タンデムの基準
 2005年4月1日、多くのライダーが長年望んできた高速道路での二人乗りが解禁された。高速道路はバイクで長距離を安全に走るには最も適した道路だ。しかし、タンデムライディングで事故が起こった場合の危険性まで減ったわけではない。一般道であろうと高速道路であろうと、もし事故が起こってしまったら、後ろに乗っている人は、重傷を負ったり死亡したりする可能性が高い。タンデム走行はそれだけのリスクを背負っている。
 だから僕は原則としてバイクの後席に人を乗せない。どんなに慎重に走っても、車とぶつかる時はぶつかる。もしそれで、乗せていた人が死んだら、その人の家族に対してどうやって責任が取るのか。もしその人が半身不随になったら、その人の残りの人生を引き受け受けられるのか。無理だ。保険がどうのという問題ではなく、他人の人生に責任を持つのは無理だ。
 だから僕がバイクのリアシートに乗せることのできる人の基準は単純だ。その人の人生に責任が持てること。その基準に当てはまるのは、自分の家族しかいないし、過去に乗せたことがあるのも家族だけだ。よって、僕はタンデム走行の経験が少ない。
もうすぐ小学2年生
 最も愛してる人、僕の息子はどうか? 息子を乗せてツーリングというストーリーには憧れるし、彼もしきりに乗りたがっている。駐車場で乗せてゆっくり走っただけでも大喜びする。しかし駄目だ。今は自分の趣味に付き合わせて彼の命を危険に晒そうという気にはなれない。誘惑はある。葛藤はこの先長い間続きそうである。

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