ライダーズウォッチ
走る前には腕時計でタイヤ温度をチェック
--- PRO TREK DPX-300 ---
 寒いときにバイクに乗って気になることと言えば、やはり気温に関係するものです。着るもののことはもちろんですが、冷えきった路面とコンタクトするタイヤの温度も大いに気になるところ。路面温度が低ければタイヤは温まらず、グリップが低下します。冬の夜など、タイヤがズルッと滑ってヒヤリとした経験のあるライダーは多いでしょう。
 そんな時、転ばぬ先の杖となるのがこの腕時計、カシオ計算機の「PRO TREK DPX-300」です。「なんで腕時計が役立つの?」と思うでしょうが、こいつは物の温度を測るセンサーを搭載していて、路面やタイヤの表面温度が分かるのです。どんな物でも(絶対零度でなければ)表面から赤外線の輻射があります。これをセンサーで計測し、温度を表示する仕組みです。センサーは対象物に接触させる必要はありません。
 例えば、バイクで走り出す前にタイヤにセンサーを向けて計測すると、6℃などと表示されるので、「タイヤが冷えているからスロットル操作は慎重にしよう」と思うわけです。春先に峠へ走りに行き、ひと休みした後で再び走り出す際には、思ったよりタイヤが冷えていることがあるので、温度を確認する意味はあります。実際、伊豆スカイラインの亀石パーキングの周辺では、走り出した直後に転倒するライダーがたくさんいます。
 ここで紹介したDPX-300は、1995年に発売されたPRO TREKシリーズ最初期の製品なので、当然生産中止になっています。今もカシオ計算機からは温度センサー搭載のPRO TREKシリーズは販売されていますが、こうした対象物の温度計測機能を持った機種はありません。温度依存性の高いソフトコンパウンドのタイヤを履いている走り屋さんは、温度センサー付きの腕時計を探してみてはいかがでしょう?
PRO TERK DPX-300
「PRO TREK」(プロトレック)シリーズの初期に発売された「DPX-300」はレアな製品のようで、インターネットで検索してもほとんど情報が出てこない。右に大きく張り出し部分が「サーモスキャナー」(赤外線輻射センサー)。対象物に向けてボタンを押すと表面温度を計測する。現在は電池が切れたままで使っていない。バンドは純正が損耗したため付け替えた。



サーモグラフィーと原理は同じようだ
センサーは非接触式だから、マフラーの排気口付近の温度を測るといったことも可能だ。計測時に対象物の材質によって補正をかける必要がある。



カシオ計算機(日本) PRO TREK DPX-300
クオーツ、樹脂ケース(裏蓋ステンレス)、ナイロンバンド、10気圧防水、赤外線温度センサー(メモリー機能付き)/カレンダー/ストップウォッチ

---「ライダーズウォッチ」のシリーズはほかとは異なる語り口にしています---
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