ライダーズウォッチ
ナイトランで光る「ルミナイトシステム」
---NAVY SEALS ORIGINAL SERIES-2---
 真夏の強烈な日射しが消え去った夜、車の少なくなった道でスロットルを捻り、滑るように走る。目的地もないまま、あてどもなくバイクを走らせ、気が付いてみると静まり返った深夜の埠頭に来ていた。僕にはそんなことがよくありました。夏の夜は、なぜか気分が高揚するものです。
 ふと我に返って腕時計を覗き込むと、見えない…。そう、暗い場所では腕時計を見ても時刻が読み取れないことがありますね。断然アナログ派の僕には、針やインデックスに塗られた夜光塗料が頼みの綱。今の夜光塗料はとても性能が良くて明るく光るのですが、周りが暗くなってから数時間経つと、輝度が落ちてしまうのが弱点です。
 そんな問題を解決したのが、LUMINOXの「NAVY SEALS」が採用した「ルミナイトシステム」です。これは、スイスのMB-Microtec社が開発した照明装置で、トリチウムガスを微細なカプセルに封じ込めてあります。夜光塗料との決定的な違いは、トリチウムガスが自己発光するところ。つまり、夜光塗料のように外部からの光をため込むのではなく、自ら光を放つため、いつまでも光っているのです。しかも、一般的な夜光塗料よりも輝度が高いというおまけ付き。
 だから、たとえ深夜であっても針やインデックスはきれいに光って時刻が分かるのです。デジタル時計の照明装置のようにボタン操作も必要なく、走行中でも確認できるのはライダーにとって便利なところ。
 各部の質感がいまひとつなところや、ストラップの耐久性が十分でないこと、そしてミネラルガラスが傷つきやすいことには不満を感じます。とはいえ、2万円ちょっとで“ナイトスペシャル”な腕時計を買えるなら、まあいいかと思いつつ深夜の湾岸道路を走るわけです。
この時計は友人(女性)から譲ってもらった。女の人が付けているとカッコイイ!
「NAVY SEALS」という名前の通り、米海軍の特殊部隊をはじめとしてS.W.A.T.やFBIなどにも支給されているミリタリーウォッチ。この「SERIES-2」はベルクロ付きのナイロンストラップなので、ジャケットの上からでも装着でき、袖口をめくる手間もない。しかも樹脂製のケースは27gと超軽量。面白いことに、LUMINOXのWebサイトではバイク運転時にも適していると紹介されている。

同条件での比較
マイクロガスカプセルは自己発光するため、一晩中でもずっと光っている。しかも、最新の夜光塗料と同等かそれ以上の輝度がある。暗闇での作戦もある軍隊などで採用されているのもう頷ける。

LUMINOX(米国) NAVY SEALS ORIGINAL SERIES-2(Ref.3901)
クオーツ(Ronda 715)、樹脂ケース、ナイロンストラップ、ミネラルガラス、日付表示、200m防水、標準価格2万9800万円(2003年)

---「ライダーズウォッチ」のシリーズはほかとは異なる語り口にしています---
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