ライダーズウォッチ
海でも温泉でも使えるタフなチタンのワンピース
---PROMASTER LAND PERPETUAL CALENDAR---
 ツーリングの醍醐味のひとつに温泉があります。日本人で「オレは温泉なんか大嫌いだ」と言う人には会ったことがありません。もちろん僕も大好き。中でも、ツーリング先で浸かる温泉は格別です。
 目指す温泉の駐車場にバイクを滑り込ませ、タンクバッグからいそいそとタオルを取り出すところで、既に気分は高揚しています。窮屈なブーツを脱いで、はぁ〜っと一息。蒸れる革パンを脱いでまた、はぁ〜。そして、ついに湯船に浸かるときの心地良さといったら、はぁ〜っと漏らした溜め息と一緒に魂まで抜けてしまいそうです。
 ところで、風呂に入るときは誰しも裸になりますね。当然、腕時計も外すでしょう。僕も基本的には外します。特に温泉は硫黄分が含まれていたり、アルカリ性または酸性で、ステンレス製の腕時計でもケースを痛める恐れがあります。そういう意味では海水浴も同じで、塩分を含んだ海水に腕時計をさらしたまま放置すると、ステンレスといえども錆びてしまいます。こうした腐食や錆に強いのが、バイクのマフラー素材でおなじみのチタン合金です。ステンレスの60%の軽さなのに引っ張り強度が高く、耐食性に優れ、非磁性体であるといった特徴があります。
 チタン合金の特徴は、バイクのマフラーに使われるのと同様、腕時計にとっても大きなメリットになります。ただし、チタン合金はそのままでは意外に柔らかく、腕時計に使用すると傷が付きやすいという弱点があります。これを克服したのが、シチズンの表面処理技術「デュラテクト」です。デュラテクトには処理方法によっていくつかの種類があるのですが、要するにチタンの表面を処理することで硬度を増し、傷つきにくくするのです。
 チタンの話が長くなりましたが、シチズンの「PROMASTER LAND PERPETUAL CALENDAR」はデュラテクトチタンを採用した腕時計です。錆びる心配がないので、温泉でも海でも、腕時計をしたまま気兼ねなく入れます。シチズン自慢のデュラテクトは本当に強く、よほど強くぶつけない限りは傷つきません。だから、アウトドアやスポーツ、もちろんバイクの乗る時に使用しても安心です。
 しかも、この腕時計はケースがワンピース構造なので、さらに強度と防水性が高まっています。普通の腕時計はムーブメントを収めるケースに裏蓋が付き、表には風防ガラスが被せられます。ところが、PROMASTER LANDは裏蓋の無い一体構造。ワンピースの削り出しブレーキキャリパーみたいなものです。タフなPROMASTER LAND PERPETUAL CALENDARは、温泉ツーリングから海水浴まで、どんなアウトドアシーンにもお薦めの腕時計です。
チタンケースは耐磁性も高い
宇宙船の窓を想起させる球面の風防と、数字の大きな文字盤が特徴的。デュラテクトチタンのケースは軽くて傷つかず、錆びることもない。この「Eco-Drive」のキャリバーは珍しく分針が15秒運針する。15秒ごとに分針が少しだけ動くので、初めて見たときは驚いた。暗いところでは秒針が停止し、光が当たると秒針が勢いよく動いて現在時刻に復帰する。ライディングジャケットの袖口をまくって腕時計に光が当たった途端、秒針がぐる〜っと動いて面白い。


アクラポヴィッチのスリップオン
こちらはYZF-R6(5EB)用のチタンサイレンサー。チタン合金は軽くて強くて錆びずに磁力の影響を受けないのが特徴。高温にさらされ、軽量化の要求も強いサイレンサーやエキパイにはもってこいの素材だ。ただし、表面は柔らかいので傷には注意。


一体型ケースなのだからそれらしいデザインにしてほしかった
一見すると裏蓋があるように見えるが、蓋を回すツメ穴がないことでワンピース構造だと気付く。電池交換の必要がない光発電だから採用できたワンピース構造だ。リューズはねじ込み式で200m防水。


シチズン(日本) PROMASTER LAND
PERPETUAL CALENDAR(PMT56-2713)
クオーツ(光発電)、チタンケース(デュラテクトMRK)、チタンブレスレット、球面サファイアガラス(無反射コーティング)、20気圧防水、パーペチュアルカレンダー/2種強化耐磁、標準価格5万2500円(2004年)

---「ライダーズウォッチ」のシリーズはほかとは異なる語り口にしています---
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