお許しが出た。おいおい,これじゃスクーターにも抜かれるぞー(そういう問題じゃない?)。そうこうしているうちに,1時限目は終了した。

第2段階 1時限目
いきなり4つの課題走行にトライ
 第1段階が終わったら,続けて第2段階に突入する。大型教習の場合はここでいきなり課題走行に入る。早くも坂道発進,スラローム,一本橋,急制動の4課題に挑戦だ。といっても,いずれも中免を取った時にこなしているので,臆することはない。特に,坂道発進や急制動は,普段からバイク乗っている人ならできないはずはない。
 スラロームも意外に簡単だった。バイクをしっかりバンクさせたら,スロットルを開けて車体を起こす。これができれば大丈夫。リズムよくやれば,7秒以内という大型免許の検定基準も十分クリアできるだろう。反対に,普通2輪の教習生を見ていると,スロットルを閉じたまま恐る恐るハンドルで曲がっていくが,こうした走り方で7秒以内に通過するのはちょっと難しそうだ。
 それにしてもCB750はいいバイクだ。スラロームでバイクを寝かすと,スッスッという感じできれいにフロントに舵角がつき,素直に曲がってくれる。その昔,教習車で乗ったVFR400Kのようなフロントが切れ込む変なクセは全くない(よくあんなので教習したなあ)。
 一本橋は,この段階ではまだタイムを気にせず,落ちないように渡るだけで構わないという。大型免許の検定基準は,長さ15m,幅30cmの一本橋を10秒以上掛けて渡らねばならない。普通2輪が7秒だから,だいぶハードルは高くなる。
 だが,ここでもCB750の優秀さに助けられる。重い4気筒のバイクだから安定感はたっぷりで,低回転でのトルクもあるからクラッチをつないでするすると走り出したら,そのまま糸で引かれるように一本橋を渡れてしまうのだ。とにかく落ちないようにと意識して少し速めのスピードで渡ると,タイムは7秒ちょっと。普通2輪ならこれで合格だが,もう少し粘らないといけない。でも,このスピードだと落ちる気は全くと言っていいほどしない。1〜2時間練習すれば,10秒はそれほど難題ではないと思う。
 最後は急制動だ。規定では40kmからのフルブレーキだが,まだ35kmに抑えるように指示される。相変わらず指4本掛けのブレーキングには違和感があるが,課題自体はノープロブレム。ただ,普通2輪の教習生を見ていると,雨が降っていることもあってタイヤをロックさせる人や,つんのめってバランスを崩しそうになっている人が少なからずいる。バイクのブレーキングは難しいものだと改めて感じさせられる。
 課題をそれぞれ数回こなしたところでもう教習はおしまい。この時限は,前半が課題の説明と教官の模範走行に費やされたため,走行時間が30分もなかったのだ。次回の第2段階2時限目は,最初から課題走行だというので,もっとたくさん走れそうで楽しみだ。

今回のポイント 第1段階1時限目 第2段階1時限目
◆運転姿勢
 いろいろとうるさいことを言われますが,そういうものだと思って割りきりましょう。これを機会に,自分の運転姿勢を再チェックするというのも悪くないですね。
◆課題走行
 スラロームや一本橋のタイムは取りあえず気にせず,正しい運転姿勢を保ったままクリアできることに専念しましょう。本格的に課題に取り組むのは次の教習からです。

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